マナーうんちく話1984《「礼も過ぎれば無礼となる」!調和のとれた立ち居振る舞いの勧め》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

「人生100歳時代」をより善く生きるにあたり、長年行ってきた様々な研修会や講演会を通じ、感じてきたことをランダムですが、シリーズで触れてみたいと思います。

最初は調和のとれた「立ち居振る舞い」です。

自分が周囲からどう見られ、どう思われているか客観的にとらえたことがありますか?

自分の話している声の調子、食事をしている時の姿、接客時の表情や態度、家庭にいる時、デートの時などなど・・・。

33年間ホテルに勤務していた時に、立ち居振る舞いが美しいお客様に多々出会いました。
初対面でも美しいしぐさの人は印象に残るものですね・・・。

高級ブランド品をまとうことは出来ても、優雅な振る舞いはそう簡単には身に付きません。

だから美しい立ち居振る舞いは、年齢を問わず「素敵」の代名詞になるのでしょう。

では《立ち居振る舞い》とはなんでしょう。

「立ち居」と「振舞い」で、立ち居は立ったり座ったりすることで、振る舞いは動作や行動、さらにもてなしとか饗応という意味があり、とても広本位にわたります。

ちなみに「饗応(きょうおう)」とは、飲食物を提供しお客様をもてなすことで、私がホテルに入社して最初に配属された部署は饗応課でした。

江戸幕府には赤穂浪士の物語でも有名ですが、朝廷から派遣された勅使をもてなす「饗応役」が存在し、勅使にご馳走を振舞ったり、進物を献上したり、話し相手にもなったりしました。

相手が勅使ですから、かなり高度な作法や教養が問われたことは容易に想像できます。

当時の価値観ではうまくいけば大変名誉なことですが、下手をすれば切腹物で、かなり重責だったようです。
それに饗応には莫大な費用が伴ったとか・・・。

加えて勅使の饗応(接待)ともなれば、「公家礼法」と「武家礼法」が絡んでくるので大変難しい役目になります。

もともと礼儀作法というものは、人間の共同生活の節度を維持するために考案されたものですから、本質的には大変厳しいものです。

ではその意義はどこに存在するのかといえば、ゆったりした調和を生み出すためです。

しかし「礼も過ぎれば無礼となる」という言葉もあります。
知っていること、学習してきたこと全てを実行すればいいものではありません。

相手の状況に応じて振舞うことが大切です。
そうすることにより、互いの良好な人間関係が保たれるわけです。

何気ない動作は自分で気が付かなくても、時として相手に不快な印象を与えることがあります。

常にみられているという意識を持ち、周囲の適切な状況を見極める努力も大切にしてくださいね。

美しい立ち居振る舞いとは形にはまったものではありません。
またビジネスマナー研修を数時間受けて身につくようなものでもないでしょう。

とにかくいろいろと苦労して、経験を重ね、人間力を磨くことが大切だと考えます。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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