まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
弥生3月。日差しがかすかに温かみを帯びてきました。
そして冬ごもりの虫達が暖かさに目覚め地上に出て来る「啓蟄」は、おなじみの二十四節気の一つで、この日を境にいよいよ春が本格的に始動します。
穏やかな春の空気と温んできた水の中で、生き生きと虫や魚が活動を開始する情景は、まさに春を迎える喜び、そのものでもあります。
ところで日本には四季の他に二十四節気が有りますが、「七十二候」をご存知でしょうか?
時代の流れと共に旧暦が遠のいていく気がしてなりませんが、最近では二十四節気をご存知の方もめっきり少なくなりました。
まして七十二候となるとほとんどの方がご存知ないのが実情です。
明治5年に現在使用されている「太陽暦(グレゴリオ暦)」にかわるわけですが、それまでに使用していた暦を「旧暦」、明治5年から新たに使用し始めた暦を「新暦」と区別しています。
ちなみに、太陽の高さが最も低くなる「冬至」と、太陽が最も高くなる「夏至」、そしてその間の「春分」と「秋分」を基準にして、一年を24等分にし、それぞれの季節に相応しい名前を漢字二文字で表現したのが二十四節季です。
一年を24に分けるわけですから概ね15日ずつに分けられますが、これでは農作業の目安にするには少し粗すぎます。
そこで考案されたのが二十四節季をさらに3等分にして、気候や動植物の変化を短い文章で明確に表現した「七十二候」です。
また気候という言葉は「二十四節気」の「気」と、七十二候の「候」を組み合わせたものです。
加えて二十四節気の「啓蟄」の七十二候は「桃初めて笑う」が最初に来ます。
「桃の花が咲く頃」という意味です。
以前にも触れましたが昔の人は春になって花が咲くことを笑うと表現したのですね。
春の声を聞くようになると、先ず「春告げ花」と呼ばれる白梅や黄梅が咲き、これに続くのが桃ですが、これからは一雨ごとに様々な花が開花します。
桃の次はどんな花が咲くのか?楽しみの多い季節でもあります。
そして人の世界では「別れ」と「出会い」が交差する時でもあります。
人と人が出会えば、成長のチャンスが生まれ、新しい発見や価値が育まれます。
それを活かすも殺すも人間関係次第です。
人のつながりを大切にしていきたいものですね。
ちなみに「人」という文字は互いに支える姿を表しているそうです。
皆が互いに支え、支えられることにより、家族も地域も職場も成り立っています。
支える側は誇りを持ち、支えられる側は感謝の気持ちを持ちたいものです。
啓蟄の頃は虫も人も「今日は」する頃です。
明るく元気良く、先手必勝の挨拶を心掛け、和顔愛語(マナーうんちく話156)で豊かな人間関係を築きたいものですね。