【風俗トラブル】女性から「性病検査の結果を見せて」と求められたら?
お店の外で個人的にお客様と会い、食事代やお小遣い、生活費の援助などを受け取っていた後になって、お客様本人ではなく、その妻や親、子どもなどの家族から「あなたに渡したお金を返してほしい」と連絡が来ることがあります。家族に関係を知られたこと自体への驚きに加え、自宅や勤務先を知られているのではないかという不安から、言われるままに支払いを約束してしまう方も見られます。
この記事では、キャスト側の立場から、お客様の家族からの返金請求にどのような法的な根拠がありうるのか、家族の立場ごとにどこが問題になるのか、連絡を受けたときに何をしておくとよいかを整理します。
この記事は、2026年10月時点の民法・刑法の規定をもとに、一般的な考え方を整理したものです。実際の結論は、お金を受け取った経緯や残っている記録によって変わるため、具体的な対応は弁護士にご相談ください。
家族からの請求で最初に考えたいのは「誰の権利か」
お客様が個人的に渡したお金は、お客様本人のお金です。返還を求められるかどうかも、原則として、お金を渡したお客様本人とキャストとの間の問題になります。妻や親であっても、家族であるというだけで、本人に代わって返還を求める権利が当然に認められるわけではありません。
ただし、家族が次のような立場にある場合は、家族からの連絡であっても法的な意味を持つことがあります。どの立場で連絡してきているのかによって、確かめるべき点も変わります。
| 家族の立場 | 請求の根拠になりうるもの | 確かめたいこと |
|---|---|---|
| 本人から頼まれた家族 | 本人の権利を代理して行使する | 本人の委任があるか(委任状など) |
| 配偶者 | 配偶者自身の慰謝料請求 | 婚姻の事実、性的な関係の有無、既婚と知っていたか |
| 成年後見人など | 判断能力を欠いた状態での贈与が無効であること | 後見開始の審判や登記の有無 |
| 相続人 | 亡くなった本人が持っていた権利 | 本人の死亡と相続関係(戸籍など) |
電話口で「家族だから返してもらう権利がある」と言われても、それだけで支払義務が生じるわけではありません。まずは、相手がどの立場で、何を根拠に請求しているのかを落ち着いて聞き取ることが出発点になります。
受け取ったお金の性質は、誰が請求しても変わらない
家族が正当な立場で請求してきた場合でも、返す必要があるかどうかは、お金を受け取った当時の性質によって決まります。請求する人が替わったことで、贈与だったものが貸付に変わるわけではありません。
- 好意や応援の気持ちで渡されたお小遣いやプレゼントは贈与と考えられるのが通常で、渡し終えたものは返還を求められにくい傾向にあります(民法550条)。
- 「貸してほしい」と頼み、返す約束をして受け取ったお金は貸金として扱われ、返還義務が生じることがあります(民法587条)。
- 性的な関係の対価として渡されたお金は、不法原因給付として返還を求められないとされるのが一般的です(民法708条)。
- 病気や借金など事実と異なる事情を伝えて受け取ったお金は、詐欺を理由とする取消しや損害賠償が問題になることがあります。
お金の性質ごとの考え方は、「渡した金を返せ」と言われた女性へ|返済義務があるケース・ないケースや【風俗トラブル】キャストに贈った金品|贈与と対価の切り分けが争点になる理由でも解説しています。この記事では、請求してくるのが家族であることによって生じる論点を中心に見ていきます。
家族の立場ごとに問題になりやすい点
配偶者から「家計のお金を返して」と言われた場合
夫婦の一方が自分の名義で得た収入や預金は、法律上は原則としてその人の財産とされます(民法762条1項)。夫婦が協力して築いた財産は、離婚の際に財産分与で清算されるのが基本であり、夫が家計のお金を使い込んだという問題は、まずは夫婦の間で整理される話です。そのため、妻が「家計のお金だから」という理由だけで、お金を受け取った第三者に直接返還を求める根拠は乏しいと考えられています。
