【風俗トラブル】店の弁護士を名乗る人から電話が来た、本物か確かめるには?

若井亮

若井亮

テーマ:親子問題

本記事は、2026年11月時点の法令と弁護士会の仕組みをもとに、風俗店の利用者(客)の立場から解説しています。


風俗店でのトラブルのあと、知らない番号から「店の弁護士です」「女性の代理人をしている弁護士です」と電話がかかってくることがあります。弁護士と聞くと、すぐに訴えられるのではないか、言われた金額を払わなければならないのではないかと身構えてしまう方は少なくありません。ただ、電話口で名乗られただけでは、その人が本当に弁護士なのか、本当にその店や女性の代理人なのかは分かりません。この記事では、店の弁護士を名乗る電話を受けたときに聞いておくこと、本物かどうかを確かめる方法、本物だった場合と偽物の疑いがある場合それぞれの向き合い方を整理します。

電話の段階では「本物かどうか」はまだ分からない

 風俗トラブルで、店やキャストの側が弁護士に依頼し、その弁護士から客に連絡が来ること自体は珍しいことではありません。この場合、相手は登録を受けた弁護士で、正式に依頼を受けて連絡してきています。

 一方で、弁護士ではない人が弁護士を名乗ったり、店の従業員が法律の資格なく示談交渉を担ったりする例もあります。2026年2月には、宮崎市の風俗店の店長らが、弁護士でないのに客との示談交渉や示談金の受け取りをしたとして、弁護士法違反の疑いで逮捕されたと報じられました。

 弁護士法では、弁護士でない人が弁護士や法律事務所を名乗ること(弁護士法74条)や、報酬を得る目的で他人の法律問題を代理して交渉すること(同法72条)が禁じられています。とはいえ、電話の向こうの相手が名乗った名前や肩書は、それだけでは確かめようがありません。まずは「本物かもしれないし、そうでないかもしれない」という前提で、確かめるための情報を集めることから始めます。

電話を受けたときに聞いておくこと

 電話を受けた時点で、次のことを落ち着いて尋ねておくと、あとで確かめる手がかりになります。本物の弁護士であれば、いずれも答えに困る質問ではありません。

  • 弁護士の氏名(フルネーム)。
  • 所属している法律事務所の名称と所在地。
  • 所属している弁護士会と弁護士登録番号。
  • 誰の代理人として連絡しているのか(店の経営者か、キャスト本人か)。
  • 連絡してきた用件と、求めている内容。
  • 書面で連絡をもらえるかどうか。


 聞き取った内容は、通話の日時や着信番号と一緒にメモに残しておきます。可能であれば、通話を録音しておくと、あとで内容を確かめるときに役立ちます。

 反対に、この段階でこちらから伝えないほうがよいこともあります。相手がまだ把握していない住所、勤務先、家族の連絡先などは、相手が本物かどうか分からないうちは伝えずにおくのが無難です。金額の提示を受けても、その場で支払いを約束する必要はありません。「確認してからこちらから連絡します」と伝えて、電話を終えてかまいません。

本物の弁護士かを確かめる3つの方法

 聞き取った情報をもとに、次の順で確かめていきます。

聞き取った情報確かめ方
氏名・登録番号日本弁護士連合会(日弁連)の弁護士情報の検索で照合する
法律事務所の名称・所在地検索結果の登録事務所や、事務所の公式サイトと照らし合わせる
事務所の電話番号公式サイトなどで調べた代表番号からかけ直す
所属弁護士会その弁護士会の窓口に問い合わせる
誰の代理人か依頼を受けた範囲を書面で示してもらう


日弁連の弁護士情報検索で登録を確かめる

 日本で弁護士として仕事をするには、日弁連の弁護士名簿に登録され、各地の弁護士会に所属している必要があります。日弁連のウェブサイトには、弁護士の氏名や登録番号、所属弁護士会などから登録を調べられる検索の仕組みがあり、誰でも利用できます。

 名乗られた氏名で検索し、所属弁護士会や事務所名が電話で聞いた内容と合っているかを確かめます。登録番号を聞けている場合は、番号と氏名の組み合わせが一致するかも確認できます。

 ただし、検索で見つからなかったからといって、すぐに偽物と決めつけることはできません。弁護士は戸籍上の氏名とは別に「職務上の氏名」を使うことがあり、漢字の表記の違い(旧字体など)で検索にかからないこともあります。登録したばかりで情報が反映されていない場合もあります。見つからないときは、次の方法とあわせて判断します。

