マナーうんちく話521≪お心肥し≫
日本はここ半世紀の間物質的には大変豊かになりました。
衣食住においても世界屈指と言えるでしょう。
勿論とても素晴らしいことです。
ところで人の欲望には「物質的」なものと「精神的」な物が有ると思いますが、これだけモノが豊かになってくると精神的に充実したいと希望する人が増える傾向にあるようですね。
物質的なモノはいい家に住み、美味しい物を食べ、美しい装いをするという風に、誰が見ても実感できます。
しかし精神的に充実しているかどうかは数値化することもできませんし、目にも見えません。
しかし不思議なもので、精神的に恵まれている人は、物質的だけに恵まれている人よりは品格を感じることが出来ます。
物質的な欲望が満たされれば、次に精神的に成長したいと思うようになる理由はまさにここにあると言ってもいいでしょう。
ではどうすれば精神的な成長を遂げることが出来るのか?
多彩な知識を身につけることもいいでしょう。
知識が深めれば知恵が出ます。
そして素敵なマナーを身につけることをお勧めします。
マナーとは「感謝」、「思いやり」、「尊敬」の気持ちを抱き、それを言葉や態度や表情、あるいは文章等で具体的に表現することですが、表現の仕方は国々の文化、国民性、気候風土、歴史、宗教、食文化などにより異なります。
加えて不易流行的側面が有ります。
TPOに応じて発揮する事が大切だということです。
そしてマナーと言えばとかく形にこだわりがちですが、むしろ「なぜそうなるのか?」という合理的理由を正しく理解して頂くことをお勧めします。
たとえばなぜ挨拶をするのか?
また和室で座礼を行う時には扇子を使用しますが「なぜ扇子を使用しなければいけないのか?」という理由を把握することが大切です。
和食のマナーでも箸使いはとても大切です。
しかしその前に、なぜ箸を正しく持つことが必要か?を理解して下さいね。
箸使いにせよ、襖の開け閉てにせよ、履き物の脱ぎ方や揃え方にせよ、私たちが日常生活の中でしていることの裏にはそれなりの意味が存在します。
形よりその意味を正しく理解することで、本当の意味での美しさや深みが出てきます。
加えてこうすることで自分自身を理解する事が出来、ひいては他者を理解する事が出来るということに繋がります。
さらに国際化に備えて、世界に通じる美しさを追求するには、先ずは自国の文化や歴史や礼儀作法に精通して下さい。
ちなみに文明はどちらかと言えば物質社会です。
しかし文化は精神社会です。
平和な社会背景から生まれた日本の文化は、世界も称賛する豊かな本質を有します。
是非前向きに取り組んで下さい。