【ストーカートラブル】自宅のゴミをあさられている|その日の安全確保と、記録・出し方の見直し
この記事は、2026年10月22日時点の刑事訴訟法、刑法、ストーカー行為等の規制等に関する法律、警察の被害者連絡制度および法務省の被害者等通知制度の運用に基づいて記載しています。連絡の方法や時期は、事件を扱う警察署や検察庁、事件の内容によって異なることがあります。
ストーカー被害で相手が逮捕されたと知ったとき、ひとまず安心する一方で、「この先、誰からどんな連絡が来るのか」「相手や相手の弁護士から直接連絡が来ることはないのか」と不安を感じる方は少なくありません。法律相談サイトにも、加害者の逮捕後に検察官から話を聞きたいと言われた、加害者の弁護士から示談の提案が届いたといった、被害者側からの質問が寄せられています。
逮捕の後に被害者へ連絡をしてくる可能性があるのは、警察、検察庁、加害者の弁護人、そして加害者本人やその家族です。このうち警察や検察庁からの連絡には、こちらから希望を伝えておかないと届かない項目があります。反対に、加害者側からの連絡は、受けるかどうかを被害者の側で選べる場面が多くあります。
この記事では、相手が逮捕された後に被害者へ届く連絡を、送り手ごとに整理します。通知制度の細かな仕組みや、釈放・不起訴への備えは別の記事で扱っていますので、ここでは「誰から、何のために、いつごろ連絡が来るのか」という全体像に絞って説明します。
逮捕の後に連絡をしてくる可能性があるのは誰か
| 連絡の送り手 | 主な用件 | 時期の目安 |
|---|---|---|
| 警察(担当の捜査員) | 逮捕したことの連絡、追加の事情聴取、釈放に関する連絡 | 逮捕の直後から検察庁への送致の前後 |
| 検察庁(担当の検察官・検察事務官) | 事情聴取、処罰についての意向の確認、処分結果の通知 | 勾留中から処分の決定まで |
| 加害者の弁護人 | 謝罪や示談の申入れ | 勾留中から起訴の前後が多い |
| 加害者本人・家族 | 謝罪、被害届の取下げの依頼など | 釈放後など(応じる必要はない) |
逮捕された人は、48時間以内に検察官へ送られ、検察官が勾留を請求して認められると、原則10日間、延長されるとさらに最大10日間、身柄を拘束されることがあります(刑事訴訟法203条・205条・208条)。起訴するかどうかは、多くの場合この勾留の期間内に決まるため、被害者への連絡もこの時期に集中しやすいといえます。
警察からの連絡|自動的に届くとは限らない
逮捕の連絡と追加の事情聴取
被害届を出したり告訴をしたりしていた場合、担当の捜査員から、相手を逮捕したことや今後の手続の流れについて連絡が来ることがあります。逮捕の後は、被害の経緯をより詳しく確かめるために、改めて警察署で事情聴取を受けることも少なくありません。事情聴取で聞かれる内容については、【ストーカートラブル】被害届を出した後の事情聴取|何を聞かれるのかで詳しく扱っています。
被害者連絡制度の対象と、希望を伝えておく意味
警察には、事件を担当する捜査員が、被疑者の検挙状況や逮捕した被疑者の処分状況などを被害者に連絡する「被害者連絡制度」があります。ただ、この制度の対象は、殺人・傷害・性犯罪などの身体犯や重大な交通事故事件が中心とされています。対象に含まれない事件でも、捜査に支障のない範囲で被害者の要望に配慮して対応する運用とされていますが、連絡の有無や範囲は事件によって差があります。
そのため、ストーカー規制法違反の事件で確実に知らせてほしいことがある場合は、担当の捜査員に「逮捕後の状況や、釈放されるときは知らせてほしい」と自分から伝えておくことが大切です。担当者の部署名と氏名、伝えた日付を手元に控えておくと、後で問い合わせるときに役立ちます。
釈放された場合の連絡