一方で、配偶者には、お金の返還とは別に、配偶者自身の精神的苦痛に対する慰謝料を求める余地があります。店の外で個人的に会っていた期間に性的な関係があり、相手が既婚者であると知っていた、または知ることができた場合には、不貞行為として慰謝料を請求される可能性があります。この場合の請求は「受け取ったお金を返す」話ではなく、関係の期間や態様などから金額が検討されるものです。既婚と知らなかった事情や、性的な関係がなかったことなどは、反論の材料になりえます。詳しくはパパ活相手が既婚者だった|相手の配偶者から慰謝料請求されるリスクもご参照ください。
親や子から「本人は判断できる状態ではなかった」と言われた場合
高齢のお客様の家族から、「認知症が進んでいて、お金を渡す意味が分かっていなかった」と主張されることがあります。意思能力を欠いた状態でした法律行為は無効とされており(民法3条の2)、贈与が無効と判断されれば、受け取ったお金を返す義務が生じることがあります(民法121条の2)。
もっとも、認知症などの診断があることだけで、すべての贈与が無効になるわけではありません。問題になるのは、お金を受け取ったそれぞれの時点で、お客様が自分のしていることを理解できていたかどうかです。また、この主張は本来、お客様本人か、家庭裁判所に選任された成年後見人などが行うものです。成年後見人を名乗る場合には、その立場を示す書面を確認することになります。
お客様が亡くなった後に相続人から請求された場合
お客様が亡くなると、お客様が持っていた権利は相続人に引き継がれます(民法896条)。たとえば、お客様から借りていたお金がある場合、その返還を求める権利は相続人のものになり、相続人から請求を受けることがあります。反対に、贈与として渡し終えたお金は、相続人が請求する場合でも、原則として返還を求められにくいことに変わりはありません。相続人を名乗る人から請求を受けたときは、相続関係が分かる書面の提示を求めることが考えられます。
会社や家族のお金を使い込んで渡していたと分かった場合
お客様が勤務先のお金や家族の預金を無断で使い、それをキャストに渡していたと後から分かることもあります。最高裁判所の判例(最高裁昭和49年9月26日判決)は、だまし取られたり横領されたりしたお金を受け取った人について、そのことを知っていたか、重大な過失によって知らなかった場合には、本来の持ち主から返還を求められる可能性があるという考え方を示しています。何も知らずに受け取っていた場合と、使い込みに気づいていた場合とでは、見通しが大きく異なります。
家族から連絡が来たときに確かめたいこと
- 相手の氏名と、お客様との関係(妻、親、子、きょうだいなど)。
- お客様本人が請求を頼んでいるのか、家族が独自に動いているのか。
- 委任状や後見・相続に関する書面など、立場を示すものがあるか。
- 請求額の内訳と、店に支払われたお金と個人に渡されたお金が区別されているか。
- 返還を求める理由として何を挙げているか(貸したお金、判断能力がなかった、など)。
- 支払いの期限や、「職場」「警察」「家族」などへの言及があるか。
電話の場合は、日時と相手の話した内容をできるだけ具体的にメモしておくと、後で状況を説明するときに役立ちます。その場で答えを出す必要はなく、「確認してから回答します」と伝えて電話を終えても差し支えありません。
連絡を受けた後にしておきたいこと、避けたい対応
その場で「返します」と約束しない
早く終わらせたい気持ちから「少しずつでも返します」と答えたくなるかもしれません。しかし、返す約束をしたことや、念書・誓約書に署名したことが、後の話し合いで返還義務を認めた材料として扱われることがあります。もともと返す必要のなかったお金でも、改めて返還を約束すると、その約束に基づいて支払いを求められることがあるため注意が必要です。
権限の分からない家族にお金を渡さない
お客様本人の委任がない家族にお金を渡しても、お客様本人との関係では解決したことにならない可能性があります。後になってお客様本人から改めて請求されると、同じお金を二重に求められる状況にもなりかねません。支払うべき部分がある場合でも、誰と合意すれば話が終わるのかを確かめてからにすることが大切です。代理権の確かめ方については、【男女トラブル】相手の家族が代わりに交渉に出てきた|代理権の有無の確かめ方も参考になります。
