【ストーカートラブル】警察と弁護士のどちらに先に相談するか|ストーカー被害での順序
本記事は、2025年12月30日に施行された改正ストーカー規制法(紛失防止タグを使った位置情報の取得の規制、警察の職権による警告の創設など)を踏まえて記載しています。個別の事案での扱いは、事実関係によって異なります。
オンラインゲームでは、顔も本名も知らない相手と毎日のように言葉を交わし、仲間として長い時間を一緒に過ごすことがあります。その関係がこじれたあと、相手がゲームの外で連絡をしてきたり、住んでいる地域や勤務先を口にしたり、実際に自宅の近くに現れたりすることがあります。
「ゲームの中の話だから」と我慢を続けるうちに、相手の行動が少しずつ現実の生活に入り込んでくることもあります。この記事では、オンラインゲームで知り合った相手が現実の生活まで追ってきた場合に、どのような法律が関わるのか、記録の残し方、相談先ごとにできることを順に整理します。
ゲームの中の関係が、現実の生活に入り込む経路
相手が現実の情報にたどり着く経路は、一つとは限りません。本人が明かしたつもりのない情報が、少しずつ組み合わされて特定につながることがあります。
- ボイスチャットで話した最寄り駅や職業、地元の話題。
- ゲームと連携させたSNSアカウントや、同じユーザー名で使っている別のサービス。
- スクリーンショットや配信画面に映り込んだ部屋の様子、窓の外の景色。
- オフ会や大会で直接会ったときに知られた顔や行動範囲。
- 共通のフレンドやギルド(クラン)の仲間を通じて伝わった情報。
どの経路から情報が伝わったのかを把握しておくと、これ以上の流出を止める手立てを考えやすくなります。相手が知っていると思われることと、知らないはずのことを書き出してみるのも一つの方法です。ここで整理した内容は、後の相談でもそのまま役に立ちます。
ゲームの外まで追ってくる行為は、法律でどう扱われるか
ストーカー規制法の対象になる場面
ストーカー規制法は、特定の人への恋愛感情その他の好意の感情、またはそれが満たされなかったことへの恨みの感情から行われる「つきまとい等」を規制しています。住居や勤務先の付近での見張り、押し掛け、うろつき、待ち伏せのほか、拒まれたにもかかわらず電話やメッセージを連続して送る行為も、つきまとい等に含まれます。
ゲームの中で好意を寄せられ、断ったあとにゲーム外のSNSで連絡が続き、やがて自宅の近くに現れるという流れは、法律が想定している場面に近いといえます。ゲーム内のメッセージ機能でのやり取りがどこまで含まれるかは機能の仕組みにもよりますが、SNSのメッセージと同じように相手を指定して送る機能であれば、対象として検討される余地があります。
つきまとい等を繰り返す「ストーカー行為」には、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が定められています。また、2025年12月の改正により、被害者からの申出がなくても、警察が必要と判断した場合には職権で警告を出せるようになりました。
恋愛感情が見えない場合
ゲーム内の対立や逆恨みから始まったつきまといでは、恋愛感情や好意が見えないことがあります。その場合でも、東京都の迷惑防止条例は、ねたみや恨みなどの悪意の感情を満たす目的で行うつきまといを禁じています。お住まいの地域の条例によって規定の内容は異なります。
加えて、行為の内容によっては、次のような法律や手段が関わります。
| ゲームの外で起きている行為 | 関わり得る法律・手段 |
|---|---|
| 自宅や勤務先の近くで見張る、待ち伏せする | ストーカー規制法、迷惑防止条例 |
| 「家を知っている」「会いに行く」と告げる | ストーカー規制法(監視していると告げる行為)、内容によっては脅迫罪 |
| 本名や住所、勤務先をSNSや掲示板に書き込む | プライバシー侵害・名誉毀損としての削除請求や損害賠償 |
| 拒んでも別のアカウントで連絡を続ける | ストーカー規制法、不法行為としての損害賠償 |
| 持ち物に紛失防止タグを付ける | ストーカー規制法(位置情報無承諾取得等) |
表は目安です。実際にどの法律が当てはまるかは、行為の回数や期間、言葉の内容などを踏まえて判断されます。
現実で接触が始まったときに、まずすること
相手が自宅の近くにいる、待ち伏せされたなど、身の危険を感じる場面では、ためらわずに110番通報をしてください。そのうえで、落ち着いてから次の準備を進めます。
ゲーム内の記録は、消える前に残す
ゲームのチャットは、一定期間で見られなくなったり、相手がアカウントを削除すると履歴が消えたりすることがあります。次のような記録は、早めに手元へ保存しておくことをお勧めします。
- 相手のユーザー名、ゲームID、フレンド登録の履歴。
- 日時が分かる形で残したやり取りの画面。
- ゲームの外のSNSやメッセージアプリでの連絡。
- 自宅付近などで相手を見かけた日時、場所、様子のメモ。
- 運営会社へ通報した日時と、その回答の内容。
スクリーンショットだけでなく、画面を動画で記録しておくと、前後の流れが伝わりやすくなります。記録の残し方は、ストーカーを刺激せず関係を断つ|安全な接触遮断と証拠の残し方でも解説しています。