公式の番号から事務所にかけ直す

 もっとも確かめやすいのは、こちらで調べた法律事務所の代表番号に電話をかけ、「〇〇弁護士から連絡を受けたが、そちらの事務所の方か」と尋ねる方法です。このとき、かかってきた番号にそのまま折り返すのではなく、日弁連の検索結果や事務所の公式サイトに載っている番号を使うのがポイントです。

 実在する弁護士の名前や事務所名を使い、別の電話番号からかけてくる「なりすまし」もあるため、名前が実在することと、電話の主がその本人であることは別の問題です。着信番号が携帯電話の番号で、事務所の番号と一致しない場合は、特に慎重に確かめたほうがよいでしょう。

 弁護士会の窓口に問い合わせて、その弁護士が所属しているかを確認する方法もあります。東京の場合、弁護士会は東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会の3つに分かれているため、相手が名乗った会に問い合わせます。

書面での連絡を求める

 弁護士が代理人として交渉を始めるときは、依頼を受けたことや要求の内容を書面で伝える運用が一般的です。電話だけで話を進めようとし、書面での連絡を求めても応じない場合は、慎重に構えたほうがよい事情の一つになります。

 もっとも、書面の送付先として住所を伝えることには注意が必要です。相手がまだ住所を知らない場合、本物かどうか分からない相手に自分から住所を教えることになるからです。こちらで弁護士に依頼し、その法律事務所を送付先にしてもらえば、住所を伝えずに書面を受け取れます。

本物の弁護士だった場合も、言われたとおりに応じる必要はない

 確認の結果、相手が登録を受けた弁護士で、店やキャストから依頼を受けていると分かることもあります。その場合でも、相手の弁護士はあくまで店やキャストの利益のために動く代理人で、こちらの立場を守ってくれる存在ではありません。

 電話で示された金額は、相手側の主張として出されたものです。何についての請求なのか、金額の根拠は何か、どのような事実を前提にしているのかを確かめずに支払うと、後から内容を見直すことが難しくなります。「今週中に返事がなければ法的措置を取る」などと期限を示されることもありますが、返事を急ぐあまり、内容を確かめないまま合意してしまうことは避けたいところです。

 こちらも弁護士に依頼すると、相手の弁護士は原則として、こちらの弁護士を通さずに本人と直接交渉することができなくなります(弁護士職務基本規程52条)。以後のやり取りは弁護士同士で行うことになり、電話を直接受け続ける負担から離れたうえで、請求の中身を一つずつ確かめていけます。

偽物の疑いがあるときに避けたいこと

 確認しても事務所が見つからない、事務所に問い合わせたら該当者がいないと言われた、という場合は、弁護士を装った請求の可能性を考えます。そのようなときは、次のことを避けてください。

  • かかってきた番号や、相手が指定した番号に折り返すこと。
  • 個人名義の口座への振込や、現金の手渡し、電子マネーでの支払いに応じること。
  • 住所・勤務先・家族の連絡先など、新しい個人情報を伝えること。
  • 「今日中に」「今すぐ」と急かされて、その場で結論を出すこと。
  • 着信履歴やメッセージ、録音を消してしまうこと。


 弁護士を名乗って金銭を要求する行為は、弁護士法違反のほか、内容によっては恐喝や詐欺にあたるおそれがあります。脅すような言葉があった場合や、自宅や勤務先に来ると言われた場合は、警察相談専用電話(#9110)や最寄りの警察署に相談することも考えられます。

 一方で、相手が偽物だと分かっても、店とのトラブルそのものが消えるわけではありません。実際に店やキャストの側に言い分がある場合、別の人物があらためて連絡してくることもあります。偽物の連絡に応じないことと、トラブル自体にどう向き合うかは、分けて考えておく必要があります。

確かめるのが難しいときは、窓口を弁護士に移す

 日弁連の検索や事務所への問い合わせは自分でもできますが、着信が続くなかで一つずつ確かめるのは負担が大きく、相手のペースに巻き込まれやすい場面でもあります。こちらで弁護士に依頼すれば、相手が名乗った弁護士の登録や事務所の確認、相手方への連絡は弁護士が担います。

 相手が本物の弁護士であれば、弁護士同士で請求の根拠や金額を確かめながら交渉を進めます。相手が弁護士でなかった場合も、店側の誰と、どの立場で話をするのかを整理したうえで対応を組み立てられます。どちらの場合でも、電話口での受け答えを自分一人で抱え続けずに済むことは、大きな違いになることがあります。

 関連する解説記事は次のとおりです。


 店の弁護士を名乗る電話は、相手が本物かどうかによって、その後の向き合い方が大きく変わります。電話を受けた直後に支払いや約束をせず、聞き取った情報を手元に残しておくことが、確かめるための出発点になります。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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