勾留が認められなかった場合や、処分保留で釈放された場合など、起訴されるかどうかが決まる前に相手が外に出ることもあります。警察は、再び危害を加えられるおそれがある被害者について、釈放に関する情報を伝える必要性を個別に判断しています。釈放の時期が分かったときの備えは、【ストーカートラブル】相手が釈放される|時期を知る方法と、その日に備えることで整理しています。
検察庁からの連絡|処罰についての意向と処分の結果
検察官による事情聴取
事件が検察庁に送られると、担当の検察官から、話を聞かせてほしいと連絡が来ることがあります。検察官は、起訴するかどうかを判断するにあたり、被害の内容に加えて、被害者が相手の処罰を望んでいるかどうかや、示談の状況なども確認します。この段階で、相手の弁護人から示談の申入れが出ていることを知らされる場合もあります。
処罰についての気持ちは、その時点の率直な考えを伝えれば足ります。迷いがある場合は、迷っていること自体を伝えてもかまいません。
処分の結果は希望すれば通知される
検察庁には、事件の処理結果や裁判の結果などを被害者に知らせる「被害者等通知制度」があり、事情聴取の際に通知を希望するかどうかを確認されるのが通常です。ただし、勾留や保釈といった相手の身柄の状況、不起訴の理由の骨子などは、特に希望した場合に通知される事項とされています。段階ごとに知らされる内容と申出の方法は【ストーカートラブル】被害者等通知制度を使う|相手の処分や出所の時期を知るで、相手が不起訴になった場合の確認の仕方は【ストーカートラブル】相手が不起訴になった|処分の結果を知る方法と身を守る準備で扱っています。
加害者の弁護人からの連絡|示談の申入れ
弁護人が被害者の連絡先を知る経路
逮捕された相手に弁護人がつくと、弁護人から謝罪や示談の申入れが来ることがあります。もっとも、被害者の連絡先が、本人の了解なく捜査機関から弁護人に伝えられることは通常ありません。一般的には、弁護人が警察や検察官に示談の意向を伝え、捜査機関が被害者に連絡先を教えてよいかを確認し、了解が得られた場合に限って弁護人に伝えるという流れがとられています。
連絡先を伝える場合も、電話番号だけにする、自分の代理人である弁護士の連絡先にするといった選び方ができます。住所を相手方に知られたくない事情があれば、その点もあわせて捜査機関に伝えておきます。なお、被害者や親族に危害が加えられるおそれがある事件などでは、逮捕状などに被害者の氏名や住所を記載しない措置がとられることもあります(刑事訴訟法201条の2)。
示談に応じるかどうかは自由に決められる
示談の申入れに応じる義務はありません。話を聞いたうえで断ることもできますし、刑事処分が決まった後に損害賠償を求める道も残ります。応じる場合には、金額だけでなく、接触しないことの約束や、約束に反したときの取り決めをどう定めるかが重要になります。
申入れを受けたときの確認事項は加害者側から示談を持ちかけられた|応じる前に確認すること、示談に入れる条件は【ストーカートラブル】示談に入れる条件|接触禁止・転居・違約金で解説しています。弁護人を通じて面会を求められた場合については、【ストーカートラブル】相手が弁護士を通じて「会って謝りたい」と言ってきた|面会を断っても謝罪や示談の道は残るもあわせてご覧ください。
加害者本人や家族から連絡が来たとき
勾留されている間は、相手が外部と自由に連絡を取ることはできません。ただ、釈放された後や、家族が代わりに動く場合には、謝罪の手紙や、被害届を取り下げてほしいという依頼が届くことがあります。
こうした連絡に、被害者が応じる必要はありません。事件に関して正当な理由なく面会を強く求めたり、威圧的な言動をしたりすることは、証人等威迫罪として処罰の対象になり得ます(刑法105条の2)。また、禁止命令が出ている場合や、保釈の条件で被害者との接触が禁じられている場合には、連絡そのものが違反にあたることがあります。