お客様本人に連絡して家族を止めてもらおうとしない
家族を止めてほしいと、お客様本人に直接連絡したくなることもあります。ただ、その連絡が家族に見られて対立が深まったり、お客様との個人的な関係が再び始まるきっかけになったりすることがあります。本人とのやり取りが必要な場合も、窓口を整えてから進める方が落ち着いて対応できます。
新しい個人情報を伝えず、記録は残しておく
本名や住所、勤務先など、相手がまだ知らない情報を新たに伝える必要はありません。一方で、お客様とのLINEやSNSのメッセージ、振込の記録、家族からの連絡の履歴は、お金の性質や請求の態様を示す材料になります。関係を整理したい気持ちから削除してしまわず、保存しておくことをおすすめします。
「職場に知らせる」「詐欺で訴える」と言われたら
家族から「返さなければ職場や親に知らせる」と告げられることもあります。返還を求めること自体は直ちに違法になるものではありませんが、相手の秘密を広めると告げて支払いを迫る行為は、その態様によっては脅迫罪や恐喝罪にあたる可能性があります(刑法222条、249条)。言われた内容は、日時とともに記録しておきましょう。
また、「詐欺で訴える」と言われても、お金をめぐる行き違いがあるだけで直ちに刑事事件になるわけではなく、民事の返還の問題とは分けて考える必要があります。この点は「詐欺だ」と言われて返金を求められている|民事の紛争と刑事の境界で詳しく扱っています。家族が自宅や職場に押しかけてくる、連絡が繰り返されるといった場合は、身の安全を優先し、警察への相談も検討してください。
弁護士に依頼した場合の進め方
弁護士にご依頼いただいた場合、まず当時のやり取りや受け取ったお金の内訳を伺い、家族からの請求のどの部分に法的な根拠がありうるかを整理します。そのうえで、代理人として相手方に連絡し、請求している人の立場と権限を確認します。権限が示されない場合や、根拠のない部分については、理由を示してお断りします。以後の連絡は代理人が窓口となるため、ご本人が家族やお客様と直接やり取りする必要はなくなります。
借りたお金が含まれているなど、一部に返すべきものがある場合は、お客様本人や正当な権限を持つ人を当事者として、金額や支払方法を話し合います。合意に至る場合は、これ以上の請求をしない旨の清算条項や、互いに接触しない旨の条項、第三者に口外しない旨の条項を入れた合意書を交わすことを目指します。配偶者から慰謝料を求められている場合も、事実関係を確かめたうえで、金額や支払いの要否について交渉を進めます。
よくあるご質問
家族に返金すれば、お客様本人からはもう請求されませんか
家族にお客様本人の代理権がなければ、家族との間の約束はお客様本人を縛らないことがあります。後で本人から別に請求されないようにするには、本人または正当な権限を持つ人と合意し、清算条項を入れた書面を残しておくことが大切です。
家族からの連絡を無視しても問題ありませんか
権限の分からない家族からの連絡に、すぐに応じなければならない義務はありません。ただし、弁護士や成年後見人、相続人から書面で請求が届いた場合は、根拠のある請求が含まれていることもあり、放置すると訴訟に進んだときに不利になるおそれがあります。書面が届いたときは、内容を確かめたうえで対応を考えましょう。
お店を辞めた後でも、家族から請求されることはありますか
個人として受け取ったお金については、お店を辞めた後でも請求を受けることがあります。考え方は在籍中かどうかにかかわらず、お金の性質と請求する人の立場に沿って整理することになります。
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お客様の家族から返金を求められても、家族であることだけで請求の権利が生じるわけではなく、相手の立場と、受け取ったお金の性質を分けて確かめることが大切です。慌てて約束や支払いをする前に、まずは事実関係を整理するところから始めてみてください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
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