マナーうんちく話464≪「おいとま」と「お見送り」のマナー≫
誰しも今までに、言ったり、言われたりした経験があると思いますが「親しき中にも礼儀あり」という言葉があります。
論語に「親しき中にも礼儀あり」を意味する一説があり、それがこの言葉の語源だといわれていますが、古今東西同じ意味の言葉は多々あるでしょう。
それだけ人が人として生きていく上で「礼」というものが大切だということではないでしょうか・・・。
また似たような言葉に「親しき中に垣をせよ」があります。
どんなに親しい相手でも決して忘れてはいけない礼、あるいは守らなければいけない礼があるという意味です。
ちなみに英語では《Love your neighbor、 yet pull not down your hedge》と表現されます。
あなたの隣人を愛しなさい。
ただし垣根は取り払わないようにしなさい。という意味です。
伴侶、家族、親友などいくら仲が良くても「度を過ぎて礼を失することはよろしくありません」ということですね。
いくら仲のいい夫婦でも、それぞれの部屋に入る時にはノックは必要です。
親が子の部屋に入る時もしかりです。
加えて基本的な挨拶や「ありがとう」「ごめんなさい」くらいは、相手の目を見てきちんと言葉で発していただきたいものです。
挨拶も「おはよう」と気軽に言うか、「お早うございます」と丁寧に言うかは人それぞれでしょう。
ただ「礼は節をこえず」ともいわれます。
礼儀も度を越えてしまうと、かえって相手にへつらうことになり無礼になることもあります。
加えて相手との心理的距離を遠ざけることにもなりかねません。
相手の性格、年齢、付き合いの度合いなど考慮しながら言葉を選んでください。
迷ったときは丁寧な言い方をされることをお勧めします。
またこのコラムでもすでに触れましたが、「地球上の人がみんな小さい礼儀作法に気おつけたなら、人生はもっと豊かになる」とチャールズ・チャップリンは述べています。
つまりどんなに便利でも、物質的に豊かになっても、感謝や尊敬や思いやりの心を失ったら、ハッピーな暮らしは出来ないということでしょう。
映画監督であり、脚本家であり、映画プロデューサーであり、作曲家であり、喜劇王と異名をとった人の言葉は重みがあり、モチベーションが上がりますね。
そしてたとえちいさくとも、礼儀作法を相手に発信するためには、自分自身が精神的にも肉体的にもゆとりがあることが大切です。
心身両面で先ずは自分自身を充実させてください。
人は生活にゆとりができれば、人間としての徳を知ることができるようになります。
逆に自分自身が充実したら相手に思いやりをかけて下さい。
こうして自分も相手もハッピーになり、ひいては地球上に幸せが訪れるということですね。
私はマナーに関する講演では、できる限りチャップリンのこの言葉を参加者にお届けするようにしています。
衣食足りて礼節を知るです。