ドキュメンタリー映画「徘徊」:認知症の母と娘の日々を描いた作品
今回取り上げた映画はこれ
日本でも飲酒運転の引き起こした悲惨な事故をきっかけに、厳罰化が進んでいますが、この映画はまさしく飲酒運転でわが子を殺された家族の葛藤と、刑を終えて出所した加害者への憎しみと復讐との葛藤を描いた映画です。
わが子を轢き殺され、その苦しみから立ち直れずに苦しみ、復讐に燃える父親をジャックニコルソンが見事に演じています。
残された夫婦はこの事件をきっかけに破たんし、母親の方は新しい家族を作り自分の人生を送っているのですが、父親はまだ悲しみから逃れられず、その憎しみはずっと尾を引いています。
昔、犯罪被害者支援に少しだけ関わったことがあります。その時、理不尽な事故や事件に家族が巻き込まれ、その哀しみや絶望の中を生きざるを得ないご遺族や関係者の苦しみを知ることがありました。
今でこそ、裁判などで加害者側の意見を発言する機会が設けられるようになってきましたが、日本の場合の刑事裁判というのは決して被害者個人の救済のためや加害者への報復的な意味合いで行われているものではないのです。刑事裁判というのは、被害者のためにあるのではなく、あくまでも公共の秩序の回復や犯罪防止を目的として行われているのです。
ですから、被害者個人の感情や復讐心は満足される必要はなく、加害者と言えども人権が守られているわけです。しかしそうはいっても残されたご遺族の無念の情がなくなるわけではなく、昨今さまざまな事件事故を巡ってやっとその問題を取り上げつつあるというのが日本の現状です。
なんだか難しい話になってしまいましたが、この映画は、その父親や家族が加害者との葛藤といかにして向き合っていくか(乗り越えるなどということは無理かもしれません)、を見事に描いています。
興味があれば一度ご覧ください。
◇◆◇ こころを描いたこんな映画
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あやしうこそものぐるほしけれ 映画 「17歳のカルテ」
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