【風俗トラブル】本番はしていないのに「した」と言われたら、何をもって否定すればいい?
この記事は、2026年10月14日時点の民法、消費者契約法、ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)、東京都の迷惑防止条例、弁護士法の規定に基づいて書いています。個別の事情によって見通しは変わりますので、具体的な対応はご相談のうえで判断してください。
「施術が丁寧だったので、帰り際にLINEのIDを書いたメモをセラピストに渡した。数日後、店から『規約違反なので違約金を払ってほしい』と連絡が来た」「連絡先を渡したが返事がない。もう一度渡してもよいのか分からない」。メンズエステの利用をめぐるご相談では、客の側からセラピストに連絡先を渡したことが出発点になっている事情を伺うことがあります。
連絡先を渡すこと自体を罰する法律はありません。一方で、メンズエステの多くは利用規約で連絡先の交換を禁じており、店との関係では違約金の話が持ち出されることがあります。また、渡した後の行動によっては、ストーカー規制法などとの関係が問題になる場面もあります。
この記事では、メンズエステを利用した客の方が、自分からセラピストに連絡先を渡した場面を想定し、何が問題になり得るのか、店から連絡が来たときにどう考えればよいのかを整理します。セラピストの側から連絡先を渡された場面や、私的な連絡を誘われた場面は、次の記事で扱っています。
【風俗トラブル】キャストから個人的な連絡先を渡された|応じた後に起きやすいこと
【風俗トラブル】セラピストから私的な連絡を誘われた|応じた後に生じるリスク
まず結論|連絡先を渡した後に押さえておきたいこと
- 連絡先を渡したことだけで、犯罪として扱われることは通常ありません。
- 店の規約で禁止されていた場合は違約金を求められることがありますが、規約の効力と金額は別に確かめる必要があります。
- 返事がない、断られたという状況で連絡や手渡しを重ねると、ストーカー規制法や迷惑防止条例との関係が生じるおそれがあります。
- メモに書いた名前や電話番号は店に伝わることがあり、後から取り戻すことはできません。
- 店から連絡が来ても、その場で支払いや署名に応じず、経過を整理してから対応を決めることが大切です。
連絡先を渡すこと自体の位置づけ
渡す行為を禁じる法律はない
客がセラピストに連絡先を書いたメモを渡したり、メッセージアプリのIDを伝えたりすることを、それだけで罰する法律はありません。受け取るかどうか、連絡するかどうかはセラピストが自分で決めることであり、渡した時点で警察が関わる問題になることは通常ありません。
メンズエステで連絡先の交換が禁じられやすい理由
それでも、多くのメンズエステは、利用規約や入室時の確認書で、セラピストとの連絡先の交換や店外での接触を禁止事項に挙げています。背景には、施術者を客からのつきまといから守ること、セラピストの引き抜きを防ぐこと、店の管理が及ばない場での接触を避けることなどがあるとされます。個室で一対一になる業態であるため、店の側もこの点には敏感です。連絡先を渡したことは「犯罪かどうか」よりも「店との約束に反したかどうか」という形で表に出てくることが多いと考えておくと、その後の見通しを立てやすくなります。
渡し方によっては別の問題が生じる
連絡先を渡す際に、相手の手を握る、身体に触れるといった行為が伴っていた場合は、連絡先とは別に、その行為自体が問題にされることがあります。また、施術中に何度も連絡先の交換を求めたり、断られた後も食い下がったりすると、店から迷惑行為として扱われ、利用を断られることがあります。
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店から違約金を求められたとき
店から「規約違反なので○万円を払ってほしい」と告げられた場合でも、示された金額をそのまま払う義務があるとは限りません。次の3つの点を順に確かめていきます。
| 確かめる点 | 主な内容 |
|---|---|
| 規約に同意していたか | 入室時の確認書への署名、店内の掲示、予約時の説明など、利用前に禁止事項と違約金の定めを知ることができたか |
| 渡した行為が規約に当たるか | 規約が禁じているのが「交換」か「渡すこと」か「聞き出すこと」か、セラピストが受け取ったか |
| 金額に根拠があるか | 連絡先を渡したことで店に生じた損害と、示された金額とが釣り合っているか |
規約に同意していたか
店の規約が客を拘束するのは、利用前にその内容が示され、客が同意したと言える場合です。ホームページの片隅に書かれていただけで、入室時に説明も確認もなかった場合には、そもそも客との約束になっていたかどうかが問題になります。署名した書面があるなら、写しの交付を求めて内容を確かめてください。
「規約に書いてある」と言われたとき|約款が客を拘束する条件
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「渡しただけ」で規約違反になるか
規約の書き方は店によって異なります。「連絡先の交換禁止」とだけ書かれている場合、客がメモを差し出したもののセラピストが受け取らなかった、あるいは受け取ったが一度も連絡を取り合っていないという状況で、「交換」があったと言えるかには検討の余地があります。反対に、連絡先を渡す行為まで明記されている場合は、違反に当たると判断されやすくなります。いずれの場合も、いつ、どのように渡し、その後どうなったのかという経過が評価の前提になります。
金額は実際の損害との関係で見られる
店が「罰金」という言葉を使うことがありますが、罰金は国が科す刑罰であり、店が客に科すことはできません。店が求めることができるのは、規約上の違約金や、実際に生じた損害の賠償です。違約金をあらかじめ定めておくこと自体は認められていますが(民法420条1項・3項)、事業者と消費者との契約で消費者の利益を一方的に害する条項は無効とされることがあり(消費者契約法10条)、実際の損害と比べて著しく過大な金額は公序良俗に反するとして効力が否定される可能性もあります(民法90条)。連絡先を渡したことで店にどのような損害が生じたのかは、店の側で説明が求められる点です。
