マナーうんちく話521≪お心肥し≫
冬将軍が居座ったままですが、都会は雪に弱いようですね。
雪国と異なり、雪に慣れていないことと、人口や交通量が桁違いに多いからでしょう。
また先日群馬県で想定外の山が噴火しました。
改めて自然の猛威を思い知らされた気がしてなりませんが、如何でしょうか・・・。
稲作を中心とした農耕文化で栄えた日本人は、自然に畏敬の念を抱きつつ、自然との共生を大切にしてきました。
今こそ、過去を振り返ることも必要かもしれませんね。
「自然に優しくしよう」という上から目線より、「自然にやさしくしてもらい、その恵みのおかげ」という謙虚な気持ちが大切ではないでしょうか・・・。
そして自然の法則には、恵みもあるけど、厳しい節理があることを忘れてはいけないと思います。
自然に対して常に感謝の気持ちを持つことで、普段感じなかったことに気づき、見えなかったものが見えてくると考えます。
只今暦の上では寒さが最も厳しい「大寒」の時節ですが、二十四節気に込められた意味を正しく理解するだけでも、心が豊かになるでしょう。
「運命は性格の中にある」と芥川龍之介は述べています。
運命に大変大きな影響を及ぼすのは、その人の性格だということです。
運命に対する捉え方は人それぞれでしょうが、すでに生まれたときから決められている、いわば宿命的なものと捉えるか、日々自分磨きに励み、切り開いていこうとする、前向きなものと捉えるかでは大きく異なります。
世の中には天才と呼ばれるくらい頭がいい人は大勢います。
しかしそれは性格ではなく能力です。
これにたいして、頭は良くないけど非常に愛想のいい人もいます。
愛想や愛嬌は性格です。
人をけなす人、横柄な人、傲慢な人、陰気な人、自己中心の人、わがままな人、ひねくれた人は人から嫌われることが多いと思います。
しかしこれを直すにはかなりの努力が必要です。
だったら感謝、思いやりの心を日常生活の中に取り入れることをお勧めします。
つまり運命を切り開く要素の中に、「謙虚」や「感謝」のキーワードを取り入れることです。
ところでアメリカの詩人サミュエル・ウルマンは、「青春とは人生のある時期ではなく、心のありようを言う」という名言を残しました。
「心のありよう」は性格を生み出すものであり、そこに、信念・自身・希望とともに、「思いやり」や「感謝」の気持ちがあればいいですね。
江戸後期には「衣食足りて礼節を知る」という言葉が生まれたようですが、明治維新後の日本は、ひたすら物の豊かさに価値を置きました。
そして努力の末、150年経過した現在はそれを手に入れました。
そして、これだけ豊かで便利になれば、改めて物の豊かさから心の豊かさを求めるようになります。
「心の豊かさ」とは、自分のために欲を張ることではなく、人に尽くすことです。
つまり人に喜んで頂く、人の役に立つ、存在感があることなどです。
そういう生き方に品格が目覚めてくるわけですね。
平成という時代も間もなく終わりを告げますが、今までひたすら物の豊かさを追い求めてきた結果、自然との共存を置き忘れてしまった気がします。
新しい時代を切り開くに当たり、物の豊かさと共に感謝、謙虚という価値も大切にしてほしいものです。