【親子問題】子がオンラインカジノにのめり込んでいる|親が確かめること・避けたい対応
本記事は、成人した子が親名義の家に親と同居している場面を主に想定して解説しています。未成年の子の場合や、家の名義が親以外にある場合は考え方が変わるため、該当する箇所で補足しています。
リビングに子が一日中居続けて、ほかの家族が入れない。台所や浴室を子が使っている時間帯は、家族が近づけない。空き部屋や廊下に子の荷物が積み上がり、家の一部が実質的に使えなくなっている。成人した子との同居では、このように家の一部を子が「占拠」し、親やきょうだいが自分の家なのに居場所を失っている、というご相談が寄せられます。
本記事では、親名義の家で子がどのような立場で住んでいるのか、親が自分でできること・控えたほうがよいこと、使えない状態を改めるための手段を順に整理します。
家の一部が「占拠」されている状態とは
- 子がリビングに閉じこもり、家族が入ると怒鳴るので近づけない。
- 子が深夜まで浴室を使い、ほかの家族は子が済ませるまで入れない。
- 空き部屋や廊下、親の部屋の一部にまで子の荷物が置かれている。
- 台所の冷蔵庫や食器を子が独占し、家族が使うと怒る。
- 「ここは自分の場所だ」「嫌なら出て行け」と言われる。
いずれも、法律上は「所有者である親が、自分の家の一部を使えない状態にある」と整理できます。ただし、どこまでが親子の生活上の衝突で、どこからが法的な対応を考える段階かは、子の言動や家族への影響によって変わります。まずは、子がこの家にどのような立場で住んでいるのかを確かめるところから始めます。
親名義の家で、子はどのような立場で住んでいるのか
家の使い方を決めるのは、原則として所有者
家の所有者は、法令の範囲内で自分の家を自由に使う権利を持っています(民法206条)。親名義の家であれば、どの部屋を誰がどのように使うかを決めるのは、原則として所有者である親です。子が「自分の家でもある」と主張しても、それだけで子に家の使い方を決める権利が生じるわけではありません。
同居の子は、親の許しを受けて住んでいる
成人した子が家賃を払わずに親の家に住んでいる場合、親の好意で無償で住まわせている関係として、使用貸借(民法593条)にあたると考えられることがあります。家族として同居しているだけで、独立した権利を持たないと評価される場合もあります。
使用貸借で、期間も使う目的も定めていなかったときは、貸主はいつでも契約を解除できるとされています(民法598条2項)。ただし、長く家族の住まいとして使われてきた経緯などから、解除の効力が争われることもあり、個別の事情によって見通しは変わります。
家の名義が親以外にある場合
家が祖父母名義であったり、きょうだいとの共有であったりする場合は、誰が退去や使い方の変更を求められるのかが変わります。名義の確認は、対応を考える前の出発点になります。祖父母名義の家については【親子問題】祖父母名義の家に子が居座っている、誰が退去を求める?で解説しています。
自分で取り戻そうとする前に確認しておきたいこと
所有者だからといって、子が使っている場所を力ずくで取り戻してよいわけではありません。法律上の手続によらずに自分で権利を実現することは「自力救済」と呼ばれ、原則として認められていません。
| 親がとりがちな対応 | 考え方 |
|---|---|
| 子の荷物を無断で捨てる・処分する | 子の所有物であれば、器物損壊や損害賠償の問題になるおそれがある |
| 子が使う部屋の鍵を勝手に替える・締め出す | 子の生活の場を一方的に奪う行為として、責任を問われるおそれがある |
| 共用部分にある子の荷物を別の場所へ移す | 処分せずに保管するのであれば問題になりにくいが、衝突の引き金になることがある |
| 親や家族の部屋に鍵を付ける | 自分たちの身を守るための措置として、一般に考えられる対応 |
とくに、子が感情的になりやすい場合、親が先に動くことで衝突が激しくなることがあります。鍵や締め出しの考え方は【親子問題】鍵を替える・締め出すことの可否|自力救済の限界で詳しく扱っています。
刑事事件として扱われうる場面
子が家の一部を使い続けているだけであれば、直ちに犯罪になるわけではありません。一方で、暴力や脅しを使って家族を部屋から追い出したり、家族がその場所を使うのを妨げたりしている場合は、刑事上の問題として扱われることがあります。
- 暴行や脅迫を用いて、家族が自宅の部屋を使う権利の行使を妨げる場合は、強要罪(刑法223条)にあたる可能性があります。
- 「入ったらただでは済まない」など、身体や生命に危害を加えることを告げる言動は、脅迫罪(刑法222条)が問題になることがあります。
- 家族を部屋から押し出す、物を投げるといった行為は、暴行罪や傷害罪の対象になりえます。
- 家族の物や家の設備を壊した場合は、器物損壊が問題になります。
危険を感じたときは、ためらわずに110番してください。その場で何を伝えればよいかは【親子問題】110番を呼ぶ判断基準|その場で何を伝えるかにまとめています。また、65歳以上の親が家を使えない状態に置かれている場合は、高齢者虐待防止法にもとづく市区町村の対応の対象になることがあります(【親子問題】高齢の親が被害者の場合|行政が動く仕組み)。
