マナーうんちく話498≪うかつ謝り≫
長年ホテルで接客の仕事をしていますと、そこにどんな人がいるかで雰囲気が大きく異なるのがよくわかってきます。
その人がいるだけで場が和み、明るくなることもあれば、その人がいるだけで場が重苦しくなり、白けてしまう場合もあります。
装いもある程度ありますが大半はその人の人柄でしょう。
会議の席でも多くの人は末席に座りたがります。
確かに上座に座れば人目もあり、何かと言動や立ち居振る舞いにも気を配らなければなりません。
その点末席に座れば確かに気分的にも楽です。
ただしみんながこれでは係りの人は困ります。
議長や進行係等を除いては順に中央から詰めればいいでしょう。
また係りの人からいい席を勧められたら堂々とそこに座ってください。
遠慮し、譲り合う必要なないと思います。
係りの人があなたの力量や人柄をかってくれているからこそ、良い席を進めてくれているといい意味に解釈されたらいいでしょう。
立食パーティー等でもしかりです。
みんな入口のところで立ち止まってしまえば、パーティーの雰囲気は台無しです。タイムラグをもって順に入る時には、奥から詰めるよう心がけて下さいね。
加えて立食パーティーでは往々にして身内や仲間内で固まりがちです。
これでは立食パーティーの意味がなくなります。
できるだけ離れ離れになり、多くの人との会話を心がけて下さい。
声を掛けられるのを待つのではなく、自ら仕掛けていくことが大切です。
この時笑顔をお忘れなく。
そして「聞き上手」を心がけて下さいね。
ここにキラキラする人とくすむ人の差が出ます。
着席スタイルなら、どこに座ればいいのかは主催者に聞くのもお勧めです。
新入社員の場合、どこに座っていいかわからない場合は係りに聞いて下さいね。
ちなみに着席の場合は特に「姿勢」にご注意ください。
キラキラする人の共通点は姿勢がいいということです。
加えて電車やバスや飛行機は時間との勝負になります。
「どうぞ」と進められたら、下手に譲り合いの気持ちは発揮せず「ありがとうございます」の言葉とともに座ればいいと思います。
難しいのが和室でしょう。
このコラムでも何度も触れましたが和室は「三辞三譲」というマナーがあります。
いい席を勧められても、いったんは断って、他の人に譲ります。
それでも進められれば「それではお言葉に甘えまして」と従うわけですね。
どんな偉い人でも、お金持ちでも、遠慮の気持ちや奥ゆかしい心を持っていますよということです。
和室ではいい意味で目立ちます。
フランス料理の席で乾杯の音頭を頼まれたら逆です。
「喜んで」とためらうことなく笑顔で引き受けて下さい。
料亭の会席料理の席で乾杯の音頭を頼まれたら、いったんはお断りして、それでもといわれれば、座布団から降りて正座の状態で行うのがスマートです。
予め打ち合わせがなされていればそれに従ってください。