マナーうんちく話499≪習慣は第二の天性なり≫
皇位継承に伴う、令和元年の大型ゴールデンウイークのスタートは不純な天気に見舞われましたが、後半は爽やかな日々に恵まれるとか。
そして心を浮き浮きさせてくれる緑のそよ風が、新しい時代の始まりを「前向きに歩もうよ」と肩を押してくれそうな気がします。
思わず「何かいいこと起こりそうな気分」になるかもしれませんね。
しかしそういった漠然とした期待感ばかりに、しがみついているわけにも参りません。
令和という時代をいかに豊かに過ごすか?
それなりの人生設計も大切だと考えます。
ゴールデンウイークはまとまった休暇が取れる大変有意義な期間でもあり、入学、入社、転勤などで緊張の日々を過ごした人にとっては、あわただしさから解放されるひと時でもあることでしょう。
いずれも次のステップに備え、身も心もリフレッシュしてください。
ところでゴールデンウイークの期間中も様々な神事が執り行われますが、日本の神事は稲作に関連するものが多いのが特徴です。
5月の異称「皐月」の呼び名もそうです。
皐月は「早苗月」が短縮された呼び名で、苗代で成長した「稲の苗を田んぼに植える月」という意味です。
そして5月に入るとすぐに「八十八夜」がやってきます。
立春から数えて88日目が八十八夜ですが、茶葉の新芽を積み始める頃で「夏も近づく八十八夜、野にも山にも若葉が茂る・・・」の詩でおなじみの、まさに日日本の初夏の風物詩です。
そしてこの歌は茶摘みの光景を歌った歌ですが、作詞作曲は不詳の「茶摘みの歌」です。
また「新茶」という言葉を耳にしたり、目にしますが、これは概ね八十八夜の頃から、6月頃に摘んだ新芽で作られた煎茶をさし、結構いい値が付きます。
どんな農作物も同じだと思いますが、美味しいものを作るためには手間暇をかけ愛情を注ぐことが大切です。
だから価値も高くなり、値段もはずむわけですね。
さらに昔は八十八夜を目安に、「苗代作り」などの農作業を行ったといわれています。
米をいう漢字を分解すると「八」と「十」と「八」になり八十八夜は縁起がいい数字ですが、加えて八十八は末広がりでこちらも縁起がいいわけで、農事に関係する神事が行われたようです。
さらに現在でも、この日に摘んだお茶は健康長寿に効き、大変縁起がいいとされています。だから新茶は贈答品として珍重されるわけです。
令和元年にいただく「新茶」。
いかにも瑞々しくて何もかも縁起がよさそうですね。
イギリスには紅茶、中国には飲茶というコミュニケーションを図る文化がありますが、日本のお茶には千利休が説いた「もてなしの文化」があります。
時にはお茶を通じた暖かいコミュニケーションも大切にしていただきたいものです。
ちなみに新茶の鮮やかな緑は再生を意味するといわれています。
また100g1000円もする高価なお茶でもペットボトルのように500mlくらいの量になれば意外に安価になります。
令和という新しい時代。
四季の恵みに感謝しつつ、歳時記に込められた先人の知恵とたしなみを、日常生活に積極的に取り入れた豊かな暮らしもおすすめです。