マナーうんちく話622≪世界平和記念日と日本の礼儀作法≫
新春に萌え出た若草の芽を食し、そのエネルギーを取り込む「七草粥」、そして開運招福を祈願する「鏡開き」の行事を済ませたこの時期は、正月気分も抜け、仕事やプライベートにおいて、日常の生活に精を出している人も多いと思います。
しかし日本ではさらに1月15日の「小正月」を祝う風習があります。
餅花を飾り小豆粥を食しますが、今ではほとんどすたれてしまった気がします。
ちなみに小豆粥には邪気を払う力があると考えられていました。
SDGsが叫ばれる中、本当はぜひ復活させたいしきたりだと思うのですが・・・。
1月1日は「男正月」と呼ばれ、男性は酒を飲みご馳走を楽しみますが、主婦は台所仕事で大忙しです。
今の時代、あまりにも男女不平等で、女性は損な役割のように思われる人も多いと思いますが、その代わり1月15日の小正月は「女正月」といって、炊事、洗濯、掃除などはすべて男性が行い、女性はゆっくりくつろぎます。
「持続可能な社会」などといった洒落た言葉はない時代ですが、男性と女性が、ちゃんと平等になるような仕組みになっていたようですね。
ところで日本では新しい年が明けるとともに「あけましておめでとう」の挨拶をかわしますが、おめでたいといえば「七福神」を思い浮かべる人も多いと思います。
徳川家康が七福神を信仰したのが始まりで全国に広まったといわれますが、私も毎年元日には七福神の絵を枕の下に敷いて寝ます。
いい初夢がみられることを願って・・・。
「七福神」は五穀豊穣の御利益をもたらす「大黒天」を始め、商売繁盛の「恵比寿神」、開運厄除けの「毘沙門天」、学問や芸術の「弁財天」、健康や長寿の「福禄寿」、無病息災の「寿老人」、家族円満の「布袋尊」の福をもたらす7体の神様です。
ところでお気づきの方も多いと思いますが、七福神はみんな耳が大きくて、口が小さいのが特徴ではないでしょうか。
なぜでしょう?
実はここに人付き合いの極意が秘められていると思うのですが・・・。
耳が大きくて口が小さい理由は、とにかく人の声をしっかり聴いて、しゃべるのは控えめということだと考えます。
まさに「話し上手は聞き上手」ということです。
似たような話があります。
神様は人に「耳を二つ、口は一つ与えました」。
喋ることより、人の話に耳を傾けることを大切に考えられたのでしょう。
最近コミュニケーションの分野でも、アメリカなどから最新の学問がどんどん入っているようですが、「和の国」日本にも素晴らしい教えは結構あったようですね。
そして日本の正月に欠かせない存在の七福神は、七人の神として多くの日本人に信仰されていますが、実は日本の神様は一人だけです。
イザナギノミコトとイザナミノミコトの子どもとされる恵比寿神だけで、残りは中国やインドの神様で、神道を始め、ヒンドゥー教、仏教、道教など様々な背景を持っていいます。
いずこも人の話をしっかり聞くということは基本のようですね、
ただし「人の話をしっかり聞く」ということはたやすいことではありません。
特に自分とは異なる意見の場合、それを真摯に受け止め、理解し、尊重するにはかなりの人生経験が必要でしょう。
ただ前向きに人の話に耳を傾けることは大事です。
今年はうさぎ年でもあるし、令和5年の目標の中に、人の話にしっかり耳を傾けることを追加されるのもお勧めです。