マナーうんちく話604≪武士は食わねど高楊枝≫
都会に住む人はアスファルトの道しか見えませんが、土がいくらか湿り気を含み出し、大地が潤い目覚める頃です。
そして、その大地が様々な命を育んでいるわけです。
大地も生きているということです。
ところで日本には約8万の神社が有りますが、そのうち約3万が農業の神様を祀る「稲荷神社」です。
「稲荷」という言葉は「稲成り」や「稲生り」に由来するという説が有力で、稲作を始め農業と深い関わりがあります。
また稲荷神社には狐の像が建てられていますが、その理由をご存知でしょうか?古くから狐が稲荷神の使いとされていたからです。
稲つまり米は日本人とは切っても切れない関係で、「米の量」と書いて「糧(かて)」になり、活動の源になります。
はるか昔から、狐が神の使いとして、命の糧になる米を咥えてやってきたのでしょうか・・・。
だから稲荷神社には狐の好物がお供えしています。
バレンタインデーのチョコレートもいいですが、日本は稲作を中心に栄えてきた国で、今でもほとんどの国民は米を主食にしているわけですから、先人の努力や米に感謝する意味でも、もっと関心を寄せたいものです。
ところで旧暦では立春が1年のスタートですが、米作りのスタートが新年度でもあります。
米作りには88の手間暇がかかると言われますが、そのプロセスがそのまま1年になったのでしょう。
TPPの行方があやしくなってきましたが、日本の風土や汗水流して心を込めて作られた米は単に食料だけではありません。
さらに経済だけで計ることはできません。
日本を象徴する文化であり、日本人の精神性が深く反映されています。
だから先人は米が豊作になるよう、自然に対し畏敬念を抱いてきました。
加えて、目に見えない神様に何かにつけ、祈りを捧げ、感謝を捧げてきました。
2月の初午の日に稲荷神社に参ることを「福参り」ともいいますが、稲荷の神様の力強い「おかげ」があったのでしょう。
今では商売繁盛、家内安全、交通安全として信仰が有ります。
ちなみに稲荷神社では「正一位」と書かれた言葉を眼にしますが、「正一位」とは神様の位で最高位に当たります。