マナーうんちく話2271《「なぜそうするのか?」という合理的理由が学べる和食のマナー講座》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:和食テーブルマナー

今年は洋食や和食のテーブルマナー講座を、各地でいろいろな方を対象に、多く担当しました。

コロナ後に改めて食事の作法の大切さが改めて認識されているということでしょうか。

良いことだと思います。

ただ、せっかく学習するのであれば、単に、箸や器の扱い方、フォーク・ナイフの使い方のみならず、いろいろな知識も学んでいただきたいものです。

特に和食のマナーの場合は「なぜそうするのか」という理由が理解できなければ、難しいと思います。

例えば「箸食」の国の中で日本はなぜ箸を横に並べるのか?なぜ箸を三手で持つのか?さらになぜ一匹丸ごとの魚は、裏がえさないで食べるのか?なぜ和食には「おしぼり」か?

これらにはそれぞれ合理的な理由が存在するのですが、これらの理由が理解できれば納得でき、作法も自然に身に付きます。

同じテーブルマナー講座でも食事が伴えば、限られた時間ですと、どうしても食べ方に重きが置かれるので、理由まではなかなか理解してもらえません。

先日ある町の「生涯学習講座」の一環として「実食を伴わない和食のテーブルマナー講座」を担当してきました。

食事が無ければ、簡単な演習のみで多くの話ができるので、食事なしのマナー講座もお勧めです。

手軽で、安い費用で、多くの事が学べ、大きな効果が期待できます。

勿論時間や予算にゆとりがあれば話と食事の併用がいいと思います。
《先日の講演内容は次の通りです》
〇晩秋から初冬にかけての二十四節気や七十二候
〇マナーの基本知識
〇「世界3大食法」と和食と日本の箸食(神道との関係)
〇瑞穂の国の「米の文化」&「和食文化」と「和食の作法の基本」
〇箸の基本知識と美しい箸・器の持ち方・扱い方(演習)
〇神道の「神人共食文化」と「祝い箸」と「お節料理」
〇「正月」と「正月に関する行事食」
※和食と年中行事の関係

●グループワーク(次のテーマで話し合っていただきました)
・箸を三手で持つ理由
・日本の箸は箸先が左で、横に揃えておく理由
・「手皿(手盆)」がタブーとされている理由
・尾頭付き(一匹丸ごとの魚)の食べ方とその理由
・祝儀袋についている「熨斗」の存在意義(熨斗をなぜ付けるのか?)

概ね以上ですが、今回はミドルエイジから高齢女性が中心で、ほとんどの方が家庭の料理を担っているということと、正月が近い、さらに米作りの地域ということもあり、このような内容でまとめてみました。

グループワークの問題は食の道を志す学生に向けて作成した問題ですが、あえて挑戦していただき、和食の奥深さを実感していただきました。

会場が和室であれば、履き物の脱ぎ方・揃え方、座礼や座布団等の和室での美しい立ち居振る舞いにも触れるのですが、今回は机と椅子の部屋でしたのでこのような話題になりました。


ところで洋食と和食の「テーブルマナー」の講習は数えきれないくらい担当しましたが、皆同じというわけではなく、資料も、話す内容もすべて異なります。

洋食か和食か?さらに「食事」を伴うか否かが最も大きな違いですが、他にも
日時、会場、受講者層、人数、参加費用、目的、時間等のより変わってきます。

柔軟性に富んだ個人のマナー講師だからこそ可能なシステムだと思います。

●時期と時間⇒春夏秋冬の季節、及びランチタイム、ディナータイムにわかれますが、特に洋食の場合はランチタイムかディナータイムで話の内容が異なります。
服装や飲み物の話など。

一方和食は季節性が大事ですから春、夏、秋、冬で大きく異なります。
加えて和食は年中行事とのかかわりが深いので、その時期にあった伝統行事の由来やマナーにも触れます。
また成人対象のディナータイムでは日本酒をとりあげ、日本独特の「酌の文化」にもふれます。

●会場⇒ホテル、旅館、料亭から公民館、レストラン、食堂、公共施設、カルチャーセンター、学校など様々ですが、実食を伴わないのであれば会場の選択肢は非常に増えます。
家庭のダイニングルームや施設で開催したこともあります。

