撮影物をSNSに投稿した|撮影罪と提供・公然陳列の重なり
この記事は、2026年10月時点の道路交通法とその運用に基づく一般的な解説です。自転車の酒気帯び運転とながらスマホの罰則は2024年11月1日施行の改正で整備され、2026年4月1日からは16歳以上の自転車の違反に交通反則通告制度(いわゆる青切符)が導入されています。法定刑は、2025年6月1日施行の改正刑法により懲役が拘禁刑に一本化された後の表記で記載しています。
「駅から家までの数分だったので、自転車なら問題ないと思っていた」。自転車の酒気帯び運転で検挙されたご本人からは、このようなお話をよく伺います。ご家族からは「赤い紙を渡されて帰ってきたが、このあと何が起きるのか分からない」というご相談も寄せられます。
自転車でも酒気帯び運転やながらスマホに罰則があること、罰金も前科になることは、多くの解説で紹介されています。その説明自体は正しいのですが、検挙された方が知りたいのは「このあと、いつ、どこから、何が届くのか」という時間の流れであり、そこは罰則の一覧からは見えにくいところです。
この記事では、検挙された後の流れを、刑事手続と運転免許の行政処分という二つの手続に分けて整理します。前科と前歴の違いや、略式命令が届いた後の手続の詳細は、それぞれ別の記事でご案内します。
検挙の「その後」は二つの手続が別々に進む
自転車の酒気帯び運転やながらスマホで検挙された後には、罰金などの刑罰を決める刑事手続と、運転免許をどうするかを決める行政手続が、それぞれ独立して進みます。どちらか一方が終わっても、もう一方が終わるとは限りません。
刑事手続|不起訴・罰金などを決める流れ
刑事手続は、警察が捜査をし、検察官が起訴するかどうかを判断し、起訴された場合には裁判所が刑を決める流れです。自転車の酒気帯び運転では、多くの場合、身柄を拘束されない在宅事件として進み、警察署や検察庁から呼出しを受けて取調べに応じることになります。
行政手続|運転免許の効力を決める流れ
自転車の違反には自動車のような違反点数はありません。しかし、酒気帯び運転などをした方については、自動車等を運転させると著しく交通の危険を生じさせるおそれがある者として、6か月を超えない範囲で運転免許の効力が停止されることがあります。大阪府警察は、2024年11月中に自転車の酒気帯び運転で検挙された男性3人に対し、この理由で免許停止処分を行ったことを公表しています。
運転免許の処分は都道府県公安委員会が判断するもので、刑事手続の結論とは別に検討されます。罰金を納めて刑事手続が終わった後に、免許に関する通知が届くこともあります。
それぞれの手続を担う機関
検挙の後に関わる機関と、それぞれの結論を表にまとめると次のとおりです。
| 手続 | 主に関わる機関 | 想定される結論 |
|---|---|---|
| 刑事手続 | 警察署、検察庁、簡易裁判所など | 不起訴、略式命令による罰金、正式裁判 |
| 運転免許の行政処分 | 都道府県公安委員会 | 運転免許の効力停止など(処分に至らない場合もあります) |
| 自転車運転者講習 | 都道府県公安委員会 | 一定の危険行為を繰り返した場合の受講命令 |
酒気帯び運転で検挙された後の流れ
自転車の酒気帯び運転は、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象です。2026年4月から始まった青切符の対象にはならず、検挙されれば赤切符(交通切符)による刑事手続に進みます。
検挙の当日|呼気検査と赤切符
酒気帯び運転とは、呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上などの政令で定める程度のアルコールを身体に保有した状態で運転することをいいます。この数値に達しない場合は罰則の対象になりませんが、飲酒後に自転車を運転すること自体は禁止されています(道路交通法65条1項)。
検挙の当日は、呼気検査のほか、飲酒した時間や量、自転車に乗った経緯などを聴かれ、赤切符が交付されるのが一般的な流れです。身元がはっきりしていれば、その日のうちに帰宅できることが多いものの、その場から立ち去ろうとした場合や事故を起こした場合などには、逮捕される可能性もあります。なお、呼気検査を拒んだ場合には、それ自体が別の罪に問われることがあります。
また、2026年7月21日施行の改正で、酒気帯びより重い酒酔い運転(5年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金)に、呼気1リットルにつき0.5ミリグラム以上という数値基準が設けられました。検知された数値が高い場合には、酒酔い運転として扱われる可能性も視野に入れておく必要があります。
後日の呼出しと書類送検
検挙から数日から数週間ほど後に、警察署から呼出しの連絡が来ることがあります。取調べでは、飲酒した店や量、自転車に乗った理由、走行した距離などを確認され、供述調書が作成されます。呼出しの日時は、仕事などの事情を伝えて調整を相談できる場合があります(警察からの呼出しの日程は調整できるのか|仕事との両立)。
