まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
5月5日は「端午の節句」であり「こどもの日」であり、「立夏」でもあります。
「節句」は暦の上で伝統的行事を執り行う季節の節目ですが、この頃は何かと不安定になり、そこに向けて邪気がやってきます。
邪気とは病気や災害などですが、歓迎できません。
そこでエネルギーに満ち溢れた旬の植物などの力を借りて、パワーアップして邪気を払わなければなりません。
だから節句には、いろいろなイベントが開催されるわけです。
このような概念の節句は、奈良時代に中国から伝わったといわれていますが、たくさんの節句があったようで。
それが江戸時代になって幕府が五つの節句を国の公的行事として定めました。
これがこのコラムでも何度も触れてきた「五節句」ですね。
ちなみに中国では奇数が縁起のいい数字とされていましたので、奇数が重なる1月7日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日が選ばれたということでしょう・・・。
今回はその真ん中の「端午の節句(菖蒲の節句)」に触れておきます。
3月3日の女の子の「桃の節句」に対して、男の子の祝日のイメージがつよいようですが、5月5日の端午の節句は、長い月日を経て、いろいろな要素が組み合わさって現在に至ります。
現在の新暦の5月は風薫る一年で最も爽やかな季節ですが、1真から150年位前まで使用されていた旧暦の5月はまさに梅雨時です。
長雨と高温多湿の日が続き、病気や災害が発生しやすい時期です。
そこでそれらの邪気を払うために旬の植物の菖蒲の力を借りるわけです。
ではなぜ数ある植物の中で菖蒲が選ばれたかというと、これにはいろいろな理由があります。
1、菖蒲の葉っぱが刀に似ているからその力で邪気を払う。
2、菖蒲は独特の強烈なにおいがあるからそれで邪気を払う。
3、武家社会にとって「菖蒲」は「勝負」「尚武」に通日から武運長久を祈る。
という理由で、菖蒲やヨモギを束ねて軒下につるすとともに菖蒲湯につかります。
つまり菖蒲の節句は、農村では田植えや梅雨時の邪気を払う行事であり、武家社会では戦いにおける幸運を祈る行事でもあります。
余談ごとになるかもしれませんが、現在でも進水式なんかではくす玉割をしますが、「くす玉」は、もとは菖蒲やヨモギの葉を丸めて作った邪気払いの縁起ものであったといわれています。
この時期菖蒲やヨモギの恩恵をしっかり受けるのもお勧めです。
次回は鯉のぼりの由来に触れておきます。