【男女トラブル】交際中のLINEを親に見せると言われた|見せる中身と引き換えの条件で分けて考える
別れた後になって、元恋人から「交際中に貸したお金」として、日付と金額が並んだリストが送られてくることがあります。食事代や旅行代、プレゼント、生活費、振込みまでがひとまとめにされ、合計額とともに「返してほしい」と添えられていると、一つひとつの記憶があいまいなまま、すべて払わなければならないように感じるかもしれません。
しかし、リストに書かれているからといって、その全部に返す義務があるとは限りません。交際中のお金のやり取りには、借りたもの、立て替えてもらったもの、贈られたものが混ざっていることが多く、それぞれで考え方が変わります。この記事では、リストを受け取ったときの初動から、項目ごとの見直し方、返事の仕方までを順に整理します。
本記事は、交際関係にあった当事者間のお金のやり取りについて、一般的な考え方をまとめたものです。実際に返す必要があるかどうかは、渡されたときの経緯や残っている記録によって変わります。
リストが届いたとき、最初にしておきたいこと
リストを見てすぐに「全部返します」「少しずつ払います」と返事をしたくなる方もいますが、まずは内容を確かめる時間を取ることが大切です。その場で返した言葉が、後の話し合いで「返す約束をした」と受け取られることがあるためです。
- 届いたリストやメッセージは、画面の保存や印刷をして、そのままの形で残します。
- 相手とのLINEやメールの履歴は、都合が悪く見えるものも含めて消さずに残します。
- 自分の通帳、カードの利用明細、振込みの記録など、手元で確かめられる資料を集めます。
- 返事は急がず、「内容を確認してから連絡します」程度にとどめます。
履歴を消してしまうと、相手が「貸した」と言うお金を渡されたときに、実際にはどんな言葉が交わされていたのかを確かめる手がかりがなくなります。自分にとって有利な記録も不利な記録も、まずは残しておくことが、後の整理の土台になります。
リストの項目は、性質ごとに分けて考える
元恋人から送られてくるリストには、性質の異なるお金が一緒に書かれていることがよくあります。次の表は、項目ごとの考え方の目安です。
| 項目の例 | 考え方の目安 | 確かめたい記録 |
|---|---|---|
| 「貸して」と頼んで受け取ったお金 | 返す約束があれば、貸したお金として返還が求められることがある | 借用書、「返す」と書いたメッセージ |
| 相手が一時的に払い、後で精算すると決めていた費用 | 立て替えとして、精算が求められることがある | 精算を約束したやり取り |
| デート代・食事代・旅行代 | 相手が自分の判断で負担したものは、贈与と見られることが多い | 誰がどんな経緯で払ったか |
| 誕生日などのプレゼント | 渡し終えた贈り物は、後から取り消すことが難しいとされている | 贈られたときの状況 |
| 同棲中の生活費 | 二人の間で決めた分担のルールによって変わる | 家計の分け方についてのやり取り |
「貸した」と言えるために必要なこと
お金を貸したといえるのは、渡すときに「後で返す」という合意があった場合です(民法587条)。お金が渡ったという事実だけでは足りず、返す約束があったかどうかが分かれ目になります。そして、裁判などで返還を求める場合、この返す約束があったことを示すのは、通常、請求する側です。
振込みの記録は、お金が渡ったことを示す資料にはなりますが、それだけで返す約束まで示すとは限りません。交際中は借用書を作らないことも多いため、渡されたときのメッセージや、その後に「返すね」「給料が入ったら払う」と書いたかどうかといった、前後のやり取りが重視されます。
贈り物を後から「貸した」に変えることはできるか
書面によらない贈与は、まだ渡していない部分については解除できますが、すでに渡し終えた部分は解除できないとされています(民法550条)。別れたことをきっかけに、渡し終えたプレゼントや、相手が自分から払ったデート代を「貸したことにする」という主張は、そのままでは通りにくいと考えられます。
ただし、渡されたときに「結婚資金として預ける」「引っ越したら返して」などの条件が付いていた場合は、単純な贈り物とは評価が変わることがあります。どの項目にどのような言葉が添えられていたのかを、一つずつ確かめていく必要があります。
リストを一つずつ見直すときの手順
- 日付と金額を、自分の通帳や明細、相手とのやり取りと照らし合わせます。
- そのお金を自分が実際に受け取ったのか、相手が店などに直接払ったのかを分けます。
- 受け取ったときに「返す」と言ったか、書いたかを確かめます。
- すでに返した分や、相手のために自分が払った分がないかを書き出します。
- 古い項目については、渡された時期を確かめます。
相手が作ったリストには、記憶違いや重複、二人で使ったのに全額が書かれている費用が含まれていることもあります。合計額だけを見るのではなく、項目ごとに「認める」「認めない」「確認できない」の3つに仕分けておくと、返事をするときに迷いにくくなります。
時間が経っている項目について
