【風俗トラブル】弁護士への依頼後、店から本人に直接連絡が来たら?

若井亮

若井亮

テーマ:風俗トラブル

この記事は、風俗店とのトラブルで弁護士に依頼した後、店から本人に直接連絡が来た場面について、一般的な考え方を整理したものです。実際の対応は、依頼の内容や連絡の中身、それまでの経緯によって変わります。


風俗店とのトラブルで弁護士に依頼し、これで店とのやり取りは弁護士を通すことになると考えていたところに、店から本人の携帯電話へ着信やメッセージが届くことがあります。弁護士に任せたはずなのに連絡が来ると、依頼が伝わっていないのではないか、出ないと不利になるのではないかと不安になる方も少なくありません。

 この記事では、依頼後に店から直接連絡が来る理由、連絡が来たときに本人がしないほうがよいこと、対応の順序、弁護士が店に対して取る対応を順に説明します。

弁護士に依頼した後も、店から連絡が来ることはある

 弁護士が依頼を受けると、多くの場合、相手方に「受任通知」を送ったり電話で伝えたりして、今後の連絡は弁護士宛てにするよう求めます。これを受けた相手方の多くは、その後は弁護士と話をするようになります。

 ただし、風俗トラブルの受任通知には、店が本人に連絡すること自体を法律で禁止する効力までは一般にありません。借金の債務整理では、受任通知を受け取った貸金業者が本人へ直接取り立てることが貸金業法で禁じられていますが、これは貸金業者を対象にした特別な規定です。

 また、弁護士には、相手方に弁護士が就いている場合、その弁護士の承諾なく相手方本人と直接交渉してはならないというルールがあります(弁護士職務基本規程52条)。しかし、このルールは弁護士を対象にしたもので、店の担当者を直接縛るものではありません。受任通知は「今後は弁護士が窓口になる」という申入れであり、店がそれにどう応じるかには、店の対応に委ねられる部分が残ります。受任通知の働きについては、受任通知とは何か|送られると相手方との関係はどう変わるかでも説明しています。

依頼後に店から直接連絡が来る主な理由

 依頼後の直接連絡には、いくつかの事情が考えられます。理由によって受け止め方も変わるため、まず整理しておくことが大切です。

考えられる事情よくある場面受け止め方の目安
連絡が届く前のすれ違い依頼した当日や翌日に着信がある弁護士からの連絡が店に届けば落ち着くことが多い
店の中で共有されていない別の担当者や系列店から連絡が来る店内での情報共有を弁護士から求める
本人に直接働きかけたい「弁護士抜きで話そう」「今なら安く済む」と言われる応じずに弁護士へ伝える
店以外の人物からの連絡女性本人や知人を名乗る人から連絡が来る誰が請求しているのかを弁護士が確かめる


連絡が届く前のすれ違い

 弁護士が店に依頼を受けたことを伝えるまでには、多少の時間がかかることがあります。書面で通知する場合は、郵送の日数もかかります。その間に、店がそれまでの流れのまま本人へ連絡してくることは珍しくありません。依頼の直後の着信は、まずこのすれ違いを考えます。

店の中で情報が共有されていない

 店長には弁護士からの連絡が届いていても、別の従業員や系列店の担当者には伝わっていないことがあります。受付の担当者が、以前の着信履歴に折り返す形で連絡してくる場面も考えられます。

本人に直接働きかけたい意図がある場合

 店によっては、弁護士を通すと請求が通りにくくなると考え、本人に直接連絡して支払いを促すことがあります。「弁護士に頼むと費用がかかる」「今なら少ない金額で終わる」「弁護士を入れたなら警察に行く」などと伝えてくる例もあります。こうした連絡は、本人の不安に働きかけて弁護士を通さずに話をまとめようとするものと受け止め、その場で判断しないことが大切です。店から弁護士を入れることについて強い言葉をかけられた場面は、【風俗トラブル】店から「弁護士を入れたら話は終わりだ」と言われたでも取り上げています。

