マナーうんちく話706《結婚式の心付けのマナー》
日本は四季に恵まれ農耕文化で栄えた国で、自然との共生も大切にしましたが、意外に昔から恋愛や結婚にはおおらかであったようです。
そういえば、源氏物語や江戸時代ころまでの文化や和歌などにも、恋愛をテーマにしたものが多々あります。
そして奈良・平安時代の婚姻スタイルは、同じ村の男女が結ばれるケースが多く、夫が妻の家に入る「婿入り婚」が主流だったといわれています。
そのスタイルが次第に武家社会において、よその村から妻が嫁いでくる「嫁入り婚」に変化したようです。
特に武家社会ではいろいろな面において、かなり厳格な作法があり、婚儀も例外ではありません。
まず結納ですが、身分の高い上級武士ともなると、家老クラスの役職にある人が仲立ちを務めています。
また、下級クラスの武士なら、作法を心得た仲人が結納の使者を務めたと思われます。
この際は服装に至るまでいろいろな決まりがあり、子孫繁栄につながる子持縞(じま)などの柄が良いとされていました。
結納品も沢山あり、それぞれに縁起がいい意味が込められており、並べ方にも厳格な決まりがあったようです。
勿論結納の儀式も、中流以上の武家なら、今とは比較にならないほど厳しく、仲人の立ち居振る舞いから、口上にも決められた作法があり、神経が磨り減る思いであったのではないでしょうか。
加えて結納の段階になると藩への届け出も必要で、許可を取る必要があったとか・・・。
婚儀ともなればさらに大変です。
武家の間では、夕方に嫁を迎える家で執り行われますが、その時には庭で使用人が臼で餅をついてお祝いします。
余談ごとですが、この餅つきには男女交合の意味があります。
何しろ武家の社会では、新婦の寝姿から床の位置まで決められていたようで、現代の人には窮屈で耐えられないかもしれませんね。