謝罪文の文例|痴漢・盗撮・暴行・窃盗の場面別
本記事は、2026年10月時点の刑事訴訟法の規定と、警察署での一般的な運用をもとに作成しています。面会や差し入れの細かな扱いは警察署・拘置所ごとに異なるため、実際には各施設へご確認ください。お子さんの心身の状態について気がかりな点がある場合は、医療や心理の専門職にもご相談ください。
家族が逮捕されたとき、大人の側も状況をのみ込めないまま、子どもから「お父さんはどこに行ったの」「いつ帰ってくるの」と尋ねられることがあります。何をどこまで話せばよいのか、そもそも話すべきなのか、迷われる方は少なくありません。
この記事では、逮捕された方の配偶者や親など、子どもと一緒に暮らす立場の方に向けて、伝える前に整理しておくこと、年齢に応じた伝え方の目安、子どもが事情を知る経路への備え、面会や手紙のつなぎ方を、刑事手続の流れと合わせて解説します。
子どもに伝えるのは「事件の中身」より「生活の変化」
逮捕の直後は、本人が何をしたのか、容疑を認めているのかといった点を、家族も正確には把握できていないことが多いものです。逮捕は捜査のための手続であり、この段階で罪が確定しているわけではありません。
そのため、最初に子どもへ伝える中心は、事件の詳細ではなく、子どもの生活に直接かかわる次のような点になります。
- しばらく家に帰ってこられない家族がいること。
- いつ帰れるかは、まだ分からないこと。
- 学校や毎日の暮らしは、これまでどおり続くこと。
- 子どものせいで起きたことではないこと。
- 分かったことがあれば、また話すこと。
とくに最後の2点は、年齢を問わず伝えておきたい内容です。子どもは、家族に起きた出来事を自分の振る舞いと結びつけて考えてしまうことがあるためです。
伝える前に大人の側で整理しておくこと
手続の見通しを把握する
子どもに「いつ帰ってくるの」と聞かれたとき、答えの土台になるのは刑事手続の見通しです。逮捕された後の身柄拘束の期間は、おおむね次のように区切られています。
| 段階 | 期間の目安 | 子どもへの説明で意識したいこと |
|---|---|---|
| 逮捕 | 最大72時間 | 家族も面会できないのが通常。「いま警察でお話を聞かれている」程度にとどめる |
| 勾留 | 原則10日、延長されると最大20日 | 帰宅の時期が延びる可能性を見込み、日付を約束しない |
| 起訴・不起訴の判断 | 勾留の期間が終わるまで | 処分の結果によって、その後の生活の見通しが変わる |
| 起訴後 | 判決まで数か月に及ぶこともある | 保釈が認められれば、判決前に帰宅できる場合がある |
勾留が認められずに数日で釈放される場合もあれば、勾留や起訴を経て長期化する場合もあります。見通しが立たないうちに「来週には帰ってくるよ」と約束すると、約束が守られなかったときに子どもの不安が強まるおそれがあります。弁護士が本人と接見すれば、容疑の内容や本人の状況、今後の見通しを確認できますので、子どもに話す前の材料として役立ちます。手続の全体像は逮捕から解決までの流れ【フローチャート】|今どの段階かがわかるでも整理しています。
家族の中で説明をそろえる
祖父母やきょうだい、親戚など、子どもと接する大人の説明が食い違うと、子どもは誰の言葉を信じればよいのか分からなくなります。誰が子どもに説明するのか、どこまでを話すのかを、大人の間で先に決めておくことをおすすめします。
逮捕された本人の意向も確かめる
逮捕されたのが子どもの親である場合、本人が子どもにどう伝えてほしいと考えているかも大切な要素です。逮捕直後の72時間は家族が面会できないのが通常ですが、弁護士は接見を通じて本人の意向を聞き、家族からの伝言を本人へ届けることができます。本人からの「ごめんね」「元気でいてね」といった短い言葉が、子どもの支えになることもあります。
年齢に応じた伝え方の目安
どこまで話すかは、子どもの年齢や性格、事件の内容によって変わります。以下はあくまで一般的な目安です。
| 年齢の目安 | 伝え方のポイント |
|---|---|
| 未就学児 | 「しばらくおうちに帰れない」「あなたのことが大好き」と、短い言葉で繰り返し伝える。食事や睡眠などの生活のリズムを保つことが安心につながる |
| 小学校低学年 | 「決まりを守らなかったかもしれないことがあって、警察でお話を聞かれている」など、身近なルールに置き換えて説明する。質問には分かる範囲で答える |
| 小学校高学年〜中学生 | ニュースやインターネットで情報に触れる可能性を踏まえ、事実の大枠を先に家族から伝える。分かっていることと、まだ確定していないことを区別して話す |
| 高校生以上 | 大人に近い説明ができる一方、進学や友人関係への影響を気にすることも多い。学校や友人に話すかどうかを本人と一緒に考える |
年齢が上がるほど、子どもは家族以外の経路から情報を得やすくなります。後から別の場所で知るよりも、信頼できる家族の口から聞くほうが、受け止めやすいと考えられます。
「嘘をつかない」ことと「全部を話す」ことは別
子どもを傷つけたくないという思いから、「長い出張に行っている」「入院している」といった説明を選びたくなることもあるでしょう。ただ、勾留や裁判が長引いたり、報道や周囲の話で事実が伝わったりすると、作り話であったことに子どもが気づく場面が出てきます。そのとき、事件そのものよりも「家族に隠されていた」ことのほうが、子どもにとって受け止めにくい経験になるおそれがあります。
一方で、正直であることは、すべてを話すことと同じではありません。たとえば次のように、事実と異ならない範囲で、子どもが受け止められる分だけを伝えるという考え方があります。
