マナーうんちく話239≪バラ色の人生とマナー≫
【希薄になった日本人の礼儀作法】
朝、家族、地域、学校、職場等で人に会ったら「おはようございます」と挨拶ができますか?
喫茶店で水とお絞りを持ってきてもらったら「ありがとうございます」とお礼が言えますか?
粗相をしたら素直に認めて「ごめんなさい」と謝ることができますか?
こんなことは当然と思われるかもしれませんが、今当たり前のことができない人が非常に増えてきたという気がしてなりません。
子どもなら仕方ないにしても、大人でさえできていないのが現状ではないでしょうか。
つまり大人も心を込めて相手に気持ちを伝えることが苦手になっているということです。さらに言い方を変えると、子どもに教えるのと同じことを、大人に言わなければいけないということです。
現に今の日本では、全国のどこかで「謝罪会見」があります。
政界、芸能界、スポーツの世界、財界、学校、病院、施設、各種団体などなどにおいて・・・。
恐らく謝罪会見は日本独特のものだと思いますが。それらを見ていると目や耳を疑うものも珍しくありません。
本当に誠意がこめられているものがあまりにも少ないと感じます。
日本は昔に比べ比較にならないほど物が豊かになり、便利になりましたが、こころは決して豊かではなく、貧しい限りで、これでは日本はハッピーな国にはなれないでしょう。
改めて《礼儀作法》の必要性を痛感します。
【礼儀作法とは】
便利で豊かな生活にすっかり慣れているせいで「礼儀作法」と聞けば、窮屈とか堅苦しいと思う人が多いかもしれませんね。
しかし「思いやり」「感謝」「尊敬」の気持ちを抱き、それを言葉や態度や文章などで具体的に表現したものと思えば、非常に身近なものになり、愛着がわきます。
家庭、地域、学校、職場などでは、多くの人が交わるわけですが、相手のことを尊重して大切に思うことにより、よりよい交流が生まれます。
つまりその心を形で表現することが礼儀作法です。
「礼儀」とは心、「作法」とは形と思っていただいたらいいでしょう。
早い話礼儀作法とは《心と形》で構成されるということです。
但し心を形で表現することは簡単ではありません。
昔は公家には公家の、武家には武家の表現の仕方が存在していましたが、今はグローバルな時代です。
日本式の表現の仕方と国際基準は異なります。
それぞれ知識として理解する必要がありますので、これから様々なケースに触れてまいります。
ポイントは「なぜそうなるのか?」という合理的な理由を正しく把握することです。お辞儀にはお辞儀の理由があり、握手にはなぜ手と手を握り合うのかという合理的な理由が存在します。
また日本では箸は横に並べますが、これにも深い理由があります。
一匹丸ごとの魚の頭は左になりますが、ここにも豊かな精神文化があります。
さらに扇子を置いて挨拶する理由や、畳にふちを踏んではいけない理由、なぜ座布団が生まれたのか、襖や障子にはなぜカギがかけてないのかなどを詳しく理解すればするほど、平和な時代背景の中ではぐくまれた日本の礼儀作法に魅力を感じて頂けると思います。
これから先人が築いた素晴らしい文化に、今流の感性も加味しながら、様々な視点で礼儀作法に触れてまいります。
是非お付き合いください。
人生が好転するかも・・・。