マナーうんちく話622≪世界平和記念日と日本の礼儀作法≫
【はじめに】
ホテル業界に入り、長年現場の第一線で接客の仕事に携わったことや、洋食、和食のテーブルマナーにかかわった経験を活かしたいとの思いで、定年より早めに退職し、「マナー講師」としてセカンドライフのスタートをきりました。
公立高校の非常勤講師(キャリア教育支援員)や新聞社などのカルチャー教室講師を経て、改めて「マナー講師」としてスタートしたものの、本当にこれでやっていけるかどうか?大きな不安や迷いがありました。
そんなおり、全国紙の人気コラムで有名大学の学部長の書かれた、「大学の本来の仕事は思いやりのある学生をどれだけ社会に排出できるかだ」との記事に勇気づけられたことを、今でも鮮明に覚えています。
以後迷うことなく、正しいマナーの探求や普及に精を出すことができた気がするわけですが、そんな自己満足とは裏腹に、現実はマナーもマナー教育も、家庭や学校やビジネス社会で遠のいているように思えてなりません。
コミュニケーションの在り方もしかりでしょう。
【マナー教育の必要性】
先人が長い月日を積み重ねて気づき上げた数々のしきたりや作法を正しく学び、理解することは、デジタル社会やグローバル社会においても、必要不可欠であることは確かでしょう。
長年、社会人の心得として、就職対策として、また豊かな社会生活をするために、学生、ビジネスマン、主婦、高齢者などを対象にビジネスマナーや日常生活に関するマナー教育に関わってきました。
中でも就職を控えた学生や、社会人になりたての若者のビジネスマナーに関する依頼は多かったように思います。
勿論ビジネスマナーに関心を抱き、熱心に取り組んでいただけることは大変ありがたいことですが・・・。
毎回痛感することがあります。
ビジネスマナーとは平たく言えば仕事に関するすべてのマナーで、人付き合いから冠婚葬祭まで非常に幅広いものです。
それらを学習するにあたっては、社会生活を快適に送るための、ある程度の常識を有していることが大前提になります。
しかし豊かで便利な時代になったわりには、その大前提が備わっていないような気がしてなりません。加えてストレスにも非常に弱い気がします。
勿論良い点もたくさんあります。
優しいし、偏差値も高いし、最新の情報機器を巧みに操り、情報収集能力にもたけています。
でもビジネスマナーとの隔たりは大きくなるばかりだと感じます。
まずはマナーの基本を教育することだと考えます。
礼儀作法、マナー、エチケット、プロトコールなどの区別もありますが、周囲とよりよい人間関係を築く上でのルールであり、スキルとの認識でいいと思います。
そしてその根源になるものは、日本では「相手に対する思いやりや優しさ」であり、それは家庭でも、地域でも、学校でも、職場でも同じです。
そして学生に対してマナー教育を担うのは、その性格上、子どもを取り巻くすべての大人です。
しかし残念ながら子どもに教えられる大人がどれくらいいるか?
問題はここでしょう。
課題は非常にたくさんありそうです。
これから順次、いろいろな角度からのマナー教育等に関するコラムを度々お届けいたします。
参考にして下さい。