家族が使えない状態を改めるための進め方
まず、状況を記録する
後で話し合いや手続に進む場合、どの場所が、いつから、どのように使えなくなっているかが具体的に分かる資料が土台になります。
- 使えなくなっている部屋や設備と、使えなくなった時期。
- 家族が入ろうとしたときの子の言動(日時と内容)。
- 共用部分に置かれた荷物の写真。
- 壊された物や設備の写真、修理の見積もり。
- 警察や行政に相談した日と窓口名。
家の使い方を話し合い、書面にする
子との話し合いが可能であれば、リビングや浴室を使う時間帯、荷物を置いてよい場所などを具体的に決め、書面に残す方法があります。親子間の合意書は、守られなかったときにそれだけで強制できるとは限りませんが、何を約束したかがはっきりし、次の段階に進むときの資料になります(【親子問題】親子間で合意書を作る|約束を書面にする意味と限界)。
弁護士を窓口にする
親が直接話すと、過去の経緯や感情が絡んで話がこじれることがあります。弁護士が親の代理人として間に入ると、家の使い方や同居の今後について、第三者の立場から子に伝えることができます(【親子問題】弁護士に頼むと何が変わるのか|窓口を代えるという選択)。
家庭裁判所の調停を使う
当事者だけで話し合いが進まない場合、家庭裁判所の調停を利用し、調停委員を交えて家族間の関係や同居の条件について話し合う方法もあります。調停は非公開で行われ、原則として当事者から別々に話を聞く形で進むため、子と同じ場で向き合うことに不安がある場合にも検討しやすい手続です。
家からの退去を求める
話し合いで改まらない場合、使用貸借を解除して家の明渡しを求めることも考えられます。ただ、家の一部だけを明け渡すよう求める手続は組み立てにくく、実際には子に家を出てもらうかどうかという判断になることが多いでしょう。明渡しの手続と、その先に残る課題は【親子問題】子を家から出ていかせることはできるのか|占有と明渡しで解説しています。
ほかの家族の安全を優先する
きょうだいや高齢の家族が家の中で居場所を失い、心身に影響が出ている場合は、手続の結論を待つより先に、一時的に家を離れることも選択肢になります(【親子問題】避難先の確保|一時的に親が家を出るという選択)。暴力が家族全体に及んでいる場合の対応は【親子問題】きょうだいや配偶者にも暴力が及んでいる場合をご覧ください。
子が未成年の場合
子が18歳未満であれば、親には子を監護し養育する責任があり、成人した子と同じように退去を求めることはできません。家の使い方をめぐる衝突が続き、家族の生活や安全に影響が出ている場合は、児童相談所や市区町村の子ども家庭支援の窓口、学校などに相談し、家庭の外の支援につなげることが中心になります。
当事務所の取り組み
家の一部を占拠する状態は、子の側の生活の行き詰まりや、親との距離の近さが背景にあることも少なくありません。当事務所では、弁護士が親の側の窓口となって子と向き合う一方、民間の自立支援カウンセラーが子の住まい探しや仕事、日々のお金の管理などを支え、子が家を出て自分の生活を築けるよう伴走する形で対応しています。結果を保証できるものではありませんが、親子が物理的な距離を取ることで、双方の生活が立て直されていく場面を見てきました。
サービスの内容は【親子問題】弁護士が「親の代理人」として親子問題に介入するサービス|家庭内暴力・ひきこもりに悩むご家庭へ、自立支援カウンセラーとチームで対応でご紹介しています。
よくあるご質問
共用部分に置かれた子の荷物を、片付けてもよいですか
処分せずに子の部屋の前などへまとめて保管するのであれば、問題になりにくいと考えられます。ただし、子が強く反発するおそれがある場合は、片付ける前に、移す場所と理由を書面などで伝えておくと、後の争いを避けやすくなります。捨てたり売ったりすることは控えてください。
子が「自分にも住む権利がある」と言っています
親名義の家であれば、子に当然に住む権利があるわけではありません。ただ、長く同居してきた経緯や子の生活状況によっては、すぐに退去を求められるとは限らないため、名義や同居に至った事情を整理したうえで、どのように進めるかを考えます。
占拠されているのが親の寝室です
親が休む場所を確保できない状態は、心身への影響が大きく、早めの対応が望まれます。寝室に鍵を付けることの考え方は【親子問題】子が親の寝室に押し入ってくる、鍵を付けてもいい?で解説しています。
まとめ
- 親名義の家の使い方を決めるのは、原則として所有者である親です。
- 子の荷物の処分や締め出しなど、手続によらずに取り戻す行為は控えたほうが安全です。
- 暴力や脅しで家族を追い出している場合は、刑事上の問題として警察に相談できます。
- 記録を残したうえで、話し合い・弁護士の介入・調停・明渡しの順に手段を考えます。
- ほかの家族の安全が脅かされているときは、手続より先に安全の確保を優先します。
家の一部が使えない状態は、毎日の生活に直接響くため、家族が我慢を重ねてしまいがちです。どこまでを話し合いで改め、どこからを法的な手続に委ねるかは、家の名義や子の言動、家族の状況によって変わります。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