●受講者層⇒学生から高齢者まで、年齢幅は非常に大きいのが特徴です。
中学生だとまず理解し、実践することが可能です。
中学、高校、専門学校、大学生には「生きることは食べること」をしっかり認識していただき、食べ方次第でこれからに長い人生が、身も心も大きく異なることを理解していただきます。

そのうえで美しい食べ方、賢い食べ方にふれます。
加えてコミュニケーションの大切さもお話しします。
時間にゆとりがあれば世界の食事情にも触れ「飢餓」の実態に触れることもあります。いわゆる食育ですね。

テーブルマナーに限らずマナーに関しては、中学時代に指導するのがベストだと思っています。
是非ご検討ください。

ビジネスマンには必要に応じ「もてなしの仕方」などにも触れます。

高齢者には楽しく食することと、共食をお勧めしています。
特に高齢期を迎えた人の孤食は増える一方ですので、可能な限り共食の機会を設けることが大事です。
さらに歳を重ねた人は、若い世代に、教えるべきことをきちんと教えるようになっていただきたいものです。
箸の美しい持ち方などはその筆頭格で、良き手本を見せて頂きたいものです。

●目的⇒テーブルマナーの目的は様々なケースがありますが、百歳時代を豊かに生きていく上で、いつでも、誰でもテーブルマナーを学習していただくことはとても大切です。

〇学生の自立支援:学生が社会に出る前にテーブルマナーを学び、それを日常生活の中で生かすことは非常に重要なことだと考えます。何度も触れますが「生きることは食べること」ですから、美しい食べ方は美しい生き方に直結するというのが私の持論です。
早い時期ほどいいと思いますが、テーブルマナーとは何か?なぜ必要かをまず理解していただくことが大事です。

今の日本は物質的に非常に豊かになっていますが、親の家庭における躾の力は大変に弱くなっていて、家庭で挨拶の仕方や箸や器の扱い方、盆や正月などの年中行事の意義や意味を教えることは、ほとんどないのではないでしょうか?

親自身も学校で教わってないから、教えたくても教えることは難しいでしょう。
だから早いうちに専門家の指導を受けさせてあげてはいかがでしょうか?

子どもが「美しい箸使い・器の扱い方」などを身に付ければ、思った以上に大きな効果を発揮します。

〇自分磨き、生活教養講座としてもお勧めです。
看護や介護に携わる人が、和食に込められた素晴らしい精神文化を、介護や看護に活かしたいという目的で和食のマナー講座を受けて頂いたことも結構あります。

さらに営業職の人が接待に活かす目的で和食や洋食のマナーを受講されることも珍しくないことです。

学校や幼稚園、またお茶やお花の先生が生徒に教えたい目的で受けられることも多いです。

飲食業の経営者も多い方です。
テーブルマナーは店舗経営の立派な経営戦略になるでしょう。

●和食のマナーが先か洋食のマナーが先か
私が今までマナー講座の受講生に尋ねた限りでは、学校や家庭や職場やカルチャーセンターなどで、本格的に和食と洋食のテーブルマナーを受けたことがある人はほとんどいません。

日本社会全体において認識が乏しいということでしょう。

でもどちらも学びたいと思う人は大変多くいます。

ではどちらを優先するかといえばまず和食の作法だと思います。

洋食のマナーは西洋の王侯貴族の間で生まれ、見栄もあるように思いますが、和食の作法は、八百万の神が宿る日本独特の宗教観の基で生まれた、世界でも大変ユニークな文化であり、日本人の姿勢がうかがわれます。

「文化は作法」からといわれますが、和食の作法を通じ、あらためて相手に対する敬意、感謝、思いやりの心を身に着けて、百歳時代を豊かに生きて頂きたいものです。

その後に、西洋の文化にも触れられたら、さらに幅が広がると思います。

民間企業の福利厚生の一環として、学校の食育に、公民館の生涯学習の一環として、飲食店の経営戦略として、さらに女性団体の自分磨きとして和食のテーブルマナー講座をぜひ検討してみて下さいね。
そしてお気軽にお問い合わせください。

日本の12月は歳神様をお迎えする準備をする月です。
その際、年中行事や和食の「神人共食文化」などの知識があれば、大変充実した気分になります。
また周囲の人に教えてあげることも可能です。

来年の目標は「美しい食事」スタイルの確立でどうでしょうか。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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