【親子問題】性的画像を撮られた・拡散された子への対応|削除と刑事手続の二段構え
本記事は、2026年10月時点の弁護士法・弁護士職務基本規程・家事事件手続法と、裁判所の手続案内に基づいて作成しています。個別の事情によって適切な進め方は異なります。
成人した子の暴力や金銭の要求、ひきこもりについて弁護士への相談を考えたとき、「本人も連れて行った方が話が早いのではないか」「家で電話をすると子に聞かれてしまう」と迷う親御さんは少なくありません。
弁護士との面談は、話す内容と同じくらい、誰がその場にいるか、どこで、どの順番で話すかによって結果が変わります。この記事では、子がいる前で弁護士と話すべきかという問いを手がかりに、相談の段階ごとに面談の場をどう組み立てるかを整理します。
最初の相談は親御さんだけで行うのが基本です
初回のご相談に子を同席させることは、多くの場合おすすめしていません。理由は大きく3つあります。
子の前では話せないことがある
初回の相談では、暴力の頻度やけがの程度、これまでに渡したお金の総額、親御さん自身がどれほど追い詰められているかといった事情を伺います。子が隣にいると、こうした事実を控えめに話したり、子の機嫌を損ねないよう言葉を選んだりしがちです。弁護士が状況を正確につかめないまま方針を立てると、その後の対応がずれるおそれがあります。
相談の前に、伝えたい事実を書き出しておくと話が進みやすくなります。整理の仕方は【親子問題】相談の前に整理しておきたい5つの情報で解説しています。
子が「攻撃された」と受け止めることがある
親が弁護士に相談しているという事実を、準備のないまま子が知ると、自分が責められている、追い出されようとしていると受け止めることがあります。その結果、親への反発が強まったり、避難先や今後の方針といった、まだ伏せておきたい情報が伝わってしまったりする場面も考えられます。子にいつ、どのような形で伝えるかは、それ自体を方針の一部として決めておくことが大切です。
弁護士が誰の立場で話しているのかがぶれる
親御さんから依頼を受けた弁護士は、親御さんの代理人です。利害が対立しうる親子の双方から相談や依頼を受けることは、弁護士法25条や弁護士職務基本規程27条・28条の規律に照らして通常は想定されていません。子が同席した場で、子から「自分の言い分も聞いてほしい」「自分の味方にもなってほしい」と求められると、弁護士の立場があいまいになり、子に誤った期待を抱かせることにもなりかねません。
子が家にいるときの相談の進め方
同居している場合、相談の連絡そのものを子に知られないよう工夫が必要になることがあります。たとえば次のような点です。
- 子が外出している時間帯や、親御さんが外にいるときに電話をする。
- 家族で共有している端末やパソコンは使わず、通話やメッセージの履歴の扱いに気をつける。
- 事務所からの郵送物は、届け先や送り方を事前に相談して決めておく。
- 面談のための外出に、子に不審がられない理由を用意しておく。
弁護士は職務上知り得た秘密を守る義務を負っており(弁護士法23条)、ご相談の内容が弁護士から子に伝わることはありません。連絡手段の選び方については【親子問題】相談内容は子に伝わるのか|守秘義務と連絡の取り方もあわせてご覧ください。
子と話す場面はどう組み立てるか
方針が固まり、弁護士が子と直接話す段階に入ったら、面談の場をあらかじめ設計しておきます。検討する主な要素は次のとおりです。
| 要素 | 検討すること |
|---|---|
| 出席者 | 弁護士だけか、カウンセラーも同席するか、親御さんが同席するか |
| 場所 | 自宅、法律事務所、それ以外の場所のどこで会うか |
| 伝え方の順序 | 弁護士が親御さんの代理人になったことを、通知と対面のどちらで先に伝えるか |
| 時間と回数 | 1回で結論を求めるのか、数回に分けて話を重ねるのか |
| 安全の備え | 暴力の傾向や薬物の使用歴などがある場合に、警察とどう連携するか |
| 終わり方 | 次に会う日や連絡の窓口を、その場でどう決めるか |
親御さんが同席するかどうか
親御さんが同席すると、子が「親が本気で考えている」と受け止めるきっかけになることがあります。一方で、親子が向き合った途端に普段どおりのやり取りに戻り、子が親を責め、親が謝るという構図が繰り返される場面も少なくありません。そのため、弁護士と子が話す間、親御さんは別室にいる、あるいは外出しておくという組み立てを選ぶことも多くあります。どちらがよいかは、子の年齢や性格、これまでの衝突の経緯を踏まえて決めます。
場所の選び方
自宅は子にとって慣れた場所であるため、話を聞いてもらいやすい面があります。ただし、子の部屋に入ると感情が高ぶりやすい、物を投げられるおそれがあるといった事情があれば、居間など出入りしやすい場所を選び、座る位置もあらかじめ考えておきます。法律事務所や外部の場所で会う方法もありますが、子が来所を拒むことも多く、その場合は無理に呼び出すより、訪問の方が話が進むことがあります。
安全の備え
