耐震基準の常識を覆した熊本地震
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耐震改修が行われた建物にも被害が及んだ熊本地震
最初に、今回の熊本地震で被災された方に心からお見舞い申し上げます。
今回の熊本地震では耐震改修がなされた建物にも被害が及んだ事が話題になっています。
特に災害時には避難施設となるべき学校や公共建築物にも被害が出て、建築基準法の信頼が揺らいできています。
しかし、同じ震度でも建物の形状や地盤の状況等で建物が受ける影響は大きく異なります。
個別に被害状況を調査し、どの様な壊れ方をしているのか冷静に観察しないと、今の耐震基準が正しいのかどうかの結論は出せないでしょう。
建物内にいる人の生命を守ることに主眼が置かれている建築基準法
4月26日の読売新聞朝刊には、24日までの応急危険度判定結果が記載されています。
これによると、熊本県内8市町村で1万8142件の住宅のうち、危険を示す「赤」の判定を受けた建物が5719件でした。要注意を示す「黄」は5610件で、使用可能を示す「緑」は6813件でした。
建築基準法の基本的な考え方は、建物の中にいる人の生命を守る事に主眼が置かれ、建物の健全性を担保する法律ではありません。
建物が破損しても中にいる人命を守れる最低限の強度を規定した法律なのです。
平成20年の熊本市の資料によると、熊本市の住宅の耐震化率は66.7%であり、「緑」「黄」の合計が1万2423件である事から68.5%の家屋が人命を守った事になります。
平成20年の耐震化率から新築件数が増えている分だけ耐震化率も向上している事を考えると、68.5%と云う数字は、統計的にみれば、耐震基準は正しかったと云う事になります。
木造家屋の一階は多くの大震壁を配置することが必要
ただ、木造家屋の被害は二階より一階に大きな被害が出ている事に注目すべきです。
今回の熊本地震も、木造の学生寮の一階が倒壊している写真を目にした方も多いと思います。
アパート形式の寮の一階が原型を留める事無く完全に潰されていました。
アパート形式なので、一階・二階とも同じ間取りの構成であったと推測できますから、同じ間取りであれば、二階よりも一階の方が現状の耐震基準で定めている応力以上の地震力を受けている事を示していると言えます。
簡単に言えば、木造家屋の一階は現行建築基準法で定める構造耐力では不十分だと云う事です。
これから木造住宅を建てようと考えられている方は、一階により多くの耐震壁を配置できる間取りを考えるべきです。
例えば、一般の間取りは、一階に耐震壁を多く取れないリビングを配置して、二階に耐震壁が多く取れる個室を配置していますが、これを一階に耐震壁を多く配置出来る個室を設け、二階にリビングを持って来る方が耐震的には安全な家であると云えるでしょう。
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