- 「お父さんは今、警察でお話を聞かれていて、しばらく家に帰れない」と伝えます。
- 「何があったのかは、大人もまだ全部は分かっていない」と伝えます。
- 「あなたが何かしたから、こうなったわけではない」と伝えます。
- 「分かったことがあったら、また話す」と約束します。
子どもから罪名や詳しい事情を尋ねられたときは、「今はまだ答えられない」と率直に伝えることも、誠実な対応の一つです。
子どもが事情を知る経路と、その備え
逮捕や家宅捜索の場面を見ていた
自宅で逮捕されたり、家宅捜索が行われたりした場合、子どもがその場面を目にしていることがあります。見ていた子どもに「何もなかった」と取り繕うと、自分の見たものを否定されたように感じるおそれがあります。「びっくりしたね」と気持ちを受け止めたうえで、分かる範囲の説明を加えることが考えられます。捜索の場面については捜索で家族に知られる場面|同居家族がいる場合の現実でも解説しています。
報道やインターネット、友人からの話
事件の内容によっては、逮捕が報道されることがあります。実名で報道されると、インターネット上に記事が残り、子どもや同級生が目にする可能性も出てきます。報道が見込まれる事案では、弁護人が捜査機関に対して報道への配慮を求める意見を伝えることもありますが、必ず避けられるものではありません。詳しくは実名報道は避けられるのか|報道の判断と弁護人ができることをご覧ください。
報道の可能性がある場合は、その前に家族から子どもへ伝えておくほうが、子どもの受ける衝撃は小さくなりやすいと考えられます。
学校に伝えるかどうか
子どもの学校に家族の逮捕を伝える義務はありません。他方で、子どもの様子に変化が出たとき、担任やスクールカウンセラーが事情を知っていれば、気づいて支えてもらいやすくなる面もあります。伝える場合も、事件の詳細ではなく「家庭の事情で子どもが不安定になるかもしれない」という程度にとどめ、誰に、どこまで共有してよいかをあわせて伝えておくとよいでしょう。報道によって同級生の間で話題になるおそれがある場合は、学校に前もって相談しておくことも一つの方法です。
面会や手紙で子どもと本人をつなぐ
勾留が決まった後は、接見禁止がついていなければ、家族は警察署で本人と面会できます。ただし、面会は原則として平日の日中に限られ、1回あたりの時間や人数にも制限があり、警察官が立ち会います。アクリル板越しの面会が子どもにどう映るかも考え、連れて行くかどうかは、子どもの年齢や気持ちを踏まえて判断することになります。子どもを同伴できるかどうかも含めて警察署ごとに扱いが異なるため、事前に確認しておくと安心です。
面会が難しい場合でも、手紙や子どもの描いた絵を差し入れる方法があります。留置施設では手紙の内容が確認されることを前提に、子どもには「おうちのことを書いてあげてね」と声をかける程度がよいでしょう。差し入れの実務は留置場への差し入れと手紙|家族ができる支援の実務で解説しています。
接見禁止がついている場合、家族は面会も手紙のやり取りもできません。もっとも、事案によっては、裁判所に接見禁止の一部解除を求め、配偶者や子どもとの面会に限って認められることもあります。接見禁止がついて家族が会えない|解除に向けた動きもあわせてご覧ください。
子どもが被害を受けた事件や、目撃している事件の場合
家庭内での暴力など、子ども自身が被害を受けた事件や、子どもが事件を目撃している事件では、ここまでの説明とは考え方が異なります。子どもが事情を聞かれる立場になることがあり、児童相談所などの関係機関が関わることもあります。このような場合は、子どもへの説明の仕方や、逮捕された本人との今後の接触について、関係機関と相談しながら進めることが大切です。家族間で起きた事件の扱いについては家庭内で手が出た|家族間の暴行・傷害とDV法の関係でも触れています。
長引くときに、子どもと大人を支える先
起訴されて裁判が続く場合や、判決の内容によっては、家族と離れて暮らす期間がさらに長くなることもあります。その間は、子どもの心のケアだけでなく、子どもと向き合う大人自身の負担にも目を向ける必要があります。相談先としては、次のようなものが考えられます。
- 学校の担任やスクールカウンセラー。
- 市区町村の子ども家庭支援の窓口(こども家庭センターなど)。
- 子どもの心の相談に対応する小児科や児童精神科。
- 刑事手続の見通しについて相談できる弁護士。
判決後の生活の変化については、執行猶予判決を受けた後の生活|何が制限されるのかや実刑が確定したら|収監までの流れと準備で解説しています。
弁護士に相談することで整えられること
子どもへの伝え方に一つの正解はありませんが、手続の見通しが分からないまま説明を考えるのは難しいものです。弁護士に依頼すると、本人との接見を通じて容疑の内容や今後の見通しを確認し、家族に共有することができます。早期の釈放に向けた活動や、報道への配慮の働きかけ、接見禁止の一部解除の申立てなど、子どもへの影響を小さくするための手立てを検討できる場合もあります。逮捕の連絡を受けた直後の動き方については、家族が逮捕されたと連絡が来た|最初の24時間にやることもご参照ください。
家族の逮捕は、子どもにとっても大きな出来事です。すべてを一度に説明しようとせず、見通しが分かるたびに少しずつ言葉を足していくことが、子どもが落ち着きを取り戻す手助けになります。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


