マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
「2月の雪と3月の風と4月の雨が美しい5月を作る」といわれますが、まさに風さえまぶしく感じる光あふれる季節です。
厳しい試練に耐えてこそ、キラキラ輝く人生になるということを自然が教えてくれているようです。
そういえば宮沢賢治の歌にも「雨にも負けず 風にも負けず 雪にも 夏の暑さにも負けぬ・・・」とありますね。
古今東西若い時には苦労を経験することが大切だということでしょう・・・。
只今、雪や雨のおかげを受け百花繚乱と表現されるように、色とりどりの花が咲き乱れ、春のフィナーレを鮮やかに彩っています。
ところで「夏も近づく八十八夜・・・」と歌われた茶摘みの歌にもあるように、春から夏へと移行するこの時期は、農作物の敵である霜が降りなくなるので、農事が忙しくなる時です。
最近では食べ物もファッションも一足早くなっているようですが、野菜の苗も同様です。
トマト・キュウリ・ナス・ピーマンなどの夏野菜の苗が早くから店頭に並んでいますが、怖いのは霜です。
でもこの時期になると連日高温続きですから一安心です。
但し、すべて気を許すわけにはまいりません。
「八十八夜の忘れ霜」という諺があります。
温暖化のせいでしょうか?
自然の動向に異変がみられるようになった気がしますが、「油断大敵」ということを自然は、昔から私たちに警告してくれていたのですね・・・。
ちなみに、5月の別名は「皐月(さつき)」ですが、これは「早苗月」からきた言葉だという説があります。
つまり旧暦の皐月という呼び名は「稲作の月」を意味したわけで、この時期は梅雨の時期でもあったわけですね。
これから全国各地で「田植え祭り」が執り行われますが、稲作にとって非常に大切な作業である田植えを祭式としてとりおこなうことは、日本人がいかに米作りに精魂込めたかということでしょう。
今では大型機械の普及や合理化により民間ではほとんど見慣れなくなりましたが、神社が行う田植え際には、美しく着飾った早乙女が登場します。
田の神のおもてなしでしょう。
実は5月5日の端午の節句の「鯉のぼり」とも深い関連があります。
米を主食にしている日本人には5月は縁が深いわけですね・・・。