マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
ゴールデンウイーク後半の目玉になるイベントは、何といっても「子供の日」に関連したものだと思いますが、子どもの日といえば昔から「鯉のぼり」がつきものです。
青空を悠々と泳ぐ鯉の姿はまさに風薫る5月の風物詩で、平和な日本を象徴しているようです。
また鯉のぼりは日本に長くから伝わる伝統行事ですが、実はあまり知られていない意外な理由が存在します。
米を主食にしている日本人ならぜひ知っていただきたいものです。
鯉のぼりに託された親の願いは子どもの健やかな成長でしょう。
これは鯉が、非常に生命力が強い魚なのでそれにあやかったと思います。
加えて中国の「鯉が滝を登って龍となる」という故事にちなみ、子どもの立身出世を願っています。ただこの立身出世は江戸時代にはあまり使われていなかったようで、明治になって国を挙げての欧化政策により奨励されたようです。
しかし最近では「無理をしなくてもいいよ」とか「頑張らなくてもいい」というような風潮も見られ、子どもの出世に期待する親は少なくなったかもしれませんね。
出世して金持ちや権力者になって、世の中を上手に泳ぐより、思いやりのある子に育っていただきたいものですね。
特に最近の国会答弁を聞いて痛感します。
以上が鯉のぼりに込められた一般的ないわれですが、実はもう一つ大きな意味があります。
日本は神道を信仰し、稲作を中心とした農耕文化で栄えた国ですが、なるほどという意味がこいのぼりに込められています。
旧暦の5月はまさに梅雨時で田植えへの季節です。
稲作にとって田植えは最も大切な仕事ですが、田植えの季節になると山の神がふもとに降りてこられ「田の神」になり、田植えの無事や豊作を見守ってくれます。
この際、鯉のぼりが泳いでいる棒に田の神様が宿られるわけです。
つまり鯉のぼりより、田の神様の依り代になる棒に大切な意味があるわけですね。
要約すると鯉のぼりには、子どもの立身出背と健やかな成長を祈る意味と、田んぼの神様をお迎えする依り代の意味があります。
ちなみに、鎧や兜は、ひな人形と同じで、子どもから災いを払ってくれるものとして重宝されていました。
現在190余りの国や地域の中では、食べ物や飲み物に不自由している子供や、恒常的栄養失調になっている子どもは沢山います。
チャイルドラバーといわれ、子どもが貧しくて学校に行けず働きに行く子も後を絶ちません。子供兵士という言葉も存在します。
そんな中日本は大人が本当に深い愛情を子どもに注いできた国です。
さらに自然と仲良く付き合いながら、本当の幸せを追求してきた国でもあります。
皆で楽しく語らいながら、子どもの健やかな成長を祈るとともに、子どもの笑顔がいつまでも絶えないような国を目指したいものですね。