マナーうんちく話502≪会話の中に季節の話題を積極的に!≫
クリスマスモードから一変、いよいよ本格的にお正月を迎える時期です。
あわただしさもピークになりますが、そろそろ餅つきを始める頃でもあります。
師走の12月26日を「餅つきはじめ」といい、江戸時代には武士も町人も一斉に餅を搗く日であったようです。
そしてついた餅を丸くして、鏡餅に対応できる餅をつくり、日頃世話になった人や親せきに配る「配り餅」という風習がありました。
餅を配ったり、頂いたりしながら絆を深くしたわけですね。
ちなみに鏡餅を丸くするのは、神様が宿るとされる「鏡の形」にするためという説が有力ですが、「望月」、つまり満月に似せるためだという説もあります。
ところで今と異なり、昔は水道がありません。
飲食用の水はすべて井戸や川から汲んでくるわけですが、新年の最初に汲む水を「若水」と呼びます。
若水は邪気を払う効果があるとされ、とても神聖な水です。
現在の日本は、世界一安全といわれる水道が完備しており、蛇口をひねれば水は調達できますが、昔は命を育み維持する水を汲むのはおお仕事です。
だから非常に大切に扱ったわけですが、貴重な水を守る水の神様が存在し、水の神と縁が深い蛇が水の番をしたようです。
「蛇口」という言葉はここからきています。
ところで若水は主に家の主人が汲んでくるのですが、先ず仏壇や神棚にお供えします。
そしてこの水で料理を作ります。
歳神様が里帰りされるに当たり、餅や野菜をお供えするわけですが、元旦にそれらを下げ若水で雑煮を作ります。
神様にお供えした餅をいただくわけですから、当然その霊力をいただくことにもなります。
神様とともに食事をすることになります。
これがユニークな「神人共食」の儀式です。
その際使用する箸が「柳箸」で「祝い箸」とも言います。
柳の木でできています。
柳は神様が宿る木として有名ですが、春に一斉に芽吹き、枝が白いので清浄を意味します。
ちなみに柳箸(祝い箸)は、神様と人がともに使用するので、上下(左右)両方がとがっています。
上の部分は神様が使用し、下の部分を人が使用します。
こうして雑煮をいただくわけですが、雑煮をいただけば気力が増し、血行が良くなるとされていました。
来年の正月を始め、誕生日、入学式、結婚式、長寿の祝い等で「祝い膳」を食べる時には「祝い箸」がついてきます。
神様と共に頂くわけですから、感謝の気持ちとともに、姿勢を正し、美しい食べ方を心がけて下さいね。感性が磨かれ、しぜんに人間関係が良くなり、心豊かな人生が送れるでしょう。