警察の捜査が終わると、事件は検察庁に送られます(いわゆる書類送検)。送致から処分が決まるまでの期間は事案によって異なります(書類送検されてから処分が決まるまでの期間)。地域や事案によっては、指定された日に出頭し、取調べから略式命令までが同じ日に行われる運用がとられることもあります。
検察官の判断|不起訴・略式命令・正式裁判
送致を受けた検察官は、取調べを行ったうえで、不起訴とするか、起訴するかを判断します(検察庁からの呼び出しで何が決まるのか)。起訴の必要がないと判断された場合は起訴猶予による不起訴となり、不起訴にもいくつかの種類があります(不起訴の3類型はどう違うのか|どれを目指すべきか)。
事故がなく事実関係に争いのない酒気帯び運転では、本人が同意したうえで、書面の審理だけで罰金を科す略式手続がとられることが多いとされています(刑事訴訟法461条)。報道された例では罰金10万円というものもありますが、金額は検知された数値、運転の状況、前歴などによって変わります。略式命令が届いた後の納付や不服申立ての手続は、略式命令が届いた|罰金の納付と正式裁判の申立てで解説しています。
略式命令による罰金も刑罰であり、納付しても前科として扱われる点は自動車の場合と同じです。一方、事故で人にけがをさせた場合や、同種の前歴がある場合などには、正式な裁判になることもあります。
検挙から処分までの流れは、おおむね次のとおりです。時期は目安であり、地域や事案によって前後します。
| 時期 | 主な出来事 |
|---|---|
| 検挙の当日 | 呼気検査、事情の聴取、赤切符の交付など |
| 数日〜数週間後 | 警察署からの呼出し、取調べ、供述調書の作成 |
| 捜査の終了後 | 検察庁への送致(書類送検) |
| 送致の後 | 検察官による取調べ、不起訴・略式起訴・正式起訴の判断 |
| 略式命令の後 | 罰金の納付(告知から14日以内であれば正式裁判の請求も可能) |
| 上記と並行して | 公安委員会による運転免許の処分の検討 |
ながらスマホは検挙の時期と切符の種類で流れが分かれる
自転車のながらスマホは、検挙された時期と、交通の危険を生じさせたかどうかによって、その後の流れが大きく変わります。
罰則の対象になる行為
自転車を運転しながら、スマートフォンなどを手で持って通話したり、手に持った画面を注視したりする行為が罰則の対象です(道路交通法71条5号の5)。停止している間の操作は対象になりません。
2026年3月31日までの検挙|赤切符による刑事手続
青切符が導入される前は、自転車の違反に反則金の制度がなかったため、ながらスマホで検挙された場合も赤切符による刑事手続で処理されていました。法定刑は6か月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金で、手続の流れは前の章で説明した酒気帯び運転と基本的に同じです。
2026年4月1日以降の検挙|青切符と反則金
2026年4月1日以降、16歳以上の方によるながらスマホは青切符の対象となり、反則金は1万2,000円とされています。定められた期限までに反則金を納めれば刑事手続には進まず、前科もつきません。反対に、反則金を納めなかった場合には、刑事手続に移ることがあります。なお、16歳未満の方は青切符の対象外で、基本的には指導や警告が行われます。
交通の危険を生じさせた場合|赤切符による刑事手続
ながらスマホによって事故を起こすなど、交通の危険を生じさせた場合は反則行為に当たらず、1年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金の対象として赤切符による刑事手続に進みます。人にけがをさせた場合には、刑法上の過失傷害罪や重過失致傷罪が問題になることもあります。
酒気帯び運転とながらスマホの扱いを比べると、次のとおりです。
| 違反の内容 | 検挙後の主な扱い | 法定刑・反則金 |
|---|---|---|
| 酒気帯び運転 | 赤切符による刑事手続 | 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 |
| ながらスマホ(2026年4月以降・16歳以上) | 青切符(反則金を納めれば刑事手続に進まない) | 反則金1万2,000円 |
| ながらスマホで交通の危険を生じさせた場合 | 赤切符による刑事手続 | 1年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金 |
運転免許・講習・職場への影響
刑事手続の見通しと並んでご相談が多いのが、運転免許や仕事への影響です。
運転免許の効力停止
先に述べたとおり、自転車の酒気帯び運転では、運転免許の効力停止が検討されることがあります。ながらスマホについても、検挙時の状況によっては対象になり得るとの指摘があります。処分の前には、停止の期間などに応じて、意見の聴取や弁明の機会が設けられることがあり、通知書に記載された期限までに対応を考えておく必要があります。
