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岸井謙児

カウンセリング歴35年、経験と信頼のカウンセリングのプロ

岸井謙児(きしいけんじ) / 臨床心理士

カウンセリング・オフィス岸井

コラム

「役に立てなくても、害を与えてはいけない」

2016年2月22日

テーマ:こころの散歩道

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

先日、老人ホームで3人もの利用者さんが4階から落とされて死亡した事件の容疑者が判明しました。容疑者の当直の日に限って事件が起き、その後容疑者は利用者さんの現金を盗んだという事件でも捕まっていたというそうです。
この事件などはもちろんとんでもないことですが、対人援助の立場にある者が援助はおろか、加害の側に回るということはあってはならないことでしょう。

ここまで意図的な行為でなくても、対人援助や福祉に当たる私たちは「たとえ役に立てなくても、害を与えてはいけない」という当然のことをやはり胸に刻んでおく必要があると思います。犯罪はもっての他ですが、たとえ誠意から発した行為であったとしても、結果的に相手の方を傷つけたり害を与えたりすることがあるのです。

以前肢体不自由の子どもたちに関わりを持っていた時、先生方や介助の方々の子どもたちへの接し方には2通りありました。例えば車いすの子どもを見かけた時、あなたならどうするでしょうか?上肢が不自由でかわいそうだから、車椅いすを押してあげる?それとも時間はかかって苦労していても、やはり自分で車いすを漕がせてあげて、じっとその様子を見守りながら待ち続ける?

あなたならどうしますか?



状況によって異なるので、どうするべきかはケースバイケースですが、子どもたちの表情を見る限り車いすを押してもらった方がうれしそうでした。しかしどうでしょう?周囲の善意から自力で車いすを漕ぐという動作を省略できたある子どもたちの上肢は筋力が弱り、拘縮・屈曲進んでしまいました。

もちろんそれを防ぐために、理学療法等のリハビリが行われるのですが、周囲の善意や思いやりが結果的に、本人にとっての自立を損なう結果を招いてしまったのでした。もちろんだからと言って、どんなに困っていても手を貸してはならないというわけではありません。やはりその相手の置かれた状況や彼を取り巻く全体的な状況を冷静に判断したうえで、本当に必要な援助が求められているのでしょう。

この問題は「こころの問題」に関しても同じですね。たとえ「相手のため」と思って行った関わりでも、結果的に害につながることもあれば、「自分は何の役にも立てられなかった」と悔やまれる結果であったとしても、返ってその方が相手の方の可能性を発揮させることにつながるかもしれません。

人との関わりと言うものは、本当に難しいものです。ですが、「害を与える」ことだけは避けたいものです。

如何でしょうか?

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