自閉症に対する無理解が引き起こした悲劇 「彼女の名はサビーヌ」
さて、前回のこの「発達障害を考える」では、彼らは平面の世界に住んでいるのではないか、というような内容を描きました。
もう少し具体的にその様子を描きかったのと、ではそういう点から見た時、彼らにどういうかかわり方をすればよいのか、ということについて少し考えをまとめてみたいと思います。
一言でいうと、平面の世界に対する親和性が強いのだから、こちらも平面を意識した関わり方をすればよいのではないか、ということです。例えば、言葉というものは、発した先から消えてしまいます。ですからどうしても時間的な差異が生じて、奥行ができてしまいます。それならば、やはり黒板などを使って平面・同時的な提示の仕方をしてあげた方がわかりやすいでしょう。継時的な表現より、同時的な表現。これも良く言われることですね。
加えてたとえば言葉で提示しなければならない時でもできるだけ、全体の構図を意識した表現をすること。この良い例にニキリンコさんの著書「俺ルール! 自閉は急に止まれない」に良い例が挙げてありました。彼女が佐賀のNPO法人「それいゆ」の服巻先生とやり取りした時のことです。ニキさんが博多から小倉へいく生き方について服巻先生に質問されたのですが、服巻先生はこう答えたというのです。
“選んでください。選択肢はふたつあります。新幹線だと、乗ったら20分で着くけれど、乗り換えるには、降りたホームから遠くまで歩くことになります。もうひとつの特急ソニックだと、乗ってから40分以上かかるけれど、乗り場が、降りたホームの隣だから、1本分しか歩かなくてすみます。どっちがいいですか?”
見事な構造化された言い方だと思いませんか?平面化された全体の構図が思い浮かぶようです。ニキさんもこの応答についてとてもわかりやすくて助かった、と感想を述べられています。こういうような彼らの「平面への親和性」になじんだかかわり方を工夫することが大切なのかもしれませんね。
しかしこの服巻先生の返答をよく見てみると何かに似ていると思いませんか?例えばこう書き換えればよくわかると思います。
【設問】次の選択肢からあなたが好ましいと思う方を選んでください。
①新幹線に乗る:所要時間は20分。ただし乗り換える駅は遠い。
②特急ソニックに乗る:所要時間は40分。ただし乗り換える駅は近い。
そうです、この対話を平面の用紙に書いた場合、たとえばテスト問題やアンケート用紙に書いた場合、こういう書き方になるのです。しかも文字で書かれているため、全体が見渡せて、読み直そうと思ってもすぐに読み返せる。言葉で説明した場合はこうはいきません。やはり彼らは全体を見渡せる平面的な世界に親和性があるのだろうと改めて思いますね。如何でしょうか?
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