自閉症に対する無理解が引き起こした悲劇 「彼女の名はサビーヌ」
今回取り上げたDVDはこれ
大阪は、生野の街を独り言を言いながら颯爽と走り抜ける李復明(リー・プーミョン)君の日常を追ったドキュメンタリーです。プーミョン君は、画面を見る限り、知的障害と自閉症の重複障害とともに生きているようです。
また他の仲間もそれぞれの障害と生き辛さを抱えて、しかし毎日元気よく、あっけらかんと生きている。
そんな何気ない普段の様子を、彼らと関わる人たちの交流に焦点を当てて記録された映画なのです。
私は昔障害児教育に関わっていたので、映画から立ち上ってくる匂いが大変懐かしく感じました。
それにしてもリー君の姿を見ていて改めて感じるのが、「もどかしさ」です。
「あっけらかんと生きている」と先ほど書きましたが、それは外から見た時のことで、彼らの日々の生活に流れる感情は「もどかしさ」ではないでしょうか?
「わかりたいーわからない」「つながりたいーつながれない」「伝えたいー伝わらない」これ以外にも様々な思いの中で、どうにも身動きできずない「もどかしさ」
もしそれを解消してくれるとしたら、一つは周囲の人たちが彼らのもどかしさを思いやって推し量り、理解しようと近づいてくれることです。
街のおばちゃんやおじさんのやさしさは、ごく自然に気負うことなく、近づいてくれる、わかろうとしてくれる。
その自然なやさしさがうれしいですね。
多数派の健常者のやり方で、多数派の社会に一方的に適応させるということだと、
彼らの「もどかしさ」はつのる一方なんだなぁ、とつくづく思わされた映画でした。
彼らの世界に歩み寄ることに興味ある方は、ゼヒ!