マナーうんちく話500≪継続は力なり、500回ありがとう!≫
初対面の人を始め、家族、地域、学校、職場などで人に会うとまず互いに挨拶をかわします。
恐らくこの習慣は世界共通でしょう。
ただ挨拶の仕方は多種多様です。
いずれにせよ、相手の所在を確認したという意味や、相手に対する親しみや友好を表現することに大差はないと思います。
握手やハグなどもしかりでしょう。
しかし日本の挨拶は、さらに「礼儀」や「ねぎらい」といった側面が加味される場合が多々あります。
心が込められているということです。
日本人の代表的な挨拶「お辞儀」がそうです。
素晴らしい日本の文化だと思います。
なにがすばらしいのか?
①とにかく非常に長い歴史を有しています。
仏教の伝来とともに日本にお辞儀が伝わったといわれていますが、少なくとも千数百年の歴史があるということです。
もともと古代日本では、庶民が偉い人に服従や敬意を表現するとき、平伏していたといわれていますが、やがて、この行為を立ってしたり、座ってしたりするようになったといわれています。
「土下座祭り」もありますね。
お辞儀は、相手に対して頭を下げ、首を見せるわけですが、自分にとって最も大切であり、弱い部分である頭や首を差し出すという行為は、相手をそれだけ信頼しているという意味になります。
また、服従や敬意を表現する行為にもなります。
②厳格な作法が敷かれている
日本人は昔から礼儀作法や風習をとても大切にしてきたわけですが、室町時代になって「小笠原流礼法」という礼法が出現します。
武家社会には、ほかにも伊勢流といわれる礼法があったようですが、小笠原流だけが広く世に伝わり、現在に至っています。
いずれにせよ、知性や教養は大事であり、その意味においても、礼法は武士にとっては必須科目だったのでしょう。
映画やテレビでしか見たことはありませんが、武士の立ち居振る舞いは本当に美しいとおもいます。
特に座った時の振る舞いは最高です。
時が経過し平和な社会になってくると、武士の妻や庶民もマナーに関心を持つようになり、武家礼法とともに、武士の妻を対象にした「女性礼法」や、庶民のための「通礼」なるものが出現し、多くの人がお辞儀というマナーを心得るようになり、日本人に根付いてきたのでしょう。
ちなみに現在日本の礼儀作法は小笠原流礼法が基本です。
私も通信教育で学びましたが、学習すればするほど奥深さを実感できます。
大変美しい上に、合理的で無駄がない点が素晴らしいと思います。
お辞儀しかりです。
特に座礼は「形」といい、「そこに込められた思い」といい、世界に類を見ない美しさだと思っています。
映画やテレビで武士の立ち居振る舞いを見ていると本当に美しいですね。
それを明治新政府は、義務教育の授業の一環として学校で教えているので、多くの国民は、貧しいながら凛とした美しさを有していたのではないでしょうか。
③相手や場合により、感謝やお詫びの気持ち、さらに経緯などを臨機応変に調整できる。
たとえば座礼も立礼も、足と腰は曲げないで、背中をまっすぐ伸ばしてお辞儀をするわけですが、頭を下げる角度、頭を下げている時間は用途により自由に使い分けられます。
例えば公式の行事ほど、相手の地位が高いほど、頭を低く下げ、長い時間下げます。
お辞儀の大きな特徴です。
昔は今のようにみんな平等ではありません。
身分制度が存在し、上位者と下位者では大きな格差があります。
お辞儀も多分に上下関係を示したのでしょう。
身分の低いものが、身分の高い人に直面するとき、自分が相手に対し脅威の存在ではないことを表現するために、また服従を示すために、頭を下げ体位をより低くして、見せたようです。
こうすれば確かに無防備の状態になりますね。
このようなスタイルの挨拶が1000数百年以上、脈々と受け継がれているわけですから、日本はつくづく平和な国だなーと思います。
日本に生まれて本当に良かったです。