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会社で結婚や出産を促進するのはセクハラやパワハラ?各種手当も不公平なのか

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人口がどんどん減少する日本。近い将来の国力低下に危惧

2015年の統計によれば、男女平均初婚年齢は約30歳、男性のおよそ4人に1人・女性のおよそ7人に1人が生涯未婚、女性の合計特殊出生率は1.45人です。

晩婚化・非婚化・少子化が叫ばれだしてからいったい何年になるでしょう。有効な手立てが打たれないまま時が過ぎ、このままいけば2053年には人口が1億人を割り込むとされており、日本の総人口の大きな減少、そして国力の低下が現実味を帯びてきました。

参考
総務省ホームページ(http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/kekka/pdf/gaiyou1.pdf
厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei15/dl/02_kek.pdf
国立社会保障・人口問題研究所ホームページ(http://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp29_gaiyou.pdf

若手従業員の結婚・出産を支援する企業や官公庁が出てきている

こうした少子化の現状を踏まえ、官公庁や会社では若手従業員の結婚や出産をサポートしようとする取り組みが増えてきています。

定期的に若手従業員の出会いの場を作ったり、社内に独身従業員の結婚のお世話をする「婚活サポーター」をおいたりと、結婚を後押ししようとする活動が盛んなようです。また、結婚や子供の誕生に対してまとまったお祝い金を出すなどといった、結婚・出産を金銭面から支援しようとする取り組みもみられます。

結婚はしたいけれど、いわゆる草食系でアグレッシブに出会いを求めるのが苦手な若者にとっては、こういった会社の婚活支援は有難い場合もあるようで、若手人材確保の際に、福利厚生としての婚活支援をアピールする会社もあるようです。

勤務先が従業員のプライベートに強く介入するのは問題

会社の婚活支援は、結婚・出産をしたい人には良い取り組みです。採用時のアピールポイントとなるくらいですので、婚活支援制度の存在自体がセクハラ・パワハラになるわけではありません。

しかし、そもそも結婚するしない、子供を持ちたい持ちたくないというのは、個人の最もプライベートな問題です。身体的・経済的な理由等で結婚・出産ができない人やLGBTの人々もいます。

結婚・出産の話をするためには、こういったデリケートな事柄について触れざるを得ないため、たとえ会社側が善意であったとしても、そこまで踏み込んでしまっていいのかといった問題が生じます。もちろん、配慮が足りず強引に物事を進めてしまえば、セクハラ・パワハラにつながってしまいます。従業員の意思を尊重すべきことは言うまでもありません。

結婚お祝い金や家族手当を出す企業は減っている

これまでも、日本企業では慣行として、従業員の結婚の際にお祝い金を出したり、家族がいれば家族手当を支給するといったことが行われてきました(成果主義の浸透で、こういった属人的な手当を支給する企業は減っています)。

労働の成果とは直接関係がないお金であるために、何らかの理由で未婚の人や子供がいない人からすれば、面白くない制度とされることもあります。

しかし実際、結婚することは通常おめでたいことですし、家族がいれば支出は増えます。会社からの過剰な金銭サポートは問題ですが、そうでなければ公平性を欠くことにはならないでしょう。むしろ、こういったことにまで目くじらを立てていくと、ギスギスとした世の中になってしまわないか心配です。

「お互い様」精神が大切

結婚や出産がプライベートな問題だからと言って、会社が結婚や出産を応援、サポートする立場をとることは問題ありませんし、こういった支援・配慮は、男女ともにこれからの働き方に大きく影響するでしょう。

結婚・出産したい人には適切なサポートを、したくない人・なんらかの理由で出来ない人にも配慮を。双方を両立させることは困難ですが、人口減少は日本人全員にのしかかってくる問題です。対立するのではなく「お互い様」の精神をもって全体で取り組まなければ、日本の人口問題は解決できないのではないでしょうか。

人事労務コンサルティングの専門家

大竹光明さん(社会保険労務士法人大竹事務所)

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