マナーうんちく話1755《高齢期を「幸齢期」に彩る心構えと人生設計》
二十四節気は一年を24に分けるので、15日ごとの動植物、虫や鳥、気候の変化を知ることができますが、これをさらに3等分して一年を72に分け、5日ずつの自然の変化を知ることができるようにした「七十二候」があります。
それによると9月12日頃から9月17日頃は、春にやってきた燕が南の国に帰り、代わりに鶺鴒(せきれい)が泣き始める季節とされています。
日本書記にこんな話があります。
伊邪那岐と伊邪那美の二神が結婚したものの、どうして子供を作るのかわかりません。
そこに鶺鴒がやってきて、長い尾を振りながら男女の交わりを教えたとか・・・。
だから鶺鴒は「恋教えどり」とも呼ばれており、江戸時代の婚礼時では、鶺鴒の飾り物が用意されたそうです。
ちなみに鶺鴒は番(つがい)になると大変仲睦まじく暮らすそうです。
さすが恋教えどりですね。
秋の気配が濃くなってきた9月11日(日)午後1時30分より、岡山県和気町中央公民館大集会室で、只今開催中の「生涯現役百歳大楽校」の一環として、「幸齢者の知恵袋!暮らしのマナー講座」を開催しました。
定員は長テーブル1人掛けで20名。
会費500円(資料、茶菓込み)
スタッフの中に華道教師がいるので、9月9日の「重陽の節句(菊の節句)」、9月10日の「中秋の名月」にちなんで、会場装花は長寿のシンボル「菊」と、十五夜草とも呼ばれる「紫苑」で飾っていただきました。
さらに参加者の長寿を祈願して「大人の雛飾り(後の雛飾り)」ということで「内裏雛」を飾りました。
講座の内容は下記のとおりです。
●「旧暦」のある豊かな暮らしの勧め(9月編)
冒頭に秋の語源や和風月名の「長月」の由来、さらに9月8日の二十四節気「白露」、9月9日の「重陽の節句(菊の節句)と後の雛飾り」、9月10日の「中秋の名月とお月見泥棒」9月11日の「十六夜の月」などのお話で秋の趣を感じて頂きました。
●「和の心」と四季への感性
日本で成文化された最初のマナーといわれている「和を以て貴しとなす」の言葉を引用して、日本人の心に根付いている「和する心」に触れ、個を優先する欧米文化と、日本の他者を優先する文化の違いについてお話ししました。
また季節により、着るものや食べるものが異なる日本独特の風習や四季への思い、そして鈴虫の鳴き声や紅葉を見て美しいと感じる日本人の心について話を進めました。
さらにそれらを背景として生まれた「思いやり」を根源とした、日本の礼儀作法の成り立ちについて理解を深めて頂きました。
●国際化、デジタル化の進展に加え、コロナで激変した「冠婚葬祭」の在り方
〇冠婚葬祭の本来の意味と意義
4大儀礼を古い慣習で現代生活にはミスマッチと捉えるのではなく、それぞれの本来の意味や意義を理解すれば、マナーの面でも臨機応変に対応できることを、いくつかの具体例を挙げお話ししました。
〇「冠」に関して
成人式の様子
長寿社会と長寿の祝いの作法
※高齢者が多いので祝いの受け方、その後の内祝い等に触れました。
神社仏閣との付き合い方、参拝の作法など
〇「婚」について
人間関係のヒントが凝縮されている、従来の「仲人」や「結納」の制度や意義、
そして神前挙式の339度や親族杯の儀式の作法を振り返っていただきました。
最後に少子化のカギになる今の結婚観と婚活や結婚式の在り方の説明を簡単にお話ししました。
〇「葬」について
葬儀の目的や意義
「終活」の前に、自分なりの死生観の確立の勧め
定番の葬儀が亡くなった最新の葬儀事情
葬儀の作法と黒い喪服との関連
喪中と忌中の違い
最後に宗教に関心を持っていただくことも大切では?で結びました。
〇「祭」について
旧暦のある豊かな暮らしの勧め
何でもかんでも欧米文化に流されず、先ずは自国の文化のすばらしさを理解し、それを次世代に伝えることが大切
豪華さを競うより、年中行事の由来や本来の意義を理解することが大切ではないでしょうか?この問いかけには多くの方が頷いていただきました。
〇補足
解っているようでなかなか答えられない、贈答品に熨斗を付ける理由
内祝いの本来の意味と作法について
「健康生きがいづくりアドバイザー・レクレーション介護士」の資格を有するメンバーによる「体ほぐし体操」を交えての120分の講義でしたが、皆さんとても関心を寄せていただき、熱心にお付き合いいただき感謝です。
通常は喫茶タイムを設け茶菓で気軽に話をしていただくのですが、コロナ感染防止のため菓子はテイクアウトにしていますが、お月見に指南で芋羊羹と栗饅頭にしました。
加えてメンバーが持参したとれたての茄やゴーヤも希望者にはお持ち帰りいただきました。
参加者の感想ですが、もちろん大好評で、今後もシリーズで様々な話題を発信してまいります。
早速第2弾も企画しますが、状況が許せば座談会、発表会なども交えたいと願っています。
※夜参加者より感想を電話で戴きました。
楽しみに参加したが、思っていた以上に大変奥が深い話でびっくりしました。
日本には素晴らしい文化がいかにたくさんあるのか、改めて認識しました。
またそれを知らずに何年も過ごしてきたのが残念。
心の豊かさというものがどんなものか少し理解できた気がしました。
スタッフや会場全体の雰囲気がとても暖かく、講義内容も奥深く、資料もお土産のお菓子や野菜も嬉しく、次回が大変楽しみです。
ありがとうございました。(70代女性)