マナーうんちく話622≪世界平和記念日と日本の礼儀作法≫
今年は記録的に桜の開花が早かったですが、その桜もすっかり葉桜になり、今は新緑の中に藤や桐の花が見ごろを迎えています。
ちなみに桜はもともと日本人にとって大変神聖な木で、農作業の目安になったり、花見の対象でもあり、一大文化を築いてきた木でもあります。
まさに日本の国花に相応しいわけですが、それにしても開花予想に始まり、散った後迄楽しみ続けるわけですから素晴らしいです。
世界にも例がないでしょう。
以前「マナーうんちく話」でも触れましたが、桜の花弁が散った後に、桜の木に残っている雄蕊と雌蕊を「桜蕊(さくらしべ)」といいますが、先人はここまで桜を見届けたわけです。
今では花見が済んだら桜は見納めですが、頭が下がりますね。
また「花吹雪」や「花筏(はないかだ)」などの粋な名前を付け、散り行く桜まで存分に楽しんだのでしょう。
現在は気象庁が桜の標本木を定め、その蕾の様子で開花状況を予想しますが、桜の開花状況が解れば、春の訪れまで、おのずと理解できます。
さらに昔の人は桜の咲き方、散り方などで、農作物の出来不出来を占ったといわれますが、当時は私たちが想像する以上に大事な農耕行事だったと思います。
概ね春の訪れは「春告げ草」の梅や、聖なる桜がもとになったのでしょう。
また秋の訪れを察知する言葉に「一葉落ちて天下の秋を知る」があります。
「マナーうんちく話1522」で触れましたが、この「葉」は桐の葉っぱです。
桐はだいたい藤の花と同じ時期に紫の花を咲かせますが、桐の葉は大変大きく存在感があります。
さらに桐は、秋になると、ほかの木よりいち早く葉が落ちます。
だから先人は、桐の葉が落ちる様子で秋の到来を知ったわけですが、「一葉落ちて天下の秋を知る」とは、些細なことで、その背後にある大きな出来事を予想する意味でも使われます。
「一華を見て春を推せよ」も「一葉落ちて天下の秋を知る」も、共通して言えることは「一を聞いて十を知る」ことであり、推察力の重要性を説いた言葉だと考えます。
大変難しいことです。
地震予知にしてもコロナの状況にしても、膨大な資料があって、AIを駆使してもなかなか的確に予測ができないのが現実でしょう。
私のようなものには「一」を聞いても、果たしてそれを正しく理解できるかどうかも不安です。
物事の一部を聞いただけで、全てのことが理解できるには、相当の経験、知識が必要でしょうが、せめて一部だけでも正しく理解できるような努力はしたいものです。
桜の開花は早かったですが、今年の農作物の出来た如何でしょうか。
どうか大豊作になりますように・・・。