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コラム
マナーうんちく話1393《「お名前頂戴できますか?」。この言いどう思いますか》
2017年1月18日
「類は友を呼ぶ」といわれます。
そして良縁はさらに良縁を産みます。
良い人間関係、良い本、良い音楽、心地良い場所も幸せの種を蒔いてくれます。
いい言葉しかりです。
ところで「敬語」と言われる大変美しい言葉が日本にはあります。
相手を思いやる心を言葉に託して発することは素晴らしいことです。
しかし使い方を誤れば逆効果にも成りかねません。
何度もお伝えしていますが、マナーには不易流行的な側面が有ります。
世界的に美しい日本語もある程度時代とともに変化することはいたしかたないと思います。
然しいくら時代が変わっても、いつもなじめない言葉が有ります。
電話で話をすることが多々ありますが、こちらの電話番号や住所と共に名前を聞かれることも結構あります。
誰しも同じでしょう。
その際「恐れ入りますが、お名前を頂戴出来ますか?」とよく聞かれます。
何十年も前からですが・・・。
人の名前は売り買いできません。
基本的には人の名前は、その人に一生つき纏うもので、非常に大切なものです。
決して人にさしあげるものではないはずです。
だから「名前を頂戴出来ますか?」と問われたら、「ノー」と答えます。
住所や電話番号もそうです。
「もらえますか?」を「頂戴出来ますか?」と謙虚に表現するのは良いとしても、名前や住所や電話番号をもらえませんかは感心できません。
ちなみに「頂戴」はてっぺん、つまり「頂」からもらう(「戴く」)くわけですから、平身低頭でお辞儀をしながら頂く姿がイメージできますが、名前を体からはぎ取って頂く訳にも参りません。
ここは「恐れ入りますが、お名前を教えていただけますか?」「お名前を伺ってもよろしいですか?」の言い方が相応しいと考えます。
但し名刺は異なります。
名前はもらうものではなく「聞く」ものですが、名刺は配ったり交換するものです。従って「名刺を頂戴できますか」は理にかなっています。
ビジネスシーンやプライベートにおいても、つい癖になって使用している言葉は沢山あると思います。
しかし正しくない敬語は、相手に不快感を与えることが有ります。
もちろん「そんなつもりはなかった」といいたいところですが、折角の美しい言葉も台無しになります。
ファッションやお化粧も上手にすればより美しく輝きますが、誤れば「蝶」が「蛾」にも成りかねません。
どのような場面で、どのような言葉を使い、どのように話をするか・・・。
その人の人柄が表れます。
特に相手を思いやる言葉は正しく丁寧に使いたいものです。
ちなみに昔の人は「美しい言葉」をつかうことを「心にお化粧する」と表現したそうです。
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