マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
節分が過ぎて2月4日は「立春」。
厳しい寒さの中にも春の気配が漂い始めてくる頃です。
旧暦では立春が一年の始まりの日とされていたようで、「八十八夜」は立春から数えて88日目の新茶の摘み取りです。
八十八は末広がりであるとともに、「米」という漢字を分解すれば「八」と「十」と「八」になるので、米作りに精を出してきた日本では特に縁起がいい数字とされています。
また立春は一年の始まりの日ですから、最初が肝心ということで縁起を担ぐいろいろなしきたりがあります。
中でも「若水」がとくに有名です。
立春に汲んだ最初の水で、「幸せを呼ぶ水」といわれています。
つまり健康や豊作をもたらしてくれる水ということです。
そしてこの水で入れたお茶が「福茶」です。
日本茶でもコーヒーでも紅茶でもいいと思いますが、一番のお勧めは日本茶に「こぶ」や「梅」を入れて頂ければさらにご利益があるかも。
いずれにせよ、改めて安心・安全でおいしい水が手軽に飲めることに感謝しながら、「若水」として使用されてはいかがでしょうか。
さらに節分の豆まきで余ったマメを利用してもいいでしょう。
豆は縁起のいい奇数で三粒がおすすめです。
それに梅干しや塩こぶなどを入れて熱湯をかけるだけで出来上がり。
感謝の気持ちでいただくと無病息災、五穀豊穣が叶うかも・・・。
ちなみに世界中で蛇口から出た水をそのまま飲める国はわずか十数か国だといわれていますが、日本は浄水処理が行き届いており、世界でも最高のレベルです。
その水を一年の最初の日に汲んで、それに縁起物を加味したのが今流の福茶です。「こぶ」は「よろこぶ」に通じ、梅は縁起の良い松竹梅の一つで、豆は「マメに」に通じます。
そして旧暦の七十二侯の最初は「東風凍を解く」とあり、この季節から新しい年が始まります。
今でいえば2月4日から8日頃で、「東の風」は春風の事で、中国の陰陽五行説の思想です。
さらに縁起のいい立春のお呪い(おまじない)は「立春大吉」の張り紙です。
半紙に縦書きに「立春大吉」と書いて目の高さ位に貼るといいでしょう。
左右対称になるので邪気払いで縁起が良いとされ、この一年無病息災に過ごせるお呪いになっています。
日本人は何かにつけて縁起を担ぎ、神や仏に願い事をしますが、大切なことは先ずは感謝です。
願い事で神社仏閣を参拝し、それが叶ったら、お礼参りをするくらいの心配りが大切です。
その気持ちは周囲の人たちにも応用でき、良質な人間関係が築け、ひいては心豊かな生活ができるということです。
これから始まる新しい年を感謝の気持ちでスタートされたらいかがでしょうか・・・。