ブロックや退会は、記録を残してから
ブロックや退会は相手との接点を減らす有効な手段ですが、先に退会すると、自分の側からもやり取りを確認できなくなることがあります。記録を保存してから進めるほうが安心です。また、急に関係を断つことで相手が反発するおそれがある場合は、警察や弁護士に相談しながらタイミングを決めることも考えられます。
情報が伝わる経路を止める
記録を残したら、最初に確かめた経路をもとに、相手に伝わる情報を減らしていきます。ゲームと連携させたSNSの連携を外す、同じユーザー名を使っている別のサービスの公開範囲を見直す、配信や投稿で部屋の様子や周辺の景色が映らないようにする、といった対策が考えられます。共通のフレンドには、事情を話せる範囲で、自分の近況を相手に伝えないよう頼んでおくことも一つの方法です。
相手をSNSで公開しない
被害を訴えたい気持ちから、相手のユーザー名や行為をSNSで公開したくなることもあります。しかし、内容や書き方によっては、こちらが名誉毀損などを問われるおそれがあり、相手をさらに刺激することにもつながりかねません。相手のもとへ直接問いただしに行くことも、同じ理由から控えたほうがよいでしょう。
相談先ごとにできること
| 相談先 | 主にできること |
|---|---|
| ゲームの運営会社 | 利用規約に基づく警告やアカウントの利用停止。相手の情報を任意に教えてもらうことは通常は難しい |
| 警察 | 相談記録の作成、警告、禁止命令、事件としての捜査 |
| 弁護士 | 相手への通知、連絡窓口の一本化、接近禁止の仮処分、書き込みの削除請求、相手の特定や損害賠償請求 |
運営会社への通報は早めに行っておく意味がありますが、運営会社にできるのはゲームの中での対応が中心です。現実の生活にまで行為が及んでいるときは、警察への相談を並行して進めることが考えられます。どちらから先に動くかは、【ストーカートラブル】警察と弁護士のどちらに先に相談するか|ストーカー被害での順序で整理しています。
警察の禁止命令については、【ストーカートラブル】禁止命令を出してもらうには|申出の方法と出るまでの期間も参考にしてください。裁判所を通じて接近を禁じる方法もあり、両者の使い分けは接近禁止を実現する2つの道|ストーカー規制法(警察)と民事保全(裁判所)の使い分けで解説しています。
相手の本名や住所が分からないときの進め方
オンラインゲームでは、相手の本名も住所も分からないまま被害が続くことがあります。警察が事件として捜査する場合には、その過程で相手が特定されることがあります。
民事の手続では、SNSや掲示板への書き込みであれば、発信者情報開示の手続で投稿者をたどれる場合があります。ただし、ゲーム内の1対1のメッセージのように、不特定の人に向けて公開されていないやり取りは、この手続の対象にならないとされることがあり、たどれる範囲には限りがあります。
相手をたどれない場合でも、記録を整え、警察へ相談し、情報が伝わる経路を一つずつ止めていくことはできます。詳しくは、【ストーカートラブル】相手が誰か分からない|匿名のつきまといで相手をたどる方法と、たどれないときの守り方をご覧ください。
よくあるご質問
一度も会ったことがない相手でも、ストーカーとして相談できますか
ストーカー規制法は、交際していたことや直接会ったことを要件にしていません。ゲームの中だけの知り合いであっても、好意やその裏返しの恨みからつきまといが繰り返されていれば、警察に相談できます。ネット上の行為の扱いについては、【ストーカートラブル】SNSに毎日コメントされる|ネット上の行為は規制法の対象になるかでも触れています。
ゲームをやめれば解決しますか
ゲームをやめることで接点が減り、落ち着く場合もあります。一方で、相手がすでに現実の情報を知っているときは、ゲームをやめても行為が止まらないことがあります。やめる前に記録を残し、相手が知っている情報を整理しておくことが大切です。
住所をネットに書き込まれてしまいました
削除の求め方と、その日の安全確保を並行して考える必要があります。手順は【ストーカートラブル】ネットに自宅の住所を書き込まれた|削除とその日の安全確保で解説しています。
子どもがオンラインゲームで知り合った相手につきまとわれています
子どもの場合、相手から口止めされて親に話せずにいることもあります。親として取れる対応は、【ストーカートラブル】未成年の子どもがつきまといに遭っている|親ができることで整理しています。
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ご相談をお考えの方へ
ゲームで知り合った相手とのトラブルは「ゲームの中のこと」と受け止められがちで、周囲に相談しにくいものです。けれども、相手の行動が現実の生活にまで及んでいるなら、ゲームの中だけの問題として抱え込む必要はありません。記録が残っているうちに、何から手をつけるかを整理していくことが、落ち着いた生活を取り戻す近道になります。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


