まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
むくむくと夏の空に入道雲が広がる時期です。
大きな身体をして頭を丸坊主にした力持ちのお坊さん、つまり「入道」に例えられて付けられた入道雲は昔から日本人に親しまれ、夏を感じさせてくれる雲ですね。
そしてアブラゼミ、ミンミンゼミ、ヒグラシなどの「蝉しぐれ」がけたたましくなる頃でもあります。
食べ物ではウナギに続き「アナゴ」が旬を迎えます。
姿かたちや栄養価や丼物が鰻ととてもよく似ていますが、一生海で過ごす魚です。「アナゴ丼」もいいですが「天婦羅」も格別です。
さらに夏の食べ物といえば「スイカ」が有ります。
しかしスイカは旬が立秋を過ぎるので季語は秋です。
ところではるか昔の結婚は、今のように女性が男性の家に嫁ぐのではなく、男性が女性宅に入る「通い婚」だったといわれております。
恋もどうやらそうだったようですね。
夜になると男性が女性の家を訪ね、夜明けと共に帰るのが一般的だったようです。
こうなると夜の長さがとても気になるところです。
冬は夜が長いので逢瀬をより楽しむことが出来ますが、逆に夏は短いので瞬く間に明るくなり未練が残ります。
その夜の儚さを惜しむ言葉が「短夜(みじかよ)」です。
秋の「夜長」に対して特に明けやすい夏の夜のことです。
ちなみに夏至と冬至では5時間位の差が有るそうです。
逢瀬を楽しむ大切な時間が、冬と夏では5時間も違うわけですから、恋人同士にとっては大変です。
短い夜だからこそ、よりいとおしく思えるかもしれませんね。
「短夜」はこの時期に相応しい大変美しい言葉ですので、盆踊りや花火大会等と結び付けて一文添えられてはいかがでしょうか?
例えば「晴れの国岡山」の花火は、短夜の空に美しく描かれ、とても華やかでした」などのように・・・。
短い夜だからこそ味わえる、何とも言えない風情がありますが、味わい方は人それぞれでしょう。
自分流に味わってみるのもお勧めです。
ちなみに、9月になると夜が次第に長くなってくるので、9月は「長月」とよびます。