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岸井謙児

カウンセリング歴35年、経験と信頼のカウンセリングのプロ

岸井謙児(きしいけんじ) / 臨床心理士

カウンセリング・オフィス岸井

コラム

発達障害の主人公が出てくる映画 「マイ・ネーム・イズ・ハーン」

2014年7月6日 公開 / 2014年8月1日更新

テーマ:発達障害を考える

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

コラムキーワード: 発達障害 診断発達障害 支援

もちろんフィクションなんでしょうが、この主人公を演じているシャー・ルク・カーンという俳優さんの演技がとてもすばらしく、本当に障害をお持ちの方なのでは?と思ったぐらいです。



タイトルの「マイ・ネーム・イズ・ハーン」というのは、主人公の名前なのですが、このあとに続けて「私はテロリストではありません」というフレーズを、アメリカ大統領に直接伝え、さらにアメリカ国中に伝えてもらうまでは家に帰ることができないと思い込むのです。

映画は、最初このハーンの個人的な物語から始まります。
母親の献身的な愛と真摯に息子に向き合う態度の結果、
「私はアスペルガー症候群という障害を持っている。知的には劣っていないけれど、人との接し方に困難がある」と周囲の人に自分で伝えることができるぐらい自分自身を理解できています。
 さらに、街で出会った女性マンディラに恋心まで抱き、少しずつ自分の感情に開かれ、他の人との関係性に開かれていく様子が丁寧に描かれています。

自閉症スペクトラムと言われる子供たちの様子を見ていると、もちろん十人いれば十人十色なのですが、それでも基本的に共通するところは「自分の気持ちに自分で気がついていない」のではないか、ということです。つまり今自分は腹が立っているのだけれど、実際にそれが感情として十分実感できなかったり、寂しい思いを感じているはずなのに実感としてそれがわからなかったり。

だから表面に現れる表情だけを見ていると、なんか無表情であったり淡々と落ち着いたように見えてしまいます。しかし実は、感情の流れと言うのは定型発達の人々と比べ大きな違いはない、悲しいときには悲しみ、腹が立つ状況では怒りが沸き起こっているのだろうと思われます。そこのところのギャップが彼らの特徴ではないでしょうか。

だから悲しいときに涙したり、うれしいときに笑顔が出たり、自分の感情に開かれていくようになることが、彼らの世界をより豊かに、そして他の人々との交流の実感をかもし出してくれる第1歩だろうと思います。
そういう意味でこの映画の前半の部分は特に私にとって勉強になりました。


そこまででも私にとっては十分に学ぶことの多い映画でしたが、物語は後半に思わぬ広がりを見せていきます。
さきほど「マイネームイズハーン。私はテロリストではありません。」というフレーズをアメリカ大統領に伝えなければいけないと思い込むには「ある事情がある」のです。
それには彼がイスラム教徒であるということを抜きには考えられないのでした。

長くなりましたので、その後半の部分はまた次回アップします。

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