マナーうんちく話516≪袖触れ合うも多生の縁≫
最近西洋由来の語を中心とした外来語が流行し、本来の日本語がかなり影を潜めている気がします。
年中行事しかりでしょう。
日本語はとても美しい反面、とても難しい面が多々あります。
「漢字」もあれば「ひらがな」もあるし「カタカナ」もある・・・。
そして漢字は大変数が多いのが特徴で、同じいい方でも使用する漢字により意味が大きく変わります。
例えば良いことに出会って楽しく心地よい気持ちになる「よろこび」は、「喜び」もあれば「慶び」とも表現します。
前者は合格や病気の回復などの時に使用しますが、お目出度ことが伴えば「慶ぶ」になります。
例えば「謹んで新春のお慶びを申し上げます」などがいい例でしょう。
新春とは正月の意味ですが、「慶ぶ」は「めでたい」の意味で、無事に年月が経つことを表現したのでしょう。
言葉にはその語源や使い方がありますが、本当に奥が深いですね。
外国からやってきた人が難しがる理由がよくわかりますね。
特に、日本語のこの微妙なにニュアンスは日本人でも難解ではないでしょうか・・・。
前回の続きになりますが、お礼の言葉を相手に伝えるときに「厚意」と「好意」があります。
これも使い方次第で意味がかなり異なるので注意が必要です。
厚意とは思いやりや親切な気持ちで、「ご厚意に感謝します」などと使用します。
これに対して、好意とは相手を好ましいと思う気持ちです。
つまりその人に抱く親しみや好ましいと思う気持ちで、「ひそかに好意を抱く」「好意を寄せる」などと表現します。
好意は愛情のニュアンスも含まれており、相手を好ましく思う気持ちの意味があるということです。敵意はその逆です。
これに対して厚意は親愛の気持ちがある、無いにかかわらず、親切や思いやりの心に重きが置かれます。
「厚意に感謝する」とか「厚意にすがる」などと表現します。
特に言葉では同じ発音になりますが、手紙やはがきになると漢字の意味がそのまま伝わるので注意が必要ですね。