自閉症に対する無理解が引き起こした悲劇 「彼女の名はサビーヌ」
今回取り上げた自閉スペクトラム症関係のDVDはこれ
自信を無くし自分を見失いかけていた看護学生・明日美が、ふとであった自閉症の青年・淳一と車でドライブにでかけることになります。最初は淳一のことを自閉症だとは気がついていなかった明日美でしたが、時間が経つにつれ気づきます。そのドライブの途中でであった人々との交流をめぐり、人生や心の成長していく様子を描いています。
実はこの映画は、企画・原作・脚本の山下久仁明さんがわが子大輝君をモデルに映画を企画されたとのことです。ところがDVDの説明によると、山下さんは大輝君を交通事故で亡くしてしまわれたそうです。その話を聞いた1000人もの支援者が寄付金の後押ししてこの映画を作りあげたとの事でした。
さて、映画の中での主人公淳一は確かに自閉症の青年です。知的には決して低くない設定でしたが、こだわりやエコラリアのような行動で特徴付けられて描かれていました。
私はかねてからずっと思い続けているのですが、彼らの住んでいる世界というのは一体どんな世界なのだろうって。「謎」、というよりも興味津々で、魅力的で仕方がないのですよ。
彼らの中で動いている感情は、たぶん自閉症ではない健常者(?)の感情の動きと大きくは変わらないだろう、ということをある本で読みました。しかし表面にでている行動だけを取り上げてみると、かなり個性的な振る舞いに見えますね。一体彼ら・彼女らはどんな世界から周囲の世界を眺め、理解しているのでしょうね。
不思議だなぁ。
でもとっても個性的。
かつ純粋である意味では繊細。
しかし周囲の世界からはある意味、弧絶した独特の世界。
といって淳一クンに聞いてみても答えは返ってこないでしょうしね。
最近は自閉スペクトラム症で知的にかなり高い方々が、ご自分の世界について説明してくれる本がたくさん出てきていますが、どれを読んでも「へぇ~、そうなのか」「ほぉ~、そんな感じなの」「ふぅ~ん、おもしろいなぁ」と思わずにはいられません。
もっともご本人にとって、それはおもしろいどころか、生きづらくてたまらないのでしょうけど。
とりあえずは、とにかく一緒にいることを許してもらって、同じ時間を共有し、何となく伝わってくる独特の世界の感触を味あわさせてもらうことから始めるしかありませんね。
自閉症の世界って、あぁ、本当に不思議だなぁ。