仕事で車を運転する方にとっては、罰金よりも免許の停止の方が生活への影響が大きいこともあります。資格や免許への影響の全体像は、資格・免許はどうなるのか|医師・看護師・教員・宅建・運転免許の欠格事由の読み方もご覧ください。
自転車運転者講習の受講命令
酒気帯び運転やながらスマホは、自転車運転者講習の対象となる危険行為に含まれています。3年以内に2回以上危険行為で検挙された場合などには、講習の受講を命じられ、命令に従わない場合は5万円以下の罰金の対象となります。青切符で処理された場合も、この制度の対象であることに変わりはありません。
職場への影響
在宅事件として進む場合、警察から勤務先へ当然に連絡が入るわけではありません。ただし、逮捕された場合や報道された場合、勤務時間中や通勤中の出来事だった場合などには、職場に知られる可能性があります(在宅事件・書類送検でも報道されるのか)。
公務員の方については、自転車の酒気帯び運転を理由とする懲戒処分が各地で公表されています。身分上の処分と刑事処分の関係は、公務員・教員の場合|身分上の処分と刑事処分の関係で整理しています。民間企業でも、就業規則に申告や処分の定めがあるかどうかを確認しておくことが大切です。
処分の見通しを左右する事情と、いま整理しておくこと
事実関係に争いがない事案でも、どのような事情が処分に影響するのかを知っておくと、取調べへの臨み方を考えやすくなります。
処分の重さに関わる事情
一般に、次のような事情が考慮されます。
- 検知されたアルコールの数値と、ふらつきなど身体の状態。
- 運転した距離や時間帯、通行していた場所の交通量。
- 事故の有無と、けがをした人がいるかどうか。
- 同種の違反による前科や前歴の有無。
- 検挙されたときの対応(その場を離れようとしたかどうかなど)。
取調べの前に整理しておくこと
取調べでは、記憶があいまいな点を推測で補って話してしまうことがあります。飲酒を始めた時間と終えた時間、店の名前、飲んだ量、自転車に乗ることになった経緯は、レシートや予定表などで事前に確かめておくと、事実に沿った説明がしやすくなります。
また、調書の内容が自分の認識と違う場合には、署名する前に訂正を求めることができます。今後は飲酒する日に自転車を使わないといった再発防止の取組みも、検察官に事情を伝えるうえで意味を持つことがあります。
弁護士に相談するタイミング
警察や検察庁から呼出しを受けた段階、略式手続への同意を求められる前、運転免許の処分について通知が届いた段階は、それぞれ相談を検討しやすい時期です。事案によっては、手続の見通しを確認するだけで、落ち着いて対応できるようになる方も少なくありません。
よくあるご質問
お酒を飲んだ後、自転車を押して歩くのも違反になりますか。
自転車を押して歩いている人は歩行者として扱われるため、原則として酒気帯び運転には当たりません(道路交通法2条3項2号)。ただし、途中でまたがってペダルをこげば運転と評価されるため、注意が必要です。
罰金を納めれば、前科はなくなりますか。
罰金を納めても前科がなくなるわけではありません。罰金の刑の執行を終えた後、罰金以上の刑に処せられることなく5年が経過すると刑の言渡しは効力を失いますが(刑法34条の2)、検察庁の記録が直ちに消えるわけではありません。詳しくは前科と前歴はどう違い、どこに残るのか|期間と照会される場面をご覧ください。
ながらスマホの反則金を納めなかった場合はどうなりますか。
青切符を交付された後、定められた期限までに反則金を納めなかった場合は、改めて通告などの手続がとられ、それでも納めない場合には刑事手続に移ることがあります。刑事手続に進むと、罰金となった場合には前科がつくことになるため、期限は確認しておくことをお勧めします。
まとめ
- 飲酒後に自転車を運転することは禁止されており、酒気帯び運転は3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象です(道路交通法65条1項)。
- 自転車の酒気帯び運転は青切符の対象ではなく、検挙されると赤切符による刑事手続に進みます。
- 事故のない事案では在宅事件として進み、略式命令による罰金となることが多いものの、罰金も前科になります(刑事訴訟法461条)。
- 略式命令に不服がある場合は、告知を受けた日から14日以内に正式裁判を請求できます(同法465条)。
- 2026年4月以降、16歳以上の方のながらスマホは青切符の対象で、反則金を納めれば刑事手続には進みません(道路交通法71条5号の5)。
- ながらスマホで交通の危険を生じさせた場合は反則行為に当たらず、赤切符による刑事手続となります。
- 刑事手続とは別に、運転免許の効力停止や自転車運転者講習の受講命令が検討されることがあります。
弁護士法人若井綜合法律事務所では、刑事事件に関するご相談を池袋と新橋の事務所でお受けしています。自転車の酒気帯び運転やながらスマホで検挙され、警察や検察庁からの呼出し、略式命令、運転免許の処分に関する通知が届いた段階でも、ご相談いただけます。
ご本人からのご相談はもちろん、検挙されたご家族の今後を心配されている方からのご相談もお受けしています。今後の見通しや取調べへの臨み方を、一緒に整理していきます。