 なお、店が女性従業員に代わって示談の条件を示したり示談金を受け取ったりすることは、報酬を得る目的で行われれば、弁護士法72条が禁じる非弁行為にあたる可能性があると指摘されています。2026年2月には、風俗店の店長らが客と示談交渉をしたなどとして、弁護士法違反の疑いで逮捕されたと報じられました。弁護士が就いた後も店が本人と直接話をまとめようとする場合、弁護士は、誰が誰の立場で請求しているのかを確かめながら対応していきます。

直接連絡が来たときに、本人がしないほうがよいこと

 依頼後に店から連絡が来たとき、本人が個別に対応すると、弁護士が進めている交渉と食い違いが生じるおそれがあります。次のような対応は控えるようにしてください。

  • その場で金額や支払いの条件に応じること。
  • 示談書・念書・借用書などに署名すること。
  • 店から指定された口座へ振り込むこと。
  • 事実関係を説明したり、謝罪の言葉を述べたりすること。
  • 勤務先や家族の連絡先、新しい住所などを伝えること。
  • 弁護士に相談しないまま、店へ出向いたり会う約束をしたりすること。


 本人が話した内容は、後で「本人はこう認めていた」という形で交渉の材料にされることがあります。弁護士と決めた方針と違う発言があると、それまでの交渉の前提が揺らぎ、解決が遠のくこともあります。

 一方で、強い言葉で反論したり店を責めたりすることも、避けたほうが無難です。やり取りが感情的になると、連絡がかえって増えることがあります。伝える内容は、次に述べるとおり短くとどめるのが基本です。

直接連絡が来たときの対応の順序


  1. 電話に出た場合は、弁護士に依頼していることだけを伝えて通話を終えます。
  2. 着信の日時、番号、名乗った名前、話の内容を書き留めます。
  3. メッセージや着信履歴は削除せず、画面を保存します。
  4. その日のうちに担当の弁護士へ連絡し、記録を共有します。
  5. 弁護士から店へ、窓口が弁護士であることを改めて伝えてもらいます。


電話に出てしまったときの伝え方

 着信に出てしまっても、慌てる必要はありません。「この件は弁護士に依頼しています。弁護士から連絡が行きますので、そちらにお願いします」と伝え、それ以上の話には入らずに通話を終えれば足ります。質問を重ねられても、「弁護士を通してください」と繰り返せば十分です。弁護士の名前や事務所名を伝えるかどうかは、あらかじめ弁護士と決めておくと迷わずに済みます。

LINEやSMSが届いたとき

 メッセージには返信せず、そのまま残して画面の写しを弁護士に送ります。既読がつくことを気にされる方もいますが、既読がついたことだけで不利になるわけではありません。ブロックや着信拒否をするかどうかは、相手の反応や交渉の段階によって判断が分かれることがあるため、弁護士と相談して決めると安心です。女性本人から個人のLINEで連絡が来た場合の考え方は、【風俗トラブル】キャスト本人から個人のLINEで連絡が来た|店を通さない請求の扱いで整理しています。

自宅や職場に来た場合

 店の関係者が自宅に来た場合は、ドアを開けずにインターホン越しに対応し、弁護士に依頼していることを伝えて帰ってもらうよう求めます。帰るよう求めても立ち去らない場合や、身の危険を感じる場合は、ためらわずに110番通報を検討してください。住居などから退去を求められても立ち去らない行為は、不退去罪(刑法130条)にあたる可能性があります。職場に来た場合は、できる範囲で受付での対応にとどめてもらい、その日のうちに弁護士へ伝えます。

弁護士が店に対して取る対応

 本人から直接連絡の報告を受けた弁護士は、状況に応じて店に対応します。主な対応は次のとおりです。

  • 依頼を受けていることと、連絡の窓口が弁護士であることを改めて伝えます。
  • 請求しているのが店なのか女性本人なのかを確かめます。
  • 本人への直接の連絡を控えるよう申し入れます。
  • 脅すような言動が続く場合は、警察への相談も視野に入れます。


 多くの場合、弁護士から改めて連絡が入ると、店はその後のやり取りを弁護士宛てに切り替えます。弁護士が窓口になることで期待できることと限界については、弁護士に窓口を移すという選択|代理人通知が効く場面・効かない場面で説明しています。受任の連絡を入れた後に請求が止まった例としては、【解決事例】メンズエステで「被害届か示談か」と迫られ約27万円の支払いを約束|受任通知で請求が止まり支払わずに終結があります。

 それでも本人への連絡が続き、「払わなければ家族や会社に知らせる」といった内容が含まれる場合は、脅迫罪や恐喝罪などが問題になる余地があります。どの段階で警察に相談するかは、連絡の頻度や内容、それまでの経緯を踏まえて弁護士と判断していきます。本人が残した着信やメッセージの記録は、その判断の材料にもなります。

店以外の人から連絡が来たときや、家族が連絡を受けたとき

 依頼後には、店ではなく女性本人や、その知人・交際相手を名乗る人物から連絡が来ることもあります。誰が当事者として請求しているのかが変わると、交渉の進め方も変わります。この場合も本人は応じず、連絡があったことを弁護士に伝えてください。交渉相手が途中で替わる場面については、【風俗トラブル】話がまとまりかけたところで別の人物が出てきた|交渉相手が替わったときで取り上げています。

 店の側に弁護士が就いた場合は、その弁護士は本人と直接交渉しないのが原則のため、やり取りは弁護士同士に移ります。店の顧問弁護士を名乗る人物から連絡が来たときの確認点は、風俗トラブルで店の「顧問弁護士」が出てきた|客側がまず確認すべきことをご覧ください。

 家族が店からの電話に出てしまった場合や、配偶者が店に連絡してしまった場合も、窓口を弁護士に一本化し直すことで、やり取りを整理できることがあります。詳しくは【風俗トラブル】家族が店からの電話に出てしまった|家族への説明とその後の交渉、【風俗トラブル】配偶者が店に直接連絡してしまった|交渉の窓口を整え直すで説明しています。

よくあるご質問


店からの電話に出ないままでいると、不利になりますか

 弁護士に依頼し、そのことが店に伝わっていれば、本人が店からの電話に出ないことだけで不利になるとは通常考えにくいところです。店とのやり取りは弁護士が担っているためです。ただし、着信があったこと自体は弁護士に伝えておくと、店の動きを把握しやすくなります。

「弁護士を入れたなら警察に行く」と言われたら、依頼を取りやめたほうがよいですか

 この言葉だけを理由に依頼を取りやめる必要はありません。警察に相談するかどうかは店や女性の判断ですが、弁護士が就いていれば、被害の申告があった場合の対応も含めて見通しを立てやすくなります。言われた内容をそのまま弁護士に伝え、方針を確かめてください。被害届が出る前にできることについては、【風俗トラブル】店から「警察に行く」と言われた翌日にすること|被害届が出る前の時間もご参照ください。

依頼後に直接連絡が来たことは、交渉で意味を持ちますか

 依頼を伝えた後も本人への連絡が繰り返された経緯は、店の対応のあり方を示す事情として、弁護士が交渉の中で指摘することがあります。どの程度の意味を持つかは事案によりますが、記録がなければ指摘もできないため、日時や内容を残しておくことに意味があります。

まとめ

 弁護士に依頼した後でも、店から本人に直接連絡が来ることはあります。受任通知には店の連絡を法律で止める効力までは一般にないためですが、多くの場合は、弁護士から改めて伝えることでやり取りは弁護士宛てに移っていきます。連絡が来たときはその場で判断せず、「弁護士を通してください」とだけ伝えて記録を残し、早めに弁護士へ共有することが、進めている交渉を崩さないための基本です。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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