マナーうんちく話535≪五風十雨≫
コロナで自粛生活が長引き、意気消沈した高齢者が多い中、身体活動と社会活動促進のため、地域での「出前講座」に積極的に取り組んでいます。
6月15日、地域の《ふれあい会》に招待され、2部構成で講座を開催しました。
1部:マナー講師による
《自分も輝き、誰かに教えたくなる暮らしの歳時記〈夏偏〉》
2部:健康生きがいづくりアドバイザー・レクレーション介護士による
《座ってできる楽々レクレーション》
60歳から90歳くらいまでの男女25名くらいでの講座で、いろいろ質問を投げかけながら、昔懐かしい「夏の年中行事」のお話をしました。
その後は参加者にマッチした「体ほぐし体操」と「レクレーション」で疲れた体を癒していただきました。
第1部:夏の歳時記の内容に触れておきます。
●冒頭の挨拶
ちょうど田植えへの最中でしたから、旧暦の「水無月」の語源についてお話しした後、西洋の「ジューンブライド」の説明をして、時のニュースになった日本の若者の恋愛観、結婚観に触れました。
●「夏越の祓い」、茅の輪くぐりについて
まず6月末から7月上旬にかけて、地域のお宮の「茅の輪くぐり」の行事に参加するか否かに尋ねました。
関心はあるものの、身体状況で思うようにならない人が増えましたね。
神社は地域により立地はまちまちですが、エスカレーターやエレベーターはなく、長い石段を上るところも結構あります。恐らく全国的にもそうでしょう。
またコロナで「アマビエ」が脚光を浴びましたが、「茅の輪くぐり」も疫病退散目的であり、できればお孫さんらも誘って、身近な神社での参拝をおすすめしました。
※《マナーうんちく話2045》を参考にして下さい。
●七夕伝説
「五節句」のお話を最初にして「笹の節句」の説明をしましたが、意外に七夕が「笹の節句」だというのは知られてないようですね。
行事に笹を使用するので「笹の節句」ともいわれますが、夏本番を前に、星に祈りをささげるのは、いくつになってもいいものです。
ところで七夕伝説は、織姫と彦星が一年に一度天の川を挟んで逢瀬を楽しむ行事ですが、当日大雨が降って天の川が増水したら、彦星と織姫はあうことができるのでしょうか?
この質問は「できる」と答えた人と「できない」と答えた人がちょうど半々でした。
出来ると答えた60代女性に、その根拠を尋ねたら「カササギの集団がやってきて羽を広げて橋を作ってくれるから」と答えて下さいました。
拍手です。
昔の人は心が優しかったのでしょう。
都合のいいように、上手に物語を作っていますね。
※《マナーうんちく話99、マナーうんちく話765》を参考にして下さい
●お中元
最近お中元の様子が大きく様変わりしていますが、時代の流れに順応しつつ、きちんとした由来を把握し、変えていい部分と、変えてはいけない普遍的な部分についてお話ししました。
加えて「お歳暮」との違いについて説明をしました。
意外に知られてない部分です。
また日本における贈答の起源や神道との影響、特に「神人共食文化」の存在に触れ、お歳暮やお中元に食料品が多い理由をお話ししました。
時間があれば「祝い箸」の説明もしたいところですが・・・。
※《マナーうんちく話267、マナーうんちく話1969》を参考にして下さい。
●土用とウナギの関係
暑気払いにウナギを食す風習から、江戸時代のウナギのかば焼き文化について。
さらに「土用」の意味の説明をしました。
技術革新が進み便利にはなりましたが、一方四季にまつわる美しい言葉は影を潜めており、「土用」の意味をご存じの方は非常に少なくなりました。
江戸時代に食文化が発達して「和食」の原型が確立したこと、及び夏の土用にかば焼きを流行させた平賀源内の戦略や割りばしの誕生の物語など、マナー教本には書かれてないお話を交えたあと、「鰻の刺身」についての質問をしました。
以外にウナギの刺身を食べた人はいないですね。
フランス料理なら「鰻の赤ワイン煮込み」、和食なら「鰻の刺身」となってもいいと思うのですが・・・。
ところでたまに高級な店で戴く「うな重」。
美しく食したいものですね。
ポイントはいくつかありますが、先ず吸い物と重箱の蓋を両手で静かにとります。
先に吸い物を一口いただき、口を潤してください。
重箱は左手で軽く重箱に添え、左から右に向けて半分いただきます。
下半分を食べ終えたら、両手で180度箱を回転させ、又左から右に向けていただきます。
終わったら吸い物も重箱も蓋を元通りにして下さい。
※《マナーうんちく話290,マナーうんちく話1009》を参考にして下さい。
●お盆
「そもそもお盆とは?」の質問に対して・・・。
会場が静まり返ってしまいました。
では「お正月は?」と続けましたが、雰囲気は変わりません。
盆や正月は何回も経験していますが、実際にどんな日か?
明瞭簡潔に説明するのは年を重ねても難しいですね。
恐らくクリスマスもそうでしょう・・・。
盆も正月も仏教や神道の行事ですが、日本では公立の小学・中学・高校ではほとんど宗教教育おこなわないので、無理のないことだと考えます。
終活もよいのでしょうが、仏教の本を読んでみるのもお勧めです。
お盆と正月の説明と、盆・正月とお彼岸の違いについてお話ししました。
そして日本の年中行事、盆の存在意義に触れました。
※《マナーうんちく話《1286,マナーうんちく話2053》を参考にして下さい。
これで1部が終了し、トイレ休憩の後「体操」と「レクレーション」で盛り上がりました。
その後笑顔満開での記念写真(集合写真)をとりお開きです。
同行のスタッフが講座風景をいろいろな角度から撮影したので、集合写真とともに、後日「出前講座便り」を作成し、写真とともに参加者に配布する予定です。
一生懸命お付き合いいただきありがとうございました。