マナーうんちく話342≪マナー美人⑨「旅館のマナー」≫
この時期になると草木も芽吹き、春の野草もお目見えします。
「草餅」に「ヨモギ餅」などの春のスイーツも楽しみですね。
ところで昔は今のように個性とか自分らしさではなく「しきたり」や「決まり事」、加えて「約束事」をとても大切にしてきたようです。
自然に畏敬の念を抱きながらも自然と仲良く暮らしてきました。
また「初物」や「旬のもの」も重宝したようですね。
日常のライフスタイルを自然の流れに合わし、健康を保っていたということでしょうか・・・。
1月の「人日の節句」には七草を頂き、「上巳の節句」に桃を飾ったのも旬の恵みからパワーを吸収しようという試みです。
「春の食卓には苦みを盛れ」といわれています。
冬から春に移行する節目に、苦みの物を食べ、冬の間に体内に蓄積された老廃物を出して、ポリフェノールやビタミンを補給するという先人の知恵です。
そういえば「良薬口に苦し」と言いますが、ワサビやネギやショウガなどの薬味も、苦いけどピリッとして味を引き立ててくれます。
人も同じでしょう。
苦い経験を積んだ人は、自分磨きができて、成長の原動力になれると思います。
最近は食生活も贅沢で辛い物や苦いものは避けられるようになりましたし、薬でも苦い薬は少なくなり、程よい味で統一されているようです。
苦い経験も「何も好き好んでする必要がない」と考える人も多いと思います。
でもつらい経験や苦い経験は人間を成長させてくれます。
様々な研修会を担当して痛感することは、最近の若い人はストレスに弱い人が多いということです。
ちなみに辛い経験や苦い経験を「苦杯を喫する」といいます。
苦杯とは苦いものを入れた盃のことです。
思い出したくない苦い経験や辛い経験より、楽しい経験の方が心地よいかもしれませんが、いつも順風満帆では「人生100歳時代」を豊かに生き抜くことは非常に難しいと思います。
間もなく桜便りが待ち遠しい頃ですが、桜は一定期間厳しい寒さを経験するからこそ、華麗な花を咲かすといわれます。
苦い経験を味わった人が、桜のように美しく輝けると思うわけです。
苦い経験を積むことで忍耐することが鍛えられ、それは品性を生み、品性こそが夢や希望につながるのではないでしょうか。