連絡が来たときは、返信をせず、日時・方法・内容を記録したうえで、担当の捜査員か検察官に伝えてください。家族からの働きかけについては【ストーカートラブル】相手の家族から被害届を取り下げるよう迫られている|応じる前に考えることと、働きかけを止める順序で、手紙が届いた場合は【ストーカートラブル】相手から謝罪の手紙が届いた|受け取るかどうかで扱っています。
連絡に備えて、今のうちに決めておくこと
- 知らせてほしい事項(逮捕後の状況、釈放の有無、処分の結果など)。
- 連絡を受ける窓口(本人、家族、代理人の弁護士のいずれにするか)。
- 加害者の弁護人に連絡先を伝えるかどうかと、伝える場合の範囲。
- 示談の申入れがあった場合の基本的な考え方。
- 加害者側から直接連絡が来たときの記録の方法と、伝える先。
これらを前もって整理しておくと、突然連絡が来たときにも、その場で結論を出さずに「検討して折り返します」と答える余裕が生まれます。
弁護士が窓口になる意味
逮捕後の連絡は、短い期間に複数の機関や相手方から届くことがあります。被害者が代理人として弁護士を立てると、捜査機関とのやり取りや、加害者の弁護人との連絡を弁護士が担い、ご本人が相手方と直接話す場面を減らすことができます。相手方の弁護士は、被害者に代理人がついている場合、正当な理由なく代理人の承諾を得ずに本人と直接交渉してはならないとされています(弁護士職務基本規程52条)。
被害者等通知制度の通知も、弁護士である代理人が受け取ることができます。届いた情報をもとに、示談への対応、禁止命令や接近禁止の仮処分の検討、損害賠償の請求までを一続きで組み立てられる点も利点です。代理人を立てることの全体像は【ストーカートラブル】弁護士に依頼すると何が変わるのか|ストーカー被害で代理人を立てる意味で、加害者と直接話すことの危険については【ストーカートラブル】加害者と直接話し合うのは危険?代わりに誰が話せばいい?で解説しています。
よくあるご質問
相手が逮捕されたと聞いたのに、警察から何の連絡もありません。問い合わせてもよいですか。
問い合わせてかまいません。事件を担当する警察署に、被害者であることと事件の内容を伝えれば、捜査に支障のない範囲で状況を教えてもらえることがあります。今後も連絡がほしい場合は、その場で希望を伝えておきます。
加害者の弁護人に、自分の連絡先が勝手に伝わることはありますか。
捜査機関から伝えられる場合は、被害者の了解を確認したうえで伝える運用が通常です。ただ、ストーカー事件では、相手がもともと電話番号やSNSのアカウントを知っていることも多く、その情報が弁護人に共有される可能性は残ります。了解していないのに弁護人から連絡が来た場合は、直接やり取りを続ける前に、担当の捜査員や検察官、または弁護士に相談してください。
示談を断ると、相手から逆恨みされないか心配です。
断ったことを理由に被害者へ接触することは、禁止命令や保釈の条件に反するおそれがあり、事件に関する威圧的な接触は処罰の対象にもなり得ます。不安がある場合は、断る連絡を代理人の弁護士を通じて行い、警察にも状況を伝えておくと、備えを重ねることができます。
まとめ
- 逮捕後に連絡をしてくる可能性があるのは、警察、検察庁、加害者の弁護人、加害者本人や家族です。
- 警察の被害者連絡制度は身体犯などが中心のため、知らせてほしい事項は担当の捜査員に自分から伝えておくことが大切です。
- 検察庁の被害者等通知制度では、身柄の状況や不起訴の理由の骨子などは、特に希望した場合に通知されます。
- 捜査機関から加害者の弁護人に連絡先が伝えられるのは、通常、被害者が了解した場合に限られ、示談に応じるかどうかも自由に決められます。
- 加害者本人や家族からの連絡には応じる必要はなく、記録して捜査機関に伝えることが基本です。
相手が逮捕された後は、手続が短い期間で進み、思いがけない相手から連絡が届くこともあります。どの連絡に応じ、何を確認しておくかを早めに整理しておくことが、落ち着いて対応するための支えになります。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


