マナーうんちく話2037《コロナ禍における職場の人間関係!どう築く?》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:人間関係を良好にするマナー

行く春や 鳥啼き 魚の目は涙(松尾芭蕉)

春を惜しむ名句として大変有名ですが、四季が明確に分かれている日本では、季節の移ろいは名残惜しいものがありますね。

特に春が去っていく頃は・・・・。

季節は「山笑う頃」から「山滴る頃」へと移り変わっていくわけですが、この時期になるとビジネスの世界では憂鬱になる人が多いようです。

特に深刻さが増すばかりのコロナ禍においては・・・。

ちなみに「人間のすべての悩みは対人関係の悩み」と述べた心理学者がいましたが、確かにそうだと思います。

また「人生百年時代」をいかに豊かに生きるかが問われています。

いろいろな生き方があってしかりですが、私は「仕事・愛する人・仲間・健康」に恵まれることが大切と考えています。

これらはすべて対人関係が課題になりますが、ビジネスの社会では《職場でいかに良好な人間関係が築けるか?》が問われるでしょう。

職場において、周囲と人間関係が築けなくては、仕事に張り合いが出ないし、ストレスもたまる一方です。

出会いの季節4月は多くの人と人との出会いがありますが、出会った人と「どうかかわり」、どう付き合っていくかは大切な課題です。

ところでどんな職場においても、周囲との良好な人間関係の大切さは理解しているものの、実際は「人間関係をいかに築くか?」については。苦手な人が多いのではないでしょうか。

コロナ禍において、人との接触が極力避けられる政策がとられたことや、リモートでのコミュニケーションが進めばさらに拍車がかかるでしょう。

そこで職場でいかに良い関係を築いていくか再度触れてみたいと思います。

人を引き付ける方法は色々あります。
お金持ちになる、社会的地位を高める、出世する、有名になる方法もあれば、笑顔、聞き上手、挨拶上手など好感度を上げる手もあります。

臨機応変に、できることから始めればいいと思いますが、私が担当するマナー研修では、人としての温かさや好感度アップを進めています。

つまり職場で好感を持たれるには、「この人とともに仕事をしたい」「この人との時間を共有したい」「この人と話をしてみたい」などと感じてもらうことに尽きると思います。

そのためには、人の気持ちを理解できる力が大切と考えます。
上役であれば、一方的に上から目線で指示するのではなく、同じ目線で共感してあげるのもいいでしょう。

社会的地位やお金や仕事に対する有能さは確かに魅力的ですが、最終的に人から好かれるには笑顔、挨拶、聞き上手、相談上手などの好感度を上げることだと考えます。

特に「聞き上手」は、良好な人間関係を築くうえでも必要不可欠と考えます。
これはコロナ禍でも可能です。

良いとか悪いとか、あるいは否定や批判をすることなく、相手の思いを受け止める「受容」と、相手がどのように思っているのか理解しようとする「共感」を大切にして下さい。

たとえ相手が自分の考えと異なっていても、相手の気持ちを理解してあげようとすることが大切です。

ただしコロナ禍特有のむずかしさがあります。

例えば感染リスク回避に伴い、社員同士で対面する機会が激減しています。

こうなるとオフィス内の会話が減り、縦、横、斜めのコミュニケーションが希薄になり、互いの信頼関係、さらに生産性が低下し、業績にも響いてくるでしょう。

特に新入社員や2年生社員などで、オンライン業務を余儀なくされている人にとっては大きな負担になります。

情報共有が無くなるとともに社員同士の連絡がないと、不満もたまるしストレスも増してきます。
つまりモチベーションの低下が危惧されるということです。

定期的な面談や、上司との意見交換などがあればいいですね。
部下がコロナ禍のオンラインでの仕事で、どんな課題に直面したり、どんな思いでいるのかをきちんと把握し、対処することも重要です。

また、たまに出社しても、誰がどこにいるか、どんな状況に置かれているかも把握できるようにすることも大切だと思います。

とにかくできる範囲で、個別に話す機会を増やすことだと考えます。

そして協力体制をしっかり確立し、コロナ収束後のビジョンや現状での仕事のやりがいなどが、気兼ねなく話し合える雰囲気作りも大切にしていただきたいものです。

オンラインでの仕事の評価も大切です。
出来る限り、良かった点を積極的にほめることを心がけるとともに、改善点もきちんと示してください。

そして、このような状況下で、ぜひ上に立つ人にお勧めしたいのが「表情」です。

暗い顔つきで接するのは感心しません。
みんな苦しい時こそ、上の人は笑顔で接していただきたいものです。
マスク姿ですが極力明るく振舞ってくださいね。

マナーは平常時ではほとんど差は出ませんが、非常時にはその人の人柄がはっきり出ます。

非常時における人間関係作りで《顔の表情》はとても大切だということです。

さらにこのような状況下で「ユーモア」が発揮できる人は素晴らしいと思います。

この苦境下で、組織のすべての人が一枚岩になり、様々な経験を積んで、苦労を共にすれば、コロナ収束後には明るい希望が差し込んでくるのではないでしょうか・・・。

ちなみに日本には昔から「同じ釜の飯を食う」という言葉があります。

昔から人々の生活はご飯を食べることから始まるわけですが、同じ行動をしたり、同じものを食べることにより、連帯感が生まれるという意味です。

苦楽を分かち合った親しい間柄で、きずなの強さを表現するわけですね。

英語では「同じ杯で飲む(to drink of the same cup)」といわれますが、日本ではさらに強い絆を生む「3・3・9度の盃」や「返杯の儀」などがあります。

もちろんコロナ禍では不可能であり、加えてデジタルコミュニケーションが進んだ現状下では古い慣習だと思われるかもしれません。

また精神論ではだめと思われる人もいるかもしれませんね。

しかし、苦境に立たされた環境の下で、みんなが課題を共有し、支え合い、助け合い、励まし合って、前向きに歩んでいくことにより、平常時では味わえない連帯感や使命感が生まれ、強い絆が結ばれるのではないでしょうか。

最後に今回の新型コロナ対策やワクチン接種状況等で、指導者の力量がいかに大切か?痛感された方も多いと思います。ビジネス社会でも同じでしょう。

上に立つ人がリーダーシップ及び礼節を組織の最前線で発揮し、全ての社員が「つながる」行動を起こしていただきたいものです。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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