マナーうんちく話498≪うかつ謝り≫
エスコート(escort)とは「守る」「付き添う」「警護する」という意味がありますが、「男性が女性に付き添う」という意味が一般的です。
また「要人を警護する」意味で使用される場合もあります。
レディーファーストや騎士道の概念から生まれた言葉だそうです。現在は男女平等だからレディーファーストは差別と捉える人もいますが私はそうは思いません。
長年接客業に携わりエスコート役に徹してきましたが、優しくされて怒った顔は見たことありません。誰だって気分が良くなるものです・・・。
改めてエスコートに対する心構えについて触れておきます。
先ずエスコートはスキルも大切ですが、気持ちの表れです。
また場面に応じてエスコートの仕方は様々です。
つまり状況に応じた配慮が大切ということです。
例えば夫婦(カップル)で食事に行く場合、料亭か、ホテルのフレンチレストランか、居酒屋に行くかで振舞い方は全く異なり、知識として知っておくことが大事です。
そのうえで臨機応変に対応すればいいのですが、基本が大切です。
いくつか例を挙げておきます。
●レストランで
案内係がいる場合には、案内係のすぐ後ろに女性が付き、男性はその後ろを歩きます。案内係がいないときには男性が前(先)をあるき、女性をエスコートします。景色がいいなど「良い席」に女性を導き椅子を引いて下さい。
●乗り物
男性がドアを開き女性を良い席に乗せ、降りるときには男性が先に降り、女性をエスコートします。タクシーは運転手の後ろが上席です。ただし着物を着た女性で、奥側の席に進むのが困難に思われるときは、男性が先に乗って奥側(上席)に座ります。
この際「私が先に乗りますね」と一声かけて下さい。言葉足らずは誤解の元です。
●足元が悪い時
男性は手を差し伸べてエスコートします。この際手のひらは上に向けます。
また腕を差し出すときには、歩くスピードは女性に合わしてください。
●階段の上がり降り
上がるときには女性が先(前)で、降りるときには男性が先になります。エスカレーターも同じです。女性が不安定になりよろけても、後ろで男性が支えるためです。
●席を譲る
乗り物や室内では男性は女性に席を譲ります。
電車内ですが、小学校高学年の児童と親が一緒で、席が一つの場合、親が子に席を譲っている光景を見かけます。どう思いますか?
私は子どもが元気なら、子どもを立たせて、親が座ればいいと思います。
この他、待ち合わせの場合は男性が先に行く。またカップルで歩いているときに知人に逢ったら、男性は女性を紹介する。車道を歩くときには、車道側を男性があるき、歩くスピードは女性に合わすなどを心がけて下さいね。
またエスコートする際に、男性は心に《ゆとり》を持つことが大事です。
「エスコートをする」ということは、相手を大切に思っているという気持ちを、行為で表すわけですから、気持ちにゆとりがないといけません。
加えて姿勢や健康に日頃から気を配るなど、小さな心がけは必要不可欠でしょう。
またエスコートを受ける女性は堂々と受け、それに対して「有り難う」と、笑顔で答えることが大切です。
30年以上洋食・和食のテーブルマナーに関わっていますが、その際女性に、レストランで男性にエスコートされた経験の有無を必ず質問しています。
優しくエスコートされた経験を持っている女性は、ほんの微々たるものです。
ということは男性もエスコートした経験がないということです。
恥ずかしがらずに、一歩前に出る勇気を持つことも大切です。
今日は料亭だから男性優位で、今日はホテルのレストランだからレディーファーストでなどと、出かける前に話し合っておくことをお勧めします。
とにかく慣れて下さい。