マナーうんちく話499≪習慣は第二の天性なり≫
春を告げる様々な花がお目見えする頃ですが、現代生活は何かとあわただしくなり、花が咲いた状態や、実をつけた状態しか見ないような気がしますが如何でしょうか・・・。
恐らく大半の人は自然を観察する時間より、パソコンやスマートフォンの画面を見ている人の方が多いと思います。
しかし花はいきなり咲くわけではありません。
花が咲いて実をつけるまでには様々な成長過程があります。
勿論人もそうですが・・・。
ところで、気温も上昇し、日差しも長くなり、いよいよ草木が目を出し始める季節の到来ですが、草木が目を出し始めることを「草萌え」と言います。
今の季節ならではの美しい言葉ですね。
一方、寒冷地帯ではまだ雪が残っている所もあります。
春になって降る雪や、春になっても消えずに残っている雪の事を「なごり雪」といいます。
今から約40年前に大ヒットした歌のタイトルにもあり、加えて日本気象協会の《季節の言葉》にも選ばれているので、ご存知の方も多いと思います。
さらに「なごり雪」は「分かれ雪」「忘れ雪」とも言われます。
春は美しいシーンがあちこちで展開されますが、その前に「別れの季節」です。
学生なら卒業ですが、社会人なら転勤や退職があります。
このコラムでも転勤退職に関するマナーを沢山取り上げましたが、ここでは別の視点で「別れ際・去り際」のマナーにふれてみます。
「送る側」も「送られる側」も参考にして頂きたいことですので、是非お付き合いください。
「飛ぶ鳥跡を濁さず」と言う言葉があります。
立ち去る物は、後が見苦しくないよう、くれぐれも注意して下さいという意味です。
特に日本人は「終わりよければすべてよし」といわれるように、始まりより終わりに重きを置くことが多いようです。
私は33年間ホテルで接客の仕事をしていましたが、「お迎え3分にお見送り7分」といわれており、「別れ際」のお見送りを丁寧にしていた記憶があります。
また、テレビドラマでも小説でも、初めより終わりの部分で感動しませんか?
店頭販売でも、開店セールより「閉店セール」が賑わいますね。
加えて「入学式」と「卒業式」では卒業式が格上です。
ちなみに入学式は「これから」を祝う行事で装いも明るくて晴れやかになりますが、卒業式は卒業証書授与式になり装いは黒になります。
美しさを伴って、「去る」ということを大切にして頂きたいものです。
お世話になった人にお礼を述べると共に、今後の事を話す必要があります。
送る人が感動するよう綺麗に去りたいものですね。
次回に続きます。