過去に強い暴力があった場合や、「殺す」などの言葉が出ている場合には、訪問の前に警察へ状況を伝えておくなど、事案に応じた備えをします。親御さんの側でも、万一のときに通報する判断の目安を決めておくと落ち着いて動けます。【親子問題】110番を呼ぶ判断基準|その場で何を伝えるかも参考になります。
子から「自分も弁護士と話したい」と言われたら
相談を始めたことを子が知り、「自分も同席させろ」「弁護士に会わせろ」と言ってくることがあります。その場で即答せず、弁護士と相談してから返事をする、と伝えるのが無難です。
弁護士が子と話す場を設けること自体は、介入の過程で必要になることもあります。ただしその場合も、弁護士はあくまで親御さんの代理人として話します。子が自分の立場で法的な助言を受けたいと考えるなら、別の弁護士に相談してもらうことになります。子に代理人の弁護士がついた場合、その後のやり取りは原則として弁護士どうしで行います(弁護士職務基本規程52条)。
きょうだいや配偶者が同席する場合
面談には、ご夫婦やきょうだいが一緒に来られることもあります。複数の家族が同席すること自体に問題はありませんが、事前に次の点を確認しておくと話が混乱しにくくなります。
- 誰が相談者・依頼者になるのか。
- 家族の間で方針が一致しているか、割れているところはどこか。
- 子と連絡を取り合っている家族がいるか。
- 面談の内容を、同席しない家族にどこまで伝えるか。
とくに、家族の誰かが子と密に連絡を取っている場合、その方を通じて相談の内容が子に伝わることがあります。親御さんが高齢であったり、体調の面で動けなかったりする場合の進め方は【親子問題】きょうだいが相談者になる場合|親が動けないときで解説しています。
第三者が用意する場を使うという選択
当事者どうしでは話し合いにならない場合、家庭裁判所の親族関係調整調停を利用する方法もあります。親族の間の対立で関係が円満でなくなった場合に、調停委員が双方から事情を聴き、解決案や助言を示しながら話し合いを進める手続です。申立人は相手方と親族関係にある方で、申立先は原則として相手方の住所地の家庭裁判所、費用は収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手です。
調停では、申立人と相手方が別々の待合室で待ち、交互に調停室に入って話を聴いてもらう進め方が一般的です。子と同じ部屋で向き合わずに話し合いの場を持てる点は、面談の場の設計という観点からも一つの選択肢になります。ただし、申立書の写しは相手方に送られるため、避難先など知られたくない住所がある場合は書き方に注意が必要です。また、調停は話し合いの手続ですので、子が出席しなければ進まず、暴力や金銭の要求をその場で止める効果があるわけではありません。
当事務所での面談の組み立て
当事務所では、まず親御さんから詳しく事情を伺い、子にいつ、どのように伝えるかを含めて方針を決めます。そのうえで、弁護士が親御さんの代理人として子と向き合い、提携する自立支援カウンセラーが子の生活の立て直しを支える、という役割分担で進めます。
子と話す段階では、弁護士とカウンセラーがご自宅を訪問し、本人と時間をかけて話をすることが多くあります。1回で結論を求めず、数回の訪問を重ねる中で、子が自分から家を出ることを考え始める例も見られます。訪問の間、親御さんにどこにいていただくかも、ご家庭ごとにご相談しながら決めます。役割分担の考え方は【親子問題】弁護士とカウンセラーが組むという形|役割を分ける理由、実際の流れは【親子問題】弁護士とカウンセラーはどう介入するのか|4つの事例で見るサービスの実際で紹介しています。
よくあるご質問
子が面談そのものを拒んだ場合はどうなりますか
子が会うことを拒んでも、親御さんの側でできることはあります。弁護士が窓口となって金銭の要求に応じない旨を伝える、連絡の経路を整理するといった対応から始めることもあります。【親子問題】本人が相談を拒む場合|家族だけで動ける範囲で詳しく扱っています。
遠方に住んでいても面談できますか
最初のご相談は、来所のほか電話・メール・LINEでもお受けしています。子との面談で訪問が必要な場合の進め方は【親子問題】遠方でも依頼できるのか|全国対応の実際をご覧ください。
相談から依頼までの費用や流れを知りたいのですが
ご相談から子の自立までの流れと費用の考え方は【親子問題】子の暴力・ひきこもり・お金の無心・犯罪行為に悩む親御さんへ|ご相談から自立までの流れと費用、よくあるご質問にまとめています。
まとめ
子がいる前で弁護士と話すかどうかは、相談の段階によって答えが変わります。最初の相談は親御さんだけで行い、事実を正確に伝えて方針を決めることが基本です。子と話す段階に入ったら、出席者、場所、伝える順序、安全の備え、終わり方までを事前に組み立てることで、話し合いがこじれる場面を減らせる可能性があります。子の前で話すべきか迷う段階でも、ご事情を伺いながら場の作り方から一緒に考えることができます。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


