マナーうんちく話1941《握りずし。手で食べる?それとも箸がいいの?》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:和食テーブルマナー

最後の晩餐といえば、イエスキリストが処刑される前夜に弟子たちと食べた食事ですが、日本人で最後の晩餐で食べたいものといえばどんな料理でしょうか?

「今日で終わりだから好きなものを何でも」といわれても、なかなかのどを通らないかもしれませんね。

ただ、あえて言えば寿司、ステーキ、スイーツ、母の手作り料理などが上位に来るそうです。

日本を訪れる外国人は年々増加傾向にあり、和食に大変人気があるようですが、中でも「寿司」は特別でしょう。

もともと自然と四季の移ろいを表現する、日本人の繊細な感性は素晴らしいと思いますが、和食の職人技と職人気質を抜きに和食は語れません。

ところで稲作を中心とした農耕文化で栄えた日本における寿司の歴史は大変古く、奈良時代には酢飯に魚を漬け込んだ寿司が存在したそうですが、1800年頃には今の「握りずし」が登場しています。

巧みな技で、お客様の目の前で握るスタイルが当時大うけしたとか・・・。

また種類も豊富で、おなじみの車エビ、卵焼き、コハダ、白魚、マグロ、アナゴなどがあり、生姜の酢漬けが添えられていたようです。

さて、和食マナー講座で多く寄せられる質問の一つに「握りずしを頂くときに《手》でいただくか、それとも《箸》を使用したほうがいいのか?がありますが、マナーとしてはどちらでもいいと思います。

私は手で握ったものですから、手で頂きますが、TPOに応じて使い分けています。

ただ堅苦しい席では箸がいいと思います。
箸を使用する場合は、先ず寿司を横に寝かします。そして寿司を挟むように平行に持って、ネタの端に軽くしょうゆをつけて頂けばいいでしょう。

塩分を気にする人も最近は増えていますが、そのような人は醤油をつけるというより、醤油を垂らすようにすればいいと思います。
醤油が垂れるのが心配な時は、手盆(手皿)ではなく、醤油皿を持ってください。

また寿司を手で頂く場合でも、ガリは箸を使用してくださいね。

江戸中期になると、みりんや濃い口しょうゆが発明され、急速に外食産業が発達するわけですが、中でも寿司屋は、日本で最初に行列ができる店ではなかったかと思います。

初物を好み、グルメで、気の短い江戸っ子にとって、旨い、早い、そして職人の粋な振る舞いが受けたのでしょう・・・。

ちなみに長い歴史がある寿司屋には独特の符丁があります。

米を「シャリ」と言いますがこれは仏教から派生したという説があります。
お釈迦さまが亡くなられたとき遺骨を分骨するわけですが、非常に細かく分けたせいか、米粒くらいの大きさになりました。それを見た僧が「まるでコメのようだ」と呼んだことに由来するとか・・・。

「ネタ」は物事の一番大切な部分を意味しますが、古くは江戸時代、商売の糧になる商品をこのように表現したという説があります。

「ガリ」は口直しや消臭効果があるとされていますが、甘酢生姜のことです。
我が家でも畑でとれた新生姜を酢に付けて自家製のガリを作ります。
食べたり切ったりする時に、ガリガリ音がするのでガリという名が付きました。

このほかお茶を「あがり」、醤油を「むらさき」と呼んだりしますが、これらはお店の人が使用する言葉で、客としていく場合はあまり使わないほうがいいかも。

今では世界中の人に人気がある寿司ですが、クルクル寿司のように値段が決まっている場合は安心ですが、高級店ではやはり値段が気になります。

予約の際あらかじめ予算を伝え「お好み」より「お任せ」にすればいいと思います。
安心して一流の味を楽しんでくださいね。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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