マナーうんちく話706《結婚式の心付けのマナー》
結婚を希望したら「結婚相手」が必要ですが、結婚相手の選び方は時代とともに大きく変わっています。
特にインターネットが発達したここ20年で大きく変貌したと言っていいでしょう。
しかし今でも、日本古来の「お見合い」は健在です。
お見合いはヨーロッパでは見られないと思いますが、東南アジアの一部でも見られます。
ところで日本ではお見合いの歴史は古く、すでに鎌倉時代には武家や公家などの身分の高い家と家が、互いの一族の繁栄を願って行っていたようです。
家が繁栄するためには子どもに恵まれることが必要で、そのためには結婚が大前提になります。
「誰でもいい」というわけにはまいりません。
だから結婚相手を選ぶためのお見合いは大変重要になります。
そして江戸時代になるとお見合いは庶民の間でも広まっていくようになります。
結婚を希望する男女の仲に世話役(仲人)が立って、出会い、交際、婚約までの一連の行為を取り仕切るわけですが、武家の間ではとても厳しい作法が存在したようです。
今は本人のプロフィールである「釣り書き」と、本人の家族のプロフィールである「家族書」、及び「写真」を男女が交換し、その情報を基に、いずれもあってみたいと希望すれば、世話役が日時や会場を決めて、お見合いを段取りすることになります。
そして双方が一度会って、互いが「また会いた」いと希望すれば交際が始まりますが、一方でも「もう会いたくない」と思えばこの話は白紙になります。
現在では男女は全く平等ですから、いずれにも選択権や拒否権があります。
しかし江戸時代のお見合いはそうではありません。
当時は、女性には耳が痛い話ですが「男性優位」の時代だったようですね。
男尊女卑の風習の中での見合いには、女性は男性を選ぶ権利はなかったということでしょう。
お見合いは女性の家で行われ、男性と世話役とともに女性の家に出向きます。
そして二人が並んで座るわけですが、そこに当事者である女性が茶菓の接待をします。
この時男性は女性の容姿や立ち居振る舞いなどを観察し、この女性と付き合うか否かをその場で決めたそうです。
女性を気に入ったら男性は、お茶を飲み菓子を頂いたといわれています。
また「この女性と付き合いたいという意思表示」として「扇子」を置いて帰ったともいわれています。
気に入らなければ茶菓には手を付けないで、今後付き合う意思がないことを表明しました。
勿論扇子も置きません。
ちなみに今年もすでにクールビズがスタートしていますが、扇子はクールビズアイテムとしても人気があります。
しかし、もとはいろいろな意味を有しています。
例えば扇子は二等辺三角形で、非常に縁起の良い末広がりです。
つまり縁起の良い子孫繁栄の意味があるということで、結婚と関連付けられたわけです。