貸したお金を返すよう求める権利は、請求できると知った時から5年、請求できる時から10年で、時効により消滅するとされています(民法166条1項)。2020年4月より前に生じたお金は、改正前の民法が適用される場合があります。ただし、時効は期間が過ぎれば自動的に効果が生じるものではなく、主張して初めて意味を持ちます。
してしまいがちだが、慎重に考えたい対応
リストを受け取った方が、早く終わらせたい気持ちから取りがちな対応の中には、後で選べる手段を狭めてしまうものがあります。
- 内容を確かめないまま「全部返す」とメッセージや書面で約束すること。
- リストの一部だけを先に支払うこと。
- 相手が用意した合意書や借用書に、その場で署名すること。
- 相手と二人きりで会って、金額の話し合いをすること。
- 相手の要求をSNSなどで第三者に公開すること。
特に、返す義務があるかはっきりしない段階で「払う」と約束したり一部を払ったりすると、その項目について借りたことを認めた、と受け取られることがあります。また、時効が問題になる古い項目では、支払いの約束や一部の支払いが、時効の進行を新たにやり直す「承認」にあたる場合があります(民法152条)。払うかどうかは、項目の仕分けが済んでから決めても遅くはありません。
リストと一緒に別の要求が書かれている場合
リストに「払わなければ家族や職場に話す」「写真をばらまく」といった言葉が添えられていることもあります。返してほしいお金が実際にあったとしても、相手を怖がらせるような方法で支払いを迫ることは、内容によっては脅迫罪(刑法222条)や恐喝罪(刑法249条)にあたる可能性があります。
このような言葉が届いたときは、返事をする前にそのメッセージを保存し、身の安全に不安があれば警察への相談も考えてください。お金の問題と、脅すような言動の問題は分けて考え、後者については一人で対応しないことが大切です。
また、貸したお金に加えて「交際にかけた時間」や「精神的な苦痛」の代金が上乗せされていることもあります。交際を終えたこと自体を理由に慰謝料を請求できる場面は限られており、リストの他の項目とは別に、その根拠を確かめる必要があります。
相手にどう返事をするか
項目の仕分けができたら、相手への返事を考えます。返事の方向性としては、主に次のようなものがあります。
- 確認に時間がかかることを伝え、それまでは支払いの約束をしない。
- 認めない項目について、渡されたときの経緯を示して返す義務がないと伝える。
- 記録が見当たらない項目について、相手に根拠となるやり取りを示してもらう。
- 認める項目があれば、その分だけを返すことを提案する。
- 弁護士に窓口を任せ、自分では直接やり取りしない。
認める部分があるときの終わらせ方
一部を返すことで話をまとめる場合は、口約束だけで終わらせず、合意書を作っておくことが望まれます。返す金額と支払い方法に加えて、「この合意で示した以外に、互いに金銭の請求をしない」という清算の条項を入れておくと、後から別のリストが届くことへの備えになります。連絡を控えてほしい場合は、その取り決めもあわせて書面にしておくことが考えられます。
弁護士に相談する意味
元恋人とのお金の話し合いは、交際中の感情が残っているため、冷静に項目を一つずつ確かめることが難しくなりがちです。相手が「全部払うまで連絡を続ける」という姿勢であれば、やり取りそのものが負担になることもあります。
弁護士が代理人として入る場合、リストの項目を法的な性質ごとに仕分け、返す義務がありそうなものと、そうでないものを整理したうえで、相手と交渉します。窓口を弁護士に代えることで、相手から直接連絡が来る状況を変えられることもあります。認める部分がある場合には、清算の条項を含む合意書の作成まで対応します。
よくあるご質問
リストを無視していてもよいですか
返す義務がない項目ばかりであっても、何も返事をしないままでいると、相手が内容証明郵便を送ってきたり、裁判を起こしたりすることがあります。裁判所から書類が届いた場合に放置すると、相手の言い分どおりの判断が出るおそれもあります。払うかどうかとは別に、届いたものには期限内に対応できるよう備えておくことが大切です。
交際中に「返すね」と言ったことがあります
その言葉がどの項目について、どのような状況で出たのかによって評価が変わります。あいさつ代わりの言葉だったのか、具体的な金額と時期を約束したものだったのかを、前後のやり取りとあわせて確かめる必要があります。
相手の家族から同じリストが届きました
お金を渡したのが元恋人本人であれば、請求できるのも原則として本人です。家族が代わりに請求してくる場合は、本人から頼まれているのかを確かめたうえで対応を考えます。
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弁護士法人若井綜合法律事務所へのご相談
元恋人から届いたお金のリストは、合計額が大きく見えても、項目ごとに分けて見直すと、返す必要があるものとないものが見えてくることがあります。払う約束をする前に、まずは手元の記録とリストを照らし合わせるところから始めてみてください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
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