「罰金」を請求された|私人が罰金を科すことはできない
損害賠償額の予定(民法420条)は風俗の規約でも有効か
渡した後の行動で問題の性質が変わる
連絡先を渡した後、セラピストから連絡が来ないことは珍しくありません。気になる場面ですが、ここでの行動によっては、店との約束の問題から法律上の問題へと移っていくことがあります。
返事がないのに連絡や手渡しを重ねる
恋愛感情その他の好意の感情を満たす目的で、拒まれたにもかかわらず連続してメッセージを送ることや、勤務先の付近で待ち伏せたり見張ったりすることは、ストーカー規制法の「つきまとい等」に当たり得ます(同法2条1項1号・5号)。これを反復すると「ストーカー行為」として処罰の対象になります。メンズエステの場合、セラピストの勤務先は店であるため、店の周辺で待つ、予約を重ねて毎回連絡先を渡すといった行動も、状況によっては同じように評価されるおそれがあります。東京都の迷惑防止条例にも、ねたみや恨みなどの感情によるつきまといを禁じる規定があります(同条例5条の2)。
返事がないことを一つの答えとして受け止める
連絡がないとき、受け取ってもらえたのか確かめたい、気分を害していないか知りたいという気持ちから、店を通じて問い合わせたり、次の来店で理由を尋ねたりする方もいます。しかし、相手の側から見ると、返事をしないこと自体が意思表示である場合が少なくありません。連絡がないときは、それ以上働きかけないことが、自分の身を守ることにもつながります。謝罪のつもりの連絡が問題になる場面については、次の記事も参考にしてください。
【ストーカートラブル】謝りたい|謝罪の連絡そのものが問題になる理由
連絡は1回だけだった|つきまとい等とストーカー行為の違い
メモに書いた情報はどこへ行くのか
連絡先を書いたメモには、電話番号やメッセージアプリのID、場合によっては本名や勤務先が含まれています。セラピストが店に報告すれば、メモの内容は店の手元に残り、予約時の情報と照らし合わされます。メッセージアプリのIDからは表示名やアイコンの写真が分かり、電話番号は予約の記録と結び付けられることがあります。
こうした情報が、後に違約金の請求や「家族や会社に知らせる」といった言葉の材料にされることもあります。一度渡った情報は取り戻せないため、店から連絡が来たときに、住所や勤務先などをさらに伝えないよう注意してください。
【風俗トラブル】予約時に伝えた本名・電話番号はどう使われるのか
店から連絡が来たときにすること
- その場で支払いや書面への署名に応じず、「確認してから返事をする」と伝えること。
- 規約や確認書の写しを求め、どの条項に違反したとされているのかを確かめること。
- 連絡先を渡した日時と方法、セラピストの反応をメモに残すこと。
- 店とのメッセージや着信の記録を削除せずに保存すること。
- セラピスト本人に直接連絡して、謝罪や事情の説明をしないこと。
最後の点は意外に思われるかもしれませんが、店から規約違反を指摘された後にセラピストへ連絡すると、それ自体が新たな接触と受け取られ、店との話し合いがこじれることがあります。また、期限を区切って支払いを迫られても、その期限までに応じなければならない法的な義務が生じるわけではありません。
弁護士が入ると何が変わるのか
弁護士が依頼を受けると、店に対して今後の連絡は弁護士にするよう求める通知を送り、窓口を一本化します。そのうえで、規約の内容と請求の根拠を確かめ、支払うべきものがあるか、あるとしていくらが妥当かを店と協議します。合意に至る場合は、清算条項や、セラピストに接触しない旨の条項を入れ、後から別の名目で請求が重ならないようにします。
【風俗トラブル】店との交渉を自分でするか弁護士に任せるか|分かれ目になる5つの事情
よくあるご質問
セラピストに連絡先を受け取ってもらえませんでした。それでも問題になりますか
受け取られなかった場合、店の規約が「交換」を禁じているだけであれば、違反があったと言えるかは争点になり得ます。ただ、施術中に繰り返し渡そうとしたなどの経過によっては、迷惑行為として利用を断られることがあります。請求を受けた場合は、規約の文言と経過を確かめてから対応を決めてください。
一度返事が来た後、急に連絡が途絶えました
相手の側で連絡をやめると決めた可能性があります。理由を尋ねるメッセージを重ねると、拒まれた後の連続した連絡と受け取られるおそれがあるため、自分からの連絡は控えてください。それまでのやり取りは削除せずに保存しておくと、後で経過を説明する際の材料になります。
出入りを断られただけで、違約金の話はありません。何かしておくべきですか
出入りを断ることは店の判断であり、それだけで支払いの義務が生じるわけではありません。後から請求が来た場合に備えて、渡した経過や店とのやり取りを記録しておくとよいでしょう。あわせて、店の周辺に行かないこと、セラピストに連絡しないことも大切です。
まとめ
- メンズエステのセラピストに連絡先を渡したことだけで、犯罪として扱われることは通常ありません。
- 店の規約で禁止されていた場合でも、規約への同意、渡した行為が規約に当たるか、金額の根拠を分けて確かめる必要があります(民法420条、民法90条、消費者契約法10条)。
- 返事がない、断られたという状況で連絡や手渡し、待ち伏せを重ねると、ストーカー規制法のつきまとい等に当たるおそれがあります。
- メモに書いた情報は店に伝わることがあり、後から取り戻すことはできません。
- 店から連絡が来たときは、その場で支払いや署名に応じず、記録を残したうえで対応を検討することが大切です。
連絡先を渡したことが店に知られて違約金を求められている方や、渡した後にどう振る舞えばよいか迷っている方は、ご自身だけで判断する前に、いつ、どのように渡したのかという経過を整理